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#もにょろぐ 世代交代。

去年の夏、祖父母の住む青森の畑から赤紫蘇を株分けしてもらいました。夏の終わりに差し掛かる八月下旬。時期が終わるので植えても難しいかもと思いつつ、でも何か祖父母の畑から受け継ぎたくて移植しました。花は無事咲いたのですが、葉はさほど茂らずシーズンを終えました。元気をなくていく赤紫蘇を見守るのはつらかった。

わたしにとって、祖父母の存在は父母のような存在です。でも父母という存在よりも歳を重ねているため、別れは長く見積もっても十年以内に、曽祖父、曾祖母と別れた年齢に照らし合わせると、おそらく五年ほどで訪れます。想像したくないですが、死は生を受けた以上必ず訪れることです。

おそらくもうまもなく、祖父母の畑は絶えます。植物を育てるのが趣味だった祖父の大切にしたものは、わたしがとてもすきだったった光景や土も、なくなってしまいます。全部無になるのか。なかったことになってしまうのか。想像するだけでとても重い気持ちになっていました。

で、さっきほうれん草を収穫して、収穫後の土を混ぜていたとき……隅っこに雑草に交じって生えている赤紫蘇を見つけました。土を掘り返してしまった後だったので、この先うまく成長していくかわからないですが、見つけた時は本当に嬉しかった。

どんなに些細なものでも、自分が祖父母の育んだものを引き継ぐことが出来て、ホッとしました。たぶんこれって二人のためではないんです。いずれ残されるわたし自身のため。いくら親のように思っていても、実際は孫であり、子ではないわたしが好きにできないあの畑を、わずかでいいからいただきたい。そういう気持ちがそっと満たされた気がしました。

この零れ種から生えた赤紫蘇のように、わたしもいつか、何かを残せたら。

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