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MUSIC:鬼束ちひろ

人生で一番好きなアーティストです。
高校生の頃「edge」で心を撃ち抜かれて以来ずっと、そしてこれからも好きでい続けると思います。彼女の作る歌は、不安な心に寄り添い、鎮め、時に激しく掻き立てることで、自分ひとりでは昇華しきれなかった気持ちや想いを、聴き終わった後に昇華してくれる力を持っていると思います。
鬼束ちひろの歌が好きだと話すと、月光いいよね、という反応が返ってくることが多いです。月光は良い歌だと思いますが、それを言っておけば間違いないみたいなところを感じます。鬼束ちひろの歌が好きな人ほど、月光をトップに挙げる人は少ないと思いますし、他に知ってほしい歌がたくさんあります。彼女の歌は一般的に暗いと思われていることが多いようですが、僕はむしろ逆だと考えていて、真っ直ぐな気持ちで生きようとする人間の心を包み込むような、優しい歌だと思います。今回は、彼女の歌の中でも特に素晴らしいと思う歌を、好きなポイントとともに10曲ご紹介したいと思います。

edge

好きな人がいなくなった後、その人がまだ心にいるがゆえに痛む想いを綴る歌。サビの突き抜けるように伸びる高音のメロディが、胸に風を通してくれます。
好きな歌詞
心を殴り倒して何が分かると言うの?  どうやって楽になればいい?
好きなメロディ
・イントロのそよ風を思わせるメロディ
・「痛むのは」「荒らして」の突き抜けるように伸びる高音のメロディ

Arrow of Pain

ゆるやかな流れに身体が浸されていくような雰囲気の曲。
相手に向かって感情を吐き出せばそれで不満を発散できると思っていたのに、
その行為がかえって自分の胸を苦しめ、痛みを感じてしまうという繊細な歌。
好きな歌詞
私の放った矢は貴方には刺さらなかったのに
どうして私の方が痛くて泣いてしまったのだろう
好きなメロディ
・イントロから始まり、この曲全体を通して流れている、泉のようなメロディ
・「私は必死で望んで」「狂い始めるのを待った」の部分のメロディ

Infection

鬼束ちひろの最高峰の曲。これほど壮大で美しいメロディを他に知りません。
最初は低く抑えたサビのメロディが毎回変わり、曲のクライマックスに向けて怒濤のように跳ね上がっていくカタルシスに震えます。
好きな歌詞
「何とか上手く答えなくちゃ」そしてこの舌に雑草が増えて行く
好きなメロディ
・イントロの儚くも美しいメロディ
・最後のサビの「いつの間に私はこんなに弱くなったの」の高音のメロディ
・取り乱すように「破片が」を繰り返した後に続く「そこら中で」の、哀しく透きとおるようなメロディ

流星群

透きとおる宝石のような曲。この歌の人と人との心の距離感が切ないです。
好きな歌詞
・心を与えて  貴方の手作りでいい  泣く場所が在るのなら  星など見えなくていい
・貴方が触れない私なら  無いのと同じだから
・美しいかどうかも分からないこの場所で  今でも
好きなメロディ
・「言葉にならない夜は」の「夜は」のメロディ
・「絡みついた生温いだけの蔦を」の「蔦を」のメロディ
・「心を与えて」〜「星など見えなくていい」の裏で流れるピアノのメロディ
・美しいかどうかも「分からない」と叫ぶようなところと、それでも自分の中にある想いを信じて「今でも」と決心するかのようなメロディ

Our Song

はじめてこの曲を聴いたとき、何てやわらかくて優しい曲なんだろうと思いました。2人で朝の静かな草原を歩いているような、そんなやわらかな情景が思い浮かびました。
好きな歌詞
When your walks gets slow and weak, I stop to look
When you looks you need some help and cares, I sit beside you
好きなメロディ
・「stay with me」「help and cares」のメロディ
・「You see, my heart」の「my heart」の透きとおるメロディ

相手を信頼し、一緒に歩もうとする心の温かさが印象的な曲。
好きな歌詞
・貴方以外の正しさや間違いが何へ導いても  どうせ心は上手くやれないのを知ってるから
・こんな道が何処に続くのさえ分からずにいるけど  立ち止まり貴方を見失う方が悲しいだけ
好きなメロディ
・イントロの優しく美しいメロディ
・起伏が緩やかな川の流れのように、曲全体を通して流れる優しいメロディ

MAGICAL WORLD

自分を好きになれない自分を、見つけて愛してくれた人。その人との関係が続けばいいのに、その人の陰の部分を感じ、戸惑い、それでも真っ直ぐに人を想おうとする切ない歌。
好きな歌詞
I’m kissing you and kiss me baby magical man
温かさには敵わなくて泣いてた
好きなメロディ
「I’m kissing you and kiss me baby magical man」のリズム感とメロディ

X

激しさと荘厳さを併せ持ち、クライマックスに向けて怒濤の盛り上がりを見せるさまがInfectionの再来を思わせる名曲。曲のバリエーションが多く贅沢な印象。
好きな歌詞
この胸を溶かして禁断の迷路で  We’re calling We’re going high
好きなメロディ
・サビのメロディ
・2回目のサビを終えた後に突如として降臨する神々しいメロディ
・最後の最後のサビの裏でギュインギュイン唸るバイオリンのメロディ

碧の方舟

穏やかな午後のダンスフロアで踊るような、大人の余裕を感じさせるメロディが印象的な曲。自分の信じる道を歩むことを決めた、力強さを感じさせる曲でもあります。
好きな歌詞
・TOUCH MY FIRE TOUCH MY HEART  貴方という終わりで溺れる  でも構わない  辿り着く  その場所は何処でもいいのだろう
・TOUCH MY FIRE TOUCH MY HEART. 貴方という最果てで零れる  でも構わない  ただ独つ  それだけに私を捧げよう
好きなメロディ
・「TOUCH MY FIRE TOUCH MY HEART 」の、草原を吹き抜けるやわらかな風のようなメロディ
・「でも構わない」「辿り着く」の伸びやかな高音のメロディ
・最後のサビの「SO SWEET」の部分のメロディ

書きかけの手紙

鬼束ちひろさんの人生の一部が、これまでの曲よりも身近に感じられるような形で、でも、その背景にある想いはこれまでのどの曲よりも強く溢れるような形で届けられた、温かく力強い曲。
好きな歌詞
解らない言葉は全部調べ出せた  だけど誰かの為の辞書でだったから
頼りないものさえそっと頼りにした  きっとどこにもない気持ちだったから
好きなメロディ
「痛いくらいに覚えているの」「笑えるほどに思い出せるの」の部分の、過去の自分に優しい眼差しを向けているような温かいメロディ

今回、10曲に絞ってご紹介してきましたが、鬼束ちひろの歌が好きな方には、どれか一つでも共感いただけると嬉しいです。また、これまで一度も聴いたことがない方には、彼女の曲を知っていただくきっかけになれば嬉しいです。


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