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悲しさを泳がせる。

どうしようもなく悲しい。
もう会えないのだ。
いや、会える。片道千円の近距離。
でも、口実もなくふら〜っと、会いにいけないことがどうしようもなく寂しいのだ。

小学校の同窓会。
8年ぶりに会うお友達。
着る服はずっと前から決めていた。
話し方も話す内容もリハーサル済みだ。
集合場所へ向かう電車の中では、何度も前髪チェックをした。
別に何も変わらないのに。
それくらい楽しみだった。
私にとっての小学校時代は、
どんな時よりも長い1年間だったし、
どんな時よりも泣いて笑った1年間だったから。

小学校を卒業してすぐに引っ越した私は、皆と違う中学校に通い、それからはほとんど誰とも会わなかった。だからか、実を言うと、出席しようか1週間ほど悩んだのだ。
だけど、会った瞬間、この不安は嘘だったかのように消えていった。

久しぶりだったので面白半分で自己紹介をしたり、小学校の頃に流行っていた、お嬢様ごっことかヤンキーごっこを思い返したり、好きだった人を公開したり。
温泉のような皆の温かさに触れ、私はゆで卵になった。おでん用の固ゆで卵。
それが爆発してしまうくらい、皆と笑いあった。

そんな中で食べる、焼肉は絶品だった。いや、シェフを目指してる男の子が焼いてくれたからか。

反論を抱くかもしれないけど、なんだか千葉住みの人は優しい気がする。空気感が、優しい。
GUCCIのかばんを持って、Diorのピアスをつけて、バチバチに睨んでくる東京の人とは大違い。
おっと、口が滑ってしまった。もちろん東京の人で優しい人は沢山います、本当に。すみません。

なんてことを考えていたら、とっくにお店を出る時間になってしまった。
写真を撮ろうという口実で、一人一人の元へ行き、お話をした。(このやり方、オススメします。)

そんな中、皆は二次会について話していたけど、少し遠くに住む私は、ここで帰ることにした。
(私だってまだ皆と居たかった…!!大好きな皆とカラオケで歌いたかった…!!)
という気持ちを抑えて、
「私はちょっとここらへんで~」 と言った。

そしたら、皆で送ってくよって駅まできてくれた。私愛されてるな〜。
と思えるばかな私で良かった。
カラオケは駅を通り越した所にあったみたいです。
別れる時は、もちろん悲しかったけど、ここでモジモジするのは私の美意識が許さないので、満面の笑みでまたねと言った。もちろんファンサ付きで。

帰りの電車。
ここで、さっき撮った写真を見返す。
あ、この写真、少し二重アゴになってるんだけど!
って焦ったけど、きっと彼らなら笑い飛ばしてくれるんだろうな。
なんてことを考えていたら、とても悲しくなった。
ああ、もう終わってしまったんだ。
あんなに待ち望んでいたのに。一瞬だった。
胸が苦しくなる。
けど、皆と再会できたことが嬉しくてたまらない。
でも、そんな人達がすぐそばにいないことが悲しいし、あまりお話できなかった人がいるのも悔しい。誰か、同窓会では席替えをする法律を作ってくれ。

でもまあ、LINEもインスタもあるからいつでもお話できるし、繋がっていられる。
そんなことがすごく幸せだったりして。
なら、もう幸せでいっか。
と、窓の外を眺める私の心は大忙しだった。

でも、やっぱりどうしても悲しくなっちゃって。
この悲しさは行き場がないみたいなので、
ここに泳がせておく。

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