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ドラゴンリコーダーを作ろう。

前置き

――今、リコーダーにドラゴンパワーが必要だ。

ミャー沢
色んなことがやりたくなるニンゲン。
今回は工作記事に挑戦する。
好きなジブリ映画は『ホーホケキョ となりの山田くん』。

――突然何を言い出すんだい、ミャー沢さん?

ミニ沢
ミャー沢が勘で作った対話役パペット
微かに部屋の臭いがする。
好きなジブリ映画は『借りぐらしのアリエッティ』。

ミャー沢:ミニ沢くんは、リコーダーに対してどんな印象を持っているかな。
ミニ沢:ええ?そうだねえ――

ミニ沢:――やっぱり小学生向けの可愛い楽器って感じがするかな。
ミャー沢:分かる。高く涼やかな音色、コンパクトな見た目、実に可愛らしい。しかしてこの可愛さが問題でもあってね――、
ミニ沢:
可愛さが問題?

ミャー沢:可愛いものって、多くの小学生男子にウケが悪いんだよ。

ミニ沢:ああ、なるほど。

――オイラ、「かわいい」より「カッコいい」って言われたいお年頃なんだい! リコーダーなんて興味ないぞ!

〈小学生男子〉
好きなジブリ映画は『天空の城ラピュタ』

ミャー沢:ほら、画像の彼もこう言ってることだし。
ミニ沢:ちょっと思ったんだけど、男の子の絵のテイストだけ古くない?

ミャー沢:これは私の体感だけれども、
音楽の授業でリコーダーを習った小学生男子の内、3分の2ぐらいはリコーダーに対して苦手意識があったんじゃないかと思う。
ミニ沢:普通に難しい楽器だしね。

ミャー沢:そこで私は考えた。こちらをご覧ください。

水彩絵の具のバック。
ミャー沢の身内が小学生の頃に使っていた。
DORAGON RAGE(←憤怒の意)と書いてある。

ミニ沢:水彩絵の具のバックだ。ドラゴンが描いてある。
ミャー沢:そう!「ドラゴン」!
他にも家庭科の授業で縫ったナップザックや、習字セットとかにもドラゴンがデザインされた物があったはず。
ミニ沢:ああ、あったねえ。子ども目には格好良く見えたんだよなあ。

ミャー沢:今思えば、水彩画裁縫習字なんて、大人がやっても結構難しい。
ミニ沢:言われてみればそうかも。
ミャー沢:子どもの頃の私達が、それらを乗り越えられたのは、
カッコいいドラゴンのお道具のおかげだったりもしたんじゃないかなと思うんだよね。

日本の小学生は龍への信仰で試練を乗り越える!

だからこそ――!

――今、リコーダーにドラゴンパワーが必要だ。

ミニ沢:ああ、話が見えてきたよ。
つまりはリコーダー本体かケースに、ドラゴンを描いた物を作ろうと言うんだね。
ミャー沢:うんにゃ、少し違う。

リコーダー型のペンで描いている

カキカキ――

――大体こういうのを作る。
ミニ沢:うわっ、
ミャー沢:「うわ」とはなんだ「うわ」とは。
ミニ沢:こんなの土産物屋にある、どこの土産にもならないヤツじゃないか。
ミャー沢:尚更、男の子にはうってつけだろうよ。

ミャー沢:そりゃ、こんな見てくれの楽器があったら、明らかに邪道だと思うよ。
ミニ沢:一応、邪道だって意識はあるんだね。
ミャー沢:でもね、楽器のファーストステップぐらい形から入るというのも、いっそアリなんじゃないかと思うんだ。
ミニ沢:というと?

ミャー沢:例えば、これはプレイウッドというパーカッションブランドから出ている「トウモロコシ型のギロ」なんだけど。
ミニ沢:そんなのあるんだ。

ミャー沢:正直最近まで私は、ギロなんて8ミリぐらいしか興味がなかったんだ。
でも、このデザインを見たら買いたくなっちゃって。
買ったからには、しっかり練習をしているよ。中々奥深い楽器だ。

ミニ沢:
ミャー沢さんの場合、最初からやや興味があった気もするけど、
変わった見た目が、その楽器にハマるきっかけになることもあるってことか。
ミャー沢:その通り。
前々から私は、みんなもっとリコーダーへ興味を持った方がいいと思っているんだ。
というのも私はリコーダーが大好きでね。
ミニ沢:へえ。

ミャー沢:ジブリ映画『耳をすませば』で、登場人物がカントリーロードを演奏するシーンにさ、
ミニ沢:凄いや、タンバリン以外正しい楽器が1つもない。

ミャー沢:途中までタンバリンを叩いていた筈なのに、いきなり異様に上手いリコーダーソロを吹き出したおじさんが居たじゃない。
ミニ沢:ああ、居たねえ。

ミャー沢:私は将来、彼になりたいんだよ。
ミニ沢:数あるジブリキャラの中で、そこに憧れるんだ。

制作開始

ミャー沢:ちゃんとしたリコーダーを改造するのは、何だか財布と心が痛むので、
今回は100円ショップのSeriaセリアで購入したものを素体に使うよ。
ミニ沢:へえ、見た目は結構ちゃんとしてるんだね。

ミャー沢:すごい。クリーニングロッドまで入ってるよ。
ミニ沢:その棒、そんな名前だったんだ。

ミャー沢:あー、音はやっぱりイマイチかなあ。
全体的にかすれ気味だし、1番低いドの音が下がり切らなくて、半音ぐらい高いや。
ミニ沢:こればっかりはしょうがないね。

ミャー沢:まあ、説明書にも「本品はおもちゃなので、演奏の為の楽器や学習教材用途ではありません」って書いてるし、そりゃそうか。

ミャー沢:ドラゴン部分の主な材料は、同じくSeriaセリアで買ったもくかるねんど」を使うよ。
ミニ沢:「もくかる」て。

ミャー沢:やっぱり楽器が重いと持った時に大変だから、こういう軽い粘土は適した材料だと思う。
あと、べとつかないから作業もしやすいね。
ミニ沢:ミャー沢さん。これ木の良い香りがするよ。


ミャー沢:まずはモールをティッシュで巻いたものを用意して、

ミャー沢:リコーダーに巻き付けていくよ。

ミニ沢:ミャー沢さん、これは?
ミャー沢:ほら、何か粘土工作をする人って、針金とか紙とかで中に芯を作ってるイメージあるじゃない。
ミニ沢:はぁ。
ミャー沢:多分、これをすることで、丈夫になったり? 粘土の節約になったり? するんじゃないかな?
ミニ沢:ミャー沢さん、さては素人だな。

ミャー沢:そうら、巻けた巻けた。

ミニ沢:なるほど。穴をふさがないように、避けてるんだね。
ミャー沢:パーツが分割出来るように切れ目も入れたよ。

ミャー沢:さあ、粘土を盛っていこう。まずは先っちょの頭部管から。

ミャー沢:ウロコも1つ1つ付けて行くぞ。ひゃあ、これは大変だ。

ミニ沢:頭の部分だなんて、いきなりメインっぽいところから手をつけたね。
ミャー沢:ここを作るのが1番楽しそうでさ、すぐにでも取り掛かりたかったんだ。
ミニ沢:大丈夫?
ミャー沢:というと?

ミニ沢:だってそれ以降のパーツって、胴と尻尾の部分じゃない。
ほぼウロコを付けるだけの地味な作業を、しんどくなってくる後半にするおつもりで?
ミャー沢:げえっ!

ミャー沢:そうか、中部管って長い上に、ウロコ付けるだけなのか。これは結構来るものがあるな。
ミニ沢:そうら見たことか。

ミャー沢:和菓子屋さんになった気分。
ほら、練り切りで菊の花を再現するみたいな、やたらディティールが細かいやつあるじゃない。あんなのを作るのを想像した。
ミニ沢:ああ、確かにちょっと似てるかもね。

ミャー沢:これ時給発生しないのかな。
ミニ沢:しないよ。

ミャー沢:よし。ようやく足部管に辿り着いたぞ。完成まであと少しだ。
ミニ沢:頑張ったねえ。

ミャー沢:まあ記事の構成上だと、一気に作った様に見えるかも知れないけど、普通に日を分けて休み休み作ったよ。
ミニ沢:これは何の場面?
ミャー沢:木かるねんどが乾いて、完全に“1個の板”になったら困るから、濡らしたキッチンペーパーで包んでる様子だね。この後ジップロックの袋に入れる。
ミニ沢:そうやって保管するんだ。

ミャー沢:そんなこんなで、ドラゴンの形が完成だ。

ミニ沢:何だか木彫りみたいだねえ。
ミャー沢:いっそ「彫刻しました」って言って出しちゃおうかな。その方が凄そうだし。
ミニ沢:ダメだよ。

ミャー沢:ここからは仕上げだ。色を塗っていこう。
ミニ沢:何色にするつもりなの? やっぱり龍だし、赤とか緑とか?
ミャー沢:いやいや、ミニ沢くん。
小学生男子にウケる色といったら――

――黄金きん色に決まってるでしょうよ。

ミニ沢:なるほどね。

ミャー沢:よぉし、塗るぞ。

ミニ沢:あれっ、黒く塗るの?
ミャー沢:
ほら、なんかプラモデルとか塗装する人って、最初に全体を黒とか灰色に塗ってるイメージあるじゃない。
ミニ沢:ミャー沢さんはね、表層だけじゃなくて、ちゃんと根拠も調べた方がいいよ。

ミャー沢:実際、数年前に段ボールでフィギュアを作った時も同じ方法で色を塗ったんだけど、重厚な感じが出て良かったんだ。

ミニ沢:なんて物を作ってるんだ。

ミャー沢:全体が黒くなったら、いよいよ金色絵の具を塗っていくよ。
折角作ったウロコの凹凸が分かりやすいように、サッサッとね。

ミャー沢:白地に金だと、あまり目立たないから、
本体も少し暗い色にしておこう。一回黒く塗って、

ミャー沢:ティッシュで軽く拭う。
ミニ沢:拭いちゃうんだ。
ミャー沢:ざらついた、シブい質感になるかなって。

完成

ミャー沢:さて、ドラゴンリコーダーの塗装が完了したよ。
ミニ沢:一体どうなったかな。


デ、

デデ、

デデデ、

デデデデデーン!(ぐーるぐーる)

ミャー沢:――こうなったよ。
ミニ沢:何とか形になったねえ。回るとちょっと床屋さんの看板みたいだけど。

ミャー沢:何気に指が引っかかるから、持ちやすかったりもするんだ。
ミニ沢:その見た目で利便性あるんだ。

ミャー沢:さあ、小学生男子はどう思うかな。


――すげえや! カッコいい! オイラ、リコーダーに興味を持ったよ!


ミニ沢:なんだか素直な子で助かったね。
ミャー沢:大成功! ピースピース!

おしまい。

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