見出し画像

人生100年時代と遺伝子テクノロジー

【遺伝子の発見と解読】

2013年5月 ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが両乳房を切除した。彼女は遺伝子検査を受け、ガン化を抑える「BRCA1遺伝子」に突然変異が判明したと告白。将来、乳がんと卵巣がんを発症する確率が高いため、両乳房を切除するという決断をしたのです。

人類が自身の遺伝子から将来の病気を予測できるようになった背景には、科学者たちが遺伝子を読み解いてきた100年近くの歴史があるのです。

人類が遺伝子を「解読」してきた歴史

古くは、ピタゴラスやプラトン、アリストテレスも探求していた遺伝子。彼らの叶わなかった偉業を成し遂げたのは、オーストリア人のある司祭。

〜 1865年 〜
グレゴール・ヨハン・メンデルが「メンデルの法則」を発見。えんどう豆の色や形状などから、遺伝形質が世代から世代へと個別に受け継がれる法則があることを突き止めました。しかし、研究成果は日の目を見ないままメンデルは1884年に亡くなります。

〜 1900年 〜
フーゴー・ド・フリースらが発表しようとした法則がメンデルによってすでに発見されていたことが判明。それにより、メンデルの功績は世に知られるようになります。そして、遺伝子は生物学者にとっての研究の大きな題材になりました。

〜 1952年 〜
アルフレッド・ハーシーとマーサ・チェイスによるバクテリオファージを用いた実験の結果、細胞の核に存在するDNA(デオキシリボ核酸)が遺伝物質であることが確認されました。

〜 1953年 〜
ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックの2人がわずか1ページの論文を科学雑誌ネイチャーに投稿。

【二重らせん】
DNAがATCGの4つの塩基(アデニン・チミン・シトシン・グアニン)でできていることは1920年代から知られていた。この4つの塩基のうち、AとT、CとGが対応するように結合し、二重らせんの形になっていることが明らかになる。

我々、人類の遺伝子が、ATCGという塩基配列をもとにした、いわば「デジタル」な情報であることが徐々に明らかになってきました。

テクノロジーの進化も相まって、人間の全遺伝子情報を解読しようとする動きが一気に加速

〜 1990年 〜
ヒトゲノム計画
人の全DNA配列(30億文字)を読み取り、その働きを明らかにするヒトゲノム解読計画が開始されます。

全DNA配列の読み取りは、2001年に概要配列が決定し、2003年には全塩基配列が決定しました。15年間で完了する壮大な国家プロジェクトであった。そして、それを飛び越した型破りな科学者クレイグ・ベンダーが商業的なプロジェクトを立ち上げ、全ゲノム解読を数年加速させました。ところが、30億塩基対ものゲノム情報は手に入ったが、その意味はほとんど解明されなかったのです。

テクノロジーの進歩と低価格化で民間企業が続々と遺伝子解析に参入

【23 and Me】
2006年、アン・ウォイッキら3人が共同創業した遺伝子解析サービスを手がける企業。50ヶ国以上にサービスを提供。被験者は500万人を超える。その最初の被験者であり、アン・ウォイッキと結婚したセルゲイ・ブリンは、第12番染色体にあるLRRK2にパーキンソン病になりやすい変異した遺伝子を有していることが判明。彼の母親と叔母は、パーキンソン病を患っていました。

「こうした境遇にいることを幸運だと思っています。他の人よりも、将来どんな病気にかかるか予想でき、何十年もかけて、それに備えることができる。」 – セルゲイ・ブリン −

遺伝子テクノロジーと人生100年時代

今後、遺伝子解読のスピードはテクノロジーの進歩とともにさらに加速していくであろう。その進化とともに、より明確に遺伝子を解読し、そして、遺伝子を編集する技術も発展していく。今や、遺伝子の解読によって、未来に起こりうる可能性のある病気に備え、予防することもできるようになった。遺伝子テクノロジーによって、これからの医療のあり方も変わってくるだろう。その医療の変化は人生100年時代に大きく貢献し、人々の寿命や人生そのものに大きな影響を与えるのではないでしょうか。

#ビジネス #遺伝子 #テクノロジー #人生100年時代



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?