見出し画像

かかりつけクリニックで経過観察スタート(わたしだけの乳がん物語 #25)


半年ぶりのブレストクリニック

今年5月の定期検査で発見された異常。半年前のエコーより黒い影が少し大きくなっていると見つけてくれた右胸乳がん。手術を終えて、ちょうど半年ぶりに地元のかかりつけブレストクリニックに行ってきた。

受付で医療連携手帳を渡した。いつもと変わらず、穏やかな先生は「おかえりなさい」と迎えてくれた。クリニックではステージ0の非浸潤性乳管がんと診断されていたけど、術後病理検査で微小浸潤が判明してステージ1に。
先生曰く、「浸潤があったということですね。でも0.9㎜、1㎜に満たないほんの少しだからステージ0に近いですけどね」とのことだった。

連携手帳を見ながら、「抗がん剤も無し、ホルモン療法も無しで…」とおっしゃったので、ホルモン療法5年となったことを伝えたら、もう一度手帳を見て「あ、そうかホルモン陽性だったもんね。これは抑えるためにも飲んどいた方がいいですね」とさらっと言われてしまった。

タモキシフェンの副作用は少しの頭痛ぐらいだったから、ここからホルモン療法やるべきか否かはとてもじゃないけど言い出せなかった。。。

左胸のエコーを先に、そして全摘した右胸も。今後の経過観察は局所再発に注意する右胸はもちろん、左胸に映っている2つの黒い影を追っていくことになる。3カ月ごとに経過観察。そして手術した9月には術後1年の検査が待っている。連携手帳を見ると、3年後5年後…10年後までページがある。なんて長い治療なんだろう。考えるとげんなりするから、毎日1日1日、タモキシフェンを1錠飲むことの積み重ねに集中しようと思う。

全摘痕はいまだに見慣れない

傷は相変わらずケロイド防止のテープを貼っている。最近まで溶けきれてない糸がチクチクはみ出していたけど、今はすっかり無くなった。色も皮膚の色に近くて赤味もない。1本の線、とまではいかないけど2㎜幅ぐらいの傷跡で、ところどころちょっと太くなっているかなという感じ。術後3カ月、傷自体はきれいに治っていると思う。

それでも、お風呂に入る時など鏡に映った姿にいまだにギョッとする。あるはずのものが無い。なんかでこぼこして抉れている。普段はパッドを入れたブラをしていて、見た目には分からないし自分でも今までと変わりがないと錯覚してしまうけど、実際の自分の姿にびっくりする。

愛おしいという感情も沸かない。頑張った自分の勲章とも思わない。なんの自覚症状もなく、ただ乳がんと診断されて、あれよあれよと検査して手術して片方の胸とともにがんを取り除いていただいただけ。自分は何も努力していないし、頑張ってもいない。そしてもちろん自分が望んだことでもない。

涙が出るほど悲しくもないけど、静かな喪失感を感じている。2人に1人とか9人に1人とか関係ない。「わたしはがんになる方だった」という事実に向き合いながら、この喪失感とともにより良い未来のために努力していくしかないんだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?