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病理検査の結果、ステージ0→ステージ1に(わたしだけの乳がん物語 #21)


2023/9/19(火) 病理検査結果

術後はじめての外来へ。早めに着いて保険会社用の診断書を申請後、受付へ。緊張して待っていると診察室に呼ばれた。

先生はまず最初に、「結果としてはとてもよかったと思います」と言ってくれた。でも、腫瘍径10×9㎜のうち、0.9×0.4㎜の微小浸潤が見つかったと。

また、素人ながら知識を入れていた中でさらに衝撃だったのが、HER2が陽性だったこと。でも、浸潤径が小さいからこれは気にしなくていいと。先生曰く、昔はHER2が陽性だと大変だとなっていたけど、今は薬の進化もあって、なんならHER2陽性の方が治療をしやすいケースもあるのだという。

非浸潤部分を含むため参考値と追記があったKi-67も33.0%と高くてドキッとしたけど、これも微小浸潤だから気にせずとのこと。グレードⅡでがんの顔つきも普通ぐらい、ホルモン受容体も陽性だから、「サブタイプはルミナルHER2」と言われた。

そしてステージ1aで確定となった。

ホルモン療法へ

ホルモン受容体陽性、無視していいHER2陽性の結果から、「タモキシフェンを5年間でいいと思います」と先生は言った。

6月に受けたマンモトーム生検の結果で非浸潤性乳管がんと診断され、自分の中では「ステージ0=全摘で根治」だと思っていた。もちろん、その時ブレストクリニックの先生からも、非浸潤だと思って手術してみたら浸潤していたという割合は20%程度あると言われていて、確率高いな…とは思っていたけど、半年に1回定期検査を受けていたし、超早期で見つけていただいてこのままステージ0で確定を心底願っていた。

全摘で根治だったはずが、5年間のホルモン療法へ。ネットで調べまくっていたわたしには、タモキシフェンの副作用が容易に想像ついた。もちろん抗がん剤ほどのインパクトは無いにしても、どれもこれもQOLが下がったり、子宮体がんのリスクが上がったり、太ったり鬱状態になる場合もあるなどメンタルによろしくない症状ばかりが目につき、ホルモン療法といえど全身療法は避けたかった。

胸の傷は順調で、水も溜まっていないとのことで透明の防水テープから傷を保護するテープに変わった。これから少なくとも半年、ケロイド予防のために2週間ごとに貼り替える。タモキシフェンは今日から始めるとのことでさっそく処方箋が出た。

自分でも驚くほど久々に落ち込んで、会計が終わってもロビーの椅子からしばらく立ち上がれなかった。

「受験において、ビリの成績で合格するのと、トップで落ちるのとは雲泥の差」という表現があったけど、まさにこれだった。どんなに微小だとしても、浸潤していた。ゼロかイチかの差はとてつもなく大きく感じてしまった。

帰りに夫と待ち合わせをして、Aくんの習い事のお迎えまでお茶をした。夫は抗がん剤になることを心配していたらしく、よかったよ、と言ってくれたけど、治療はまだ終わらないという事実だけがのしかかって、本当にショックだった。

治療法は自分で選べるのか

”微小浸潤の乳がんでホルモン療法”を調べれば調べるほど、病院の方針や患者さんの価値観によって「飲む人」「無治療を選ぶ人」で分かれることがわかった。

今回、無治療という選択肢は提示されなかった。いくら微小浸潤で全摘していたとしても、見えないがん細胞が体の中で増えないように、大きくならないように、溜まらないように、ホルモン療法をするのは当然のように感じた。

一方、「微小浸潤では無治療」という方針の先生もいらしゃった。理由としては、「5㎜スライスで微小浸潤と診断された人達の予後が良かったという事実に基づいているから」だそう。そのため、局所再発率と副作用によるデメリットを比べても割に合わないと。少なくとも、副作用を我慢してまでやる意味はないと。

難しい。もちろん左側の予防はしたいし、今後の局所再発の可能性がゼロとは言えない中、何かしらの安心感は欲しい。ただ、その効果と副作用を天秤にかけた時、「ホルモン療法を辞めたい」と言えるのか。そもそも「無治療がいい」と言えるのか。価値観による治療法ってなんだろうという壁にぶつかった。

1カ月後の外来が終わると、最初にがんを見つけてくれたブレストクリニックで薬の処方と経過観察が引き継がれる。早くH先生の意見も聞いてみたい。それまではタモキシフェンを飲んでみて、副作用が出ないことを祈るしかない。

とりあえずこれでいったん区切りなのは間違いない








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