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マンモトーム生検の結果(わたしだけの乳がん物語 #29)


結果が出るまでの2週間

両側乳がんや再建について、いろんな症例を見てはイメトレに勤しんだ。先人のみなさんのおかげで、SNSからかなりの体験談を得ることができる。そしてその体験はどれひとつとして同じではなく、いろんな方がいろんな選択をしていた。
前回も思ったことだけど、本当に乳がんて過酷。喪失と安心がトレードオフの関係で、「どんな選択をしても嫌」これに尽きる。傷も作りたくないし、胸も残して再発の心配が無いように治療してほしいのが本音。

温存できるとなったらどうしよう。その場合の放射線治療は歩いて通える病院でできるのか。サブタイプによっては抗がん剤になるかもしれないし、脱毛やウィッグについての情報もせっせと検索していた。備えあれば憂いなし。左胸もがんだった場合の衝撃を最小限に抑えるべく、いろんなシミュレーションをしてはどんよりとした気持ちにもなった。
加入していた保険会社にも問い合わせると、入院手術以外の給付金、がん診断や女性特有疾病の給付金については1年に1回までしかおりないらしい。そりゃ当然か。

前回の流れから、確定診断がついてから転院して手術するまでだいたい2カ月半ぐらい、この時期かなという見当もつく。子供の年間行事表を見ながら、1週間入院できる日程を確認したりしていた。

夫には9割方悪性だと思うと伝えていた。なんの自覚症状も無く、エコー画像の影の大きさからあれよあれよと細胞診→組織診で乳がん確定、手術して全摘して現在タモキシフェンを服用中。この経緯を考えると、同じことが左側におこってもまったく不思議ではない。
現に細胞診では異形細胞の所見があった。ただ、前回手術してから半年も経っておらず、早すぎるでしょという気持ちも正直あった。

結果報告

結果報告は前回と同じ、診察が終わった後の17時半から。あの待合スペースでの雰囲気はすぐにでも思い出せる。薄暗く、誰もいなくなった席で、わたしともう1人の女性だけがじっと待っていた。
嫌だなぁ、本当に嫌だ。早く結果が出てほしいと思いつつ、結果を聞きたくもなかった。

当日は大雨。いつもの自転車ではなく電車で向かおうとしていたら、夫が車で送ってくれることに。Aくんも一緒だったけど、Aくんには仕事だと伝えていた。2人に見送られてクリニックに。夫にはLINEでどんな報告になるのか、あと1時間足らずで結果が分かると思うと、心臓がバクバクした。

今日もわたしの前に1人結果待ちの方がいるとのことで、お待ちいただくかもしれませんと言われていた。17時半の予約でも、名前を呼ばれるのは前回同様18時半近く、まだ診察の方も残っているみたいだから今日も時間がかかりそうだなと思っていたところに、名前を呼ばれて診察室の前に通された。「あれ、今日は早いな」と思った。

まだ検査着を着た患者さんが待っている並びに、洋服を着たままの私が待っている。ついに名前を呼ばれて部屋に入り、先生の前に座ると「今回ね、良性でした」と言った。

「えっっっっっ!!!!!!????」と大きな声が出てしまい、先生が少しびっくりしていた。組織検査所見には「乳管内乳頭腫などが識別に挙がります。周囲も含めて悪性の像はありません」と記載されていた。頭のてっぺんからつま先まで、氷が解けるようにじわじわと安堵の気持ちが広がっていった。良かったです。本当に良かったです。

あれこれ調べて、乳管内乳頭腫の細胞所見は良性悪性の判別が難しいと知っていたし、前回も良性だったら乳管内乳頭腫と言われていたけど、結局がんだった。そんな経緯もあったから今回も異形細胞あるし絶対悪性だと思っていた。

先生は、マンモトームで吸引したから乳頭腫の治療にもなったかなと言っていた。また予定どおり定期検診を受けることを確認して報告は終わった。

「アポクリン化生性の上皮からなる小腺管が集簇し結節状を示しています。」ともあった

これを繰り返す覚悟

エコーで怪しいと言われ細胞診。結果が出るまで2週間。結果クラス3でその1週間後にマンモトーム生検。そしてまたその結果が出るまでの2週間。
1カ月ちょっと、本当に長かったし辛かった。検索しまくっては一喜一憂して、朝起きるたびにまたこんな1日を過ごすのかと憂鬱になった。

それでも、これからも早期発見・早期治療を目指して検診と検査を繰り返すしかないのだと思う。怪しいところを見つけて調べる、悪いものであれば治療する。自分が「がんになる方の人生」だと分かった以上、この繰り返しから逃れることはできないし、また今後同じことがあっても同じように悶々と検索魔に戻ってしまうんだろうな。

乳がんの再発にはストレスも関わってくるらしい。再発率5%に対して、自分がその5%に入るんじゃないかと毎日不安を抱えながら生活するか、自分は95%の方だろうと楽観的に構えて過ごすかではストレスは段違いだと思う。

そして実際、ある研究によると「心配事の79%は実際には起こらず、しかも、残りの21%のうち16%の出来事は、事前に準備をしていれば対処が可能。 つまり、心配事が現実化するのは、たった5%程度」という結果が導き出されたとの記事も読んだ。心配事や不安のほとんどが「悩み損」「取り越し苦労」だとか。

5%をどう捉えるか、これは自分の心のコントロール次第でなんとかしたいところ。少なくとも、勝手に自分でストレスを作り出すことはやめよう。
全摘した右胸と、何度も検査を受けて残っている左胸。現実から目をそらさずに大事にしていきたい。

夫にはLINEで「良性だった!!!!!!」と伝えて、帰ってから乾杯した。

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