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2年間のこみんぐるの複業を卒業して、新たな道に進みます

2020年3月末で、2年間複業していたこみんぐるを卒業しました。

こみんぐるは、古民家や町家を活用した一棟貸しの宿や、リノベーションしたホテルの運営を行っている金沢の会社です。

卒業のタイミングということもあり、これまでの複業生活を振り返ってみました。


複業を始めた理由

(ああ、今日も誰とも話さなかった)

と、ずーんとした気持ちで仕事用のPCを閉じ、子どもの保育園にお迎えにいく日々を過ごしていた2017年の春。

2016年10月に首都圏から金沢に移住して、半年が経過したころでした。



在宅勤務になったことで、通勤時間の分も仕事に充てることが出来るようになり、時短勤務からフルタイムにも戻せた。

一緒に働く同僚も理解があって、離れていても職場に貢献できている。

金沢への移住も、東京の仕事をフルリモートで続けることも、全部自分の願いがかなった形になっている。

なのに、どうも充足感がない

このもやもやはどこから来るのだろうか…。


その答えの糸口は、夫との会話にありました。

夫「今日は職場の〇〇さんとランチ行ってきたわー、うまかった」
私「へー、いいね……」
夫「以前イベントで知り合った■■さんと、偶然今日仕事で知り合ってびっくりしたわー」
私「おー、そうなんや……」

移住のタイミングで金沢に企業に転職した夫は、日々外で働き、いろいろな人と出会い、どんどん金沢という街に詳しくなっていきました。


(私、せっかく金沢に住んでるのに、全然世界が広がってない…


気づいてしまったが最後、この状況を改善するためにどうするべきかを考える日々が始まりました。


仕事は辞めたくない。でも地元でのつながりが欲しい

フルリモートで続けているフローレンスの仕事は、やりがいもあり、一緒に働く人もよく、できる限り続けたいという気持ちでいました。

でも、地元でのつながりが欲しい。

それは、ママ友ができれば解決するのか?行きつけのお店ができれば満たされるのか?


考えてみても、答えはノーでした。



一緒に困難を解決したり、価値を創造したり、悩んだり笑ったり。そういう繋がりが欲しいんだよなぁ…。だったら仕事だ。仕事で得られる繋がりが欲しい。)


幸いにもフローレンスは副業OKの職場だったので、金沢で副業で働ける職場はないだろうか、と、日々、日本仕事百貨やWantedlyで検索しました。


そしてある日。

金沢のためになる仕事をしたい人、求む

の文字が私の目に飛び込んできました。



自分に何ができるのか?模索する半年間。

(うわー、これ私!)

Wantedlyの募集要項や会社概要を読むにつれ、ここに来いよと呼ばれている感覚になり、勢いのままに「話を聞きに行く」ボタンを押しました。


これが、こみんぐるとの出会いでした。


面談で何を話したのか、今となっては覚えていませんが、おそらく金沢の人と繋がりたい、どうせならこの地域を良くすることで貢献したいといったことを話したかと思います。

毎週行われるミーティングに参加するところから、関わりが始まりました。

意見を求められたら素人目線で述べ、こうだったらいいかもという案があれば提案する。1週間に1回のミーティング参加でしたが、本業が忙しくて行けないときは3ヶ月くらい間が空いたこともありました。


そんなゆるい関わりでしたが、在宅勤務の日々だけでは出会えない人と会い、他に行く場所があるということは、フルリモート勤務を続ける上でも精神的によかったと思います。


そして2018年の冬。いつものように、ミーティングに参加すると、こみんぐるの事業が拡大フェーズにあることを知りました。

拡大期が迫る中、バックオフィスについてはまだ改善の余地があるような状況。もしかして本業の経験が少し活きるかも、とシステム(kintone)導入の提案をしてみました。


他のシステムとの比較検討や、ベンダーさんに依頼することも考えましたが、変化が著しい拡大期ということもあり、自分たちでシステム構築することを決定。


私が業務委託契約でシステム導入支援を行うこととなりました。


金沢の人と繋がりたいという思い、そして、地域を良くしたいという思いが、「仕事」となった瞬間でした。



複業を始めたから繋がった人々

システム導入支援、と言えども、本業でシステムエンジニアとして働いているわけではありません。

「kintoneを使っていろいろ作ったことがある」というレベルでしかなかったので、専門家のサポートが必要でした。そこで、フローレンスの同僚のニコさんに協力を仰ぎ、夜な夜なWEB会議で手伝ってもらいながら、予約管理のシステムを作りました。


(こうしてシステム導入を支援してくれたニコさんですが、こみんぐるのイベント「金沢よそもん会in東京」では、マインドマップで議論整理をしてくれたりと、単発だけではない関わりにつながっていったのは個人的にも嬉しいことでした。)


こみんぐるでは、kintoneでの予約管理を導入したことでWブッキングの発生が0件になりました。

地元のために頑張っている企業の、その成長を支えている、というところで私も複業にやりがいを感じていました。


2018年の秋。

「クラウドサービスの導入によって、業務改善につなげた事例を発表してみない?」と、サイボウズの社長室フェロー野水さんに声をかけられました。


『クラウド活用大賞 加賀大会』。

ここでの出会いが、また次の繋がりを生みます。


こみんぐるのほか、8社ほどが最終プレゼンテーションに臨んだこの大会。

こみんぐると同じく、kintoneの活用事例として福井県からオレンジホームケアクリニックの医師・紅谷先生が発表されていました。

大会後、ご挨拶をさせていただき、そこで私は「医療的ケア児は旅行しづらい」という課題に出会ったのです。


「何か一緒に、プロジェクトをやろう」

紅谷先生とそんな話をしたわずか2か月後。

医療的ケア児の旅行しづらさを解決するべく、協働プロジェクトが立ち上がりました。

それが、『医療的ケア児の旅行ガイドライン作成プロジェクト』です。


医療的ケア児×旅行、新たな課題の解決へ

『医療的ケア児』とは痰の吸引や胃ろうなど、生きるために24時間医療的ケアを必要としている子どものこと。

医療的ケア児については、フローレンスでも障害児保育園を運営しているため、多少なりとも知識はありました。

でもその知識は、ある側面からだけ見た「医療的ケア児は預かってくれる保育園が極端に少なく、親御さんは働くことが難しい」というもの。

医療的ケア児が旅行をする、ということは、フローレンスとこみんぐるの両方で働いていながら、想像だにしていないことでした。


(「医療的ケア児が旅行をしづらい」という課題は、フローレンスとこみんぐる、両方で働いている身だからこそ、取り組める課題かもしれない。)


こうした思いを胸に、プロジェクト資金を調達するために人生初のクラウドファンディングに挑戦しました。


ここで集まった資金を元に、2019年3月、7月に、富山県と福井県から医療的ケア児のご家族をモニターとしてこみんぐるの宿にご招待。

モニター宿泊会を実施し、医療的ケア児が旅行するにあたって確認するべきポイントを、宿泊事業者・医療的ケア児家族の双方の観点からまとめ、『医療的ケア児の旅行ガイドライン』を作りました。


そして、次なる複業へ

医療的ケア児をはじめ、病気や障害があって旅行がしづらい、という人と世の中の状況を変えていきたい。

そうした旅行しづらいと感じている人たちが旅行しやすい地域社会を作っていくことを通して、街をよくしていきたい。

旅行への障害を取り除くことは、その地域を良くすることにつながっているから。


こうした思いから、ガイドライン作成プロジェクトのメンバーと共に一般社団法人Try Angleを設立しました。


そしてこの春、Try Angleの活動に注力するため、こみんぐるを卒業することにしました。


こみんぐるで複業を始めて2年。
はじめたときには想像していなかったほど濃厚で、たくさんの経験と、様々な人と出会った2年間でした。


ゆるやかな関わり方から私を受け入れてくれたこみんぐるの林夫妻には感謝の気持ちでいっぱいです。


これからはまた次なる場所で、今度は自分が進む道を決める立場で、新たな経験と出会いを重ねていきます。



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▼こみんぐるってどんな会社?働いてみたい、泊まってみたいといった方はこちら

▼金沢への移住・複業スタートの経緯は日経DUALさんでのこちらに詳しく描かれています


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