見出し画像

サウナでの信頼関係 / ソンパサウナ、新サウナのオープンパーティー

2018年9月頭、フィンランドに到着してから最初の週末はヘルシンキにある公共サウナ、ソンパサウナ(Sompasauna)で新しいサウナのお披露目を記念したパーティーがありました。一人だと心細かったのもありルームメイトを誘っていざ、フィンランドの公衆サウナへ初トライ!

誰もがいつでも使える公衆サウナ
ソンパサウナは一年中、誰もが利用できる公衆サウナです。といっても一般的な公衆サウナと違い、そこには常駐のスタッフはおらず利用者が自分の責任で薪を温めてサウナを使います。サウナに入るにあたって使用料を支払う必要はありませんが、ウェブサイトを通じて会員を集っていて、その会員費からサウナの修繕などが行われています。

最寄駅であるメトロのカラサタマ(Kalasatama)駅に着いた頃には日が暮れて辺りは暗く、誰もいない開発地帯の工事現場を横目に10分少々歩きながら「本当にここにサウナがあるのだろうか?」とルームメイトたちと不安なっていると、後ろからやって来た自転車に乗ったお兄さんが「君らもサウナに行くの?」と声をかけてくれました。どうやら道は間違っていないようで一安心。足を進めながら少し会話を交えた後、お兄さんは「このサウナは特にお気に入りなんだ。じゃあまた後で、サウナで会おう!」と言って先を行きました。

不安になりながら歩いた道。写真もブレブレ。

さらに足を進めると、次第にパーティーの音楽が聞こえてきました。人工海岸の一番先っちょで暗闇の中に光るライト、地上で賑わう人々、そしてサウナが見えてきました。辺りにいるほとんどの人が全裸だったので、来てはいけないところに来てしまったのだろうか…とまた不安になりました。
何をどうすればよいかわからず近くにいた服を着ているお姉さん2人(サウナを終えて帰り支度をしていた模様)に「サウナに入りにきたんだけど、どうすればいい?」とたずねると、「君らの好きなように楽しめばよし!」と言った後、一連の流れとそこにある3つのサウナについて丁寧に説明してくれました。

いざサウナへ!
このサウナに更衣室はありません。私とルームメートは服の下に水着を着ていきましたが、周囲の目を気にすることなく全てを脱ぎ去っている人がほとんど。そもそも更衣室は必要なさそうでした。

3つのサウナの内、みんなの目玉は新しく建設されたサウナです。このサウナは機械ストーブではなく薪ストーブによるもので、日本で入っていたサウナや寮の機械ストーブのサウナと比べて湿度がとても高く、さらに薪の香りもして心地よい…。サウナで温まった後は海岸にかけられたハシゴを下って海に入ることもできます。

普段は物静かなフィンランド人もサウナの中ではすごく話すようになる、という話は耳にしていましたが、フィンランド語を話さない私たちにも気さくに声をかけてくれました。普段から日本人利用者がいるのか友人の日本人たちが先に入っていたためかはわかりませんが「きみ日本人?」と声をかけてくれたり、挨拶を交わしたばかりであるにも関わらずビールを勧めてくれるお兄さんもいたくらいでした。先ほど道で出会った自転車のお兄さんにも再会。
サウナの中には夢にまで見たヴィヒタ用の白樺を持ったおじさんもいて「使ってみなよ!」とヴィヒタを回してくれました。想像以上にバシバシと強く叩いていてビックリ。
また、日本にいたときフィンランドではみんなサウナハットを被っているものと思っていましたが、パーティーにはサウナハットを被っている人は案外数人しかいませんでした。

信頼関係で生まれる自由
ソンパサウナには使い方を教えてくれるスタッフはいなければ、貴重品を守ってくれるロッカーもありません。そこにはサウナと、みんなが共有するルールがあるだけです。
使いたい人が準備して、使った人が片付ける。使い方がわからなくて困っている人がいたら教えてあげる。色々なものを脱ぎ捨ててサウナを満喫する、その贅沢な時間のためにはみんながルールを守る必要があります。一体どんな状況になれば海岸の地面に、財布や着替えの入った大切なリュックを長時間置きっぱなしにすることができるでしょうか。

先程のお姉さんたちはこう言っていました。
「更衣室はないから気になるようならあそこにある木の陰とかで着替えるといいよ。もちろんロッカーもないからみんな荷物はそこらへんに置いてるね。ああ、もしかしたら気になるかもしれないね。でもここでは、このサウナでは、みんなお互いを信用してる、そうやって成り立ってるよ。」
(「信用」の部分には英語で「trust」という言葉を使っていました。)

信頼関係のもと生まれる自由は、サウナの時間をより豊かにしてくれる気がしました。


おまけ
サウナからの帰り道、サウナでエネルギーを使ったためかにお腹が空き、ヘルシンキのマーケットスクエアで唯一オープンしていた屋台にて初めてレインディアハンバーガーを食べました。噛み応え抜群です。

(2019年1月4日)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?