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わたしがわたしであるために

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  • わたしはわたし

    今のわたしがどう生き、どう思っているかを忘れないために

  • 思い返せば

    今のわたしが作られるまでの話です

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何者

「ハウルの動く城」という映画で、ハウルがソフィーに名前がいくつあるのかと尋ねられた時「自由に生きるのにいるだけ」と答えてたけど、私も数えてみたら本名含めて5つありました。 自由に生きるってなんでしょう。私なりの答えはもう出てるけどみんなはどう考えてるのかなあ。そもそも考えることとかないのかなあ。 このnoteの「思い返せば」というマガジンの私の生い立ちの場面に「居場所」という単語がたくさん出てくるのに最近気が付きました。私は居場所がいつまでも無かったんだなあと読み返しなが

    • 2024年

      あけましておめでとうございます。お久しぶりです。 さて、名前が5つあった私ですが、今ようやくひとつになりかけています。 去年の夏は死ぬかと思った。とんでもない鬱が襲ってきて、毎日ベッドの上で震えながら天井を見続けて、家の裏にある小学校の17時の鐘に毎日怯えてた。家の目の前にある公園で遊ぶクソガキの声に発狂して「うるせーーー!」と叫んで2回も閉鎖病棟に入院した。 最近高円寺のとある喫茶店でバイトを始めた。ゴールデン街から離れてやっていけるのか心配だったが、幸いなことにまた

      • この頃

        この頃の私はやりがいもいきがいもなくした屍のように生きている。 鬱がひどくなり入院、職場からは「迷惑だ」の一言で職場を干され、8月にはめでたく無職になる。 現状、風呂もまともに入れず、食事もとれず、人と会っても喋り方がわからない。金を稼ぐことすらできなくなった私は、最低限の冷房の効いた部屋の中じっと涙を堪えながら長い長い1日を過ごす。 ゴールデン街、あれは夢のような時間だった。みんなが私の注いだ酒を求めて店に来てくれて、私にしか出来ない仕事だった。反面やめた今だからこそ

        • サマージャンボ宝くじ

          宝くじって連番10枚買うのに3000円もかかるんだな。買わなきゃ当たらないから買ってみた。 つい最近恋人が旦那になった。ただのフリーターから社長になった。風俗もあがった。流行りのウイルスのせいではなく、自分の意思で環境や生態系を変えた。そしたら一斉に「お前は変わったな」と言われるようになった。 変わったなという言葉に何が含まれているかはなんとなく想定できる。寂しさだろう。今まで通りの安定感のある私ではなってしまって、戸惑い、そしてどこか取り残されてしまったかのような寂しさ

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        何者

        マガジン

        • わたしはわたし
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          17本

        記事

          心臓

          心臓 作詞・作曲 トーマ 汚れた命を許してほしい 神様の愛から剥がれ始めて こんな機械みたいな声と心が 遠くにいるあなたに届きますように 感情も愛情もみんな壊れた 崖から落ちるような夜があったこと 「あなたは誰より強いから」って 「全て変えられる」って そんな気休めはもう、いらないんだ 何度傷つけ合っても ぐしゃぐしゃになっても 命を吸い取り生きてゆく 離れてしまっても 殺されてしまっても どこかで息をしてるからね ずっと昔の話をしよう ずっと先の未来の話をしよう 例

          心臓

          閉鎖病棟②

          前回のつづきです。前回はこちらから。 境界性人格障害(通称ボーダー)、解離性健忘、適応障害、〇〇(薬物の成分)中毒。4つも病名がついてしまったと当時はめちゃくちゃに落ち込んだ。が、きちんとした病名がやっとついたおかげで「自分はまともな人間ではないんだ!良かった!」という謎の嬉しさもあった。 ボーダーというのは簡単に言うと性格の極度な歪みからくる病気。診断基準はDSM-5(精神障害の診断基準)によると ①見捨てられることへの極度の不安 ②不安定で激しい人間関係を持ち相手の理

          閉鎖病棟②

          閉鎖病棟①

          前回の続きです。前回はこちらから。 ハッと目を開けたら知らない天井だった。天井の隅には監視カメラのようなものがついていた。看護服の女性に「鎮静剤を打っているのでしばらくは動かないでくださいね」と言われ、病院にいることが把握できた。ただ身体はどこも痛くない。ホームに飛び降りたはず、電車に跳ねられたはず。頭がはてなマークでいっぱいだった。 精神科の閉鎖病棟に入院するにはおおまかに3種類の方法がある。 ①任意入院 ②医療保護入院 ③措置入院 私は③の措置入院だった。任意入院とい

          閉鎖病棟①

          薬物乱用

          前回の続きです。前回はこちらから。 「この仕事つらいじゃん?だからさ〜私これやってんの。かのんちゃんもどう?」パケに入った白い粉が目の前で揺れた。パケを持つその腕には大量の生傷が見えた。風俗の待機室でよく一緒になっていた女の子が私に勧めたそれは高校の「薬物乱用防止教室」で聞かされた例の薬物だと確信した。「それはまずいんじゃない?」「じゃあこれは?これならドラッグストアでも買えるよ」と瓶に入った錠剤を手渡してきた。「……これ飲むとどうなるの?」と尋ねると「ふわふわしてぇ〜幸せ

          薬物乱用

          特別な空間

          前回の続きです。前回はこちらから。 そんなこんなでファミレスでバイト、親に隠れて風俗でバイト、空いた時間に学校へ行くというなんとも不自然な生活を続けていた。 高校生活は周りの友達が学校に来なくなってから私もだんだん行かなくなったが、物理担当のO先生だけはずっと私を気にかけてくれていた。 学校に来て授業をサボる私を見つけては、普段は入れない物理準備室に私を招いて「コーヒーしかないよ」と理科の実験器具でいれたコーヒーを私に出してくれた。理数系、特に物理は苦手な科目だったが、

          特別な空間

          素敵なステーキ

          ずっと忙しくて延期延期とリスケしていた予定。うなぎを食べに行く約束。元々お客さん、今は店子をしている人に会った。その人はいつもフワフワしていて、何を言ってるんだかよく分からなくて、でも少し冷静になるとよく解ることを言っている人で、そんな人からご飯に誘われたのが嬉しかった。 道中「そこのうなぎ食ってさ〜、近くに映画館あるじゃない。映画見てさ〜それでゴールデン街行くの」と話してくれて、「いい一日だねそれは!」と言っていると着いた先のうなぎ屋は閉まっていて、「あれ〜?」とその人は

          素敵なステーキ

          生きた心地

          前回の続きです。前回はこちらから。 2日後の初出勤まで、この大きな黒い秘密を自分一人で抱えられず、Kやそれ以外のネット仲間に話しまくっては気を紛らわせた。Kは「そんな心配することないよ〜ウザイ客とかいるけど大丈夫だよ〜」みたいに言ってたと思う。 そして来てしまった初出勤。金曜日の出勤だった。今でもよく覚えている。高校とは逆方向の電車の中で、私の目の前には今から登校する女子高生達が数人いた。「担任さ〜」「わかる〜」と愚痴を吐きながらも学校へ向かう彼女たちを、強くそれは強く羨

          生きた心地

          こころを何に例えよう

          金曜ロードショーでジブリ映画祭りでゲド戦記がやっていたらしい。家にテレビがないので私は見ていないし、見たこともない。 同じお店で働く女の子が自殺したらしい。その子は新人ドライバーさんにもドリンクの差し入れをするような、とても聡明で可愛らしい才能ある女の子だった。お店で常にランキングは1位、予約も常に満枠埋まり、掲示板でもあることないことを常に書かれていた。 その子の写メ日記は今年の始めで終わっていた。「頑張る範囲で頑張ります」。いつもは長文で丁寧に書いていた日記がその日は

          こころを何に例えよう

          推薦状という名のラブレター

          この気持ちを忘れないために書き留めておきます。 毎日毎日、夕方自宅のポストに5通ずつくらいでまとめて届く推薦状という名のラブレター。ひとつひとつ丁寧に開けて、ボロボロ泣きながら読んでいます。失読症があっても手書きの文字なら難なく読めるので、スラスラと、その人の声で再生される手紙は優しくて爽やかで暖かい春の風のように背中から包み込まれながら前に進ませてくれています。 中には推薦状とは別に励ましの手紙を送ってくださる方もいて、またそれで泣いてしまいます。ああ本当に私は幸せ者な

          推薦状という名のラブレター

          わたしはわたし

          今日はこの曲を聴きながらつらつらと文章を書いている。 飲み屋で働いていれば都合の悪いお客さんを自分の意思で弾くことができる。けど風俗は、予約を入れられてしまえば行かなくてはならない。なので自分の好きなお客さんだけ接客するなんてそううまくはいかない——いや、うまくいく、うまくいかせるんだ。 昨日私が敬愛している女と少しの時間酒を飲んだ。彼女も私と同じく、夜に生きる人間だ。「私らは酒を酌み交わさないと、顔を合わせて話さないとダメだからな笑」とLINEを打って、約束の日までしば

          わたしはわたし

          講習

          前回の続きです。前回はこちらから。 プレイルームに入る前もだけど、入った後もすごく緊張していて常に下を向きながら歩いていた。下を向いて自分の靴を見つめていると、この質の悪い「非現実的な世界」の中で少しでも安心できる気がして、靴を見ることでなんとか心を落ち着かせていた。 プレイルームは随分奇妙なものだった。シワひとつないバスタオルが綺麗に敷き詰められたベッド、その横にはイミテーションの花、スチール棚にも丁寧に畳まれ大量に積み上げられた未使用であろうバスタオル。そして殺風景な

          講習

          風俗面接

          前回の続きです。前回はこちらから。 高校3年の頃、クラスメイトが退学や不登校で教室にいる人数が常時10人を切ったあたりで、友人達とうまく馴染めなくなっていった。それと同時にどっぷりとTwitterにハマってしまい、猫が好きというそれだけの理由で適当に付けた「みゃー」という名前のアカウントを作り、ネットの友達と連絡を取り合ってはオフ会をしてご飯やカラオケに行ったりした。 当然のことながら、みゃー時代のTwitterのフォロワーはみんな高校生とかそれくらいの年代の人たちで、さ

          風俗面接