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「メリー・ポピンズ リターンズ」ネタバレあらすじ感想

2018年の映画

監督:ロブ・マーシャル(パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉)

時間:2時間10分


1,あらすじ

前作から25年後の大恐慌時代のロンドン。ジェーン(エミリー・モーティマー)とマイケル(ベン・ウィショー)は大人になり、マイケルは3人の子供、ジョン(ナサナエル・サレー)、アナベル(ピクシー・デイヴィーズ(英語版))、ジョージー(ジョエル・ドーソン)の父親となっていた。突如訪れた大きな悲劇に一家は以前のような明るさを失ってしまう。彼らに人生の歓びを取り戻させるため、再びメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)がやってくる。

引用:Wikipedia


2,感想(ネタバレ)

リターンズ…というよりかはリメイクである。


銀行員で時代にのまれた一家の父、見方で嫌なことを楽しいことに変えるくだり、就寝前の歌、トゥーンの世界、細い路地裏にいる知り合い、メリーの知り合いが低流階級の職、彼と他の大勢の仲間からのアドバイスとダンス、銀行とのトラブル、そして子ども以上に父親を教育して幸せな家族を取り戻してから、少し寂しげな表情を見せて立ち去るメリー・ポピンズ…

若干の相違はあるものの、シーンのほとんどが前作「メリー・ポピンズ」と同じである。曲の雰囲気や挿入される場面、展開など、前作を見ている者にとってはどこかで見たような展開が終始続く。なので真新しさとは無縁であった。安全安心安定した展開...とでもいうべきだろうか。


だが、個人的にはリメイクは「悪い」方向になされてしまったと感じている。まず、前作ほどメリー・ポピンズが幸せの運び人という印象がない。前作では、メリーがバンクス家に来たのち、犬猿の仲で喧嘩ばかりであったエレンとブリルが仲良くなるという展開があり、メリーが幸せをもたらしたということが明確に示されていた。だが今回は家の差し押さえを阻止しようとする流れが先行し、暗いわけではないのだが、どこか不穏な雰囲気が流れていた。トゥーンの世界でジョージを誘拐したテンプルトン、銀行の頭取という肩書を使い、不当な差し押さえで利益を得たウィリアムなど、前作にはなかった敵の存在も影響しているだろうか。シーンが夜や路地裏など暗い場所を中心にしているということもあり、メリーをもってしても明るさはフィナーレ以外は顔を見せなかった。


曲が多すぎることも個人的に受け入れられなかった。メリー・ポピンズはミュージカルであるから、曲が増えること自体は問題ないのだが、ジョージが銀行ででしゃばり、夜の街を呑気に探検したのち、父親マイケルに怒られ、妻が亡くなった後の悲しみと苦悩、その本心を打ち明けるシーンでの曲(と呼べる長さではないかもしれないが)、弱者から不当に財産を奪うウィリアムを追い出したのち、ドースおじさんが曲に合わせて踊りだすシーン、この2つのシーンでは特に強い不自然さを感じた。

あきらかに子どもたちが悪い状況、マイケルが苦悩と葛藤、本心を打ち明けるシーンにて軽く謝っただけで急に歌いだされるのはいかがなものか…リズムも何も生まれていないので入れる必要はない。私がマイケルの立場であったらブチ切れるだろう。思わずため息が出てしまった。激しく怒鳴りつけて一人になり、時間が経ったのならまだしも、その場であっさり仲直りしてしまう一家に強烈な違和感を感じた。私にとっては「子どもらしい」で許容できる器の容量を超えている。


ドースおじさんのパートでは無理やり曲を詰め込んだかのような感じ、その後淡々と話し始めて前置きのリズムを崩すのであれば別に曲はいらないのでは???


また、導入曲は全体的に物語と関連性があるものばかりであった点が残念であった。前作ではLet's go fly a kiteだとかChim Chim Cher-ee、Jolly HolidayやSpoonful of Sugarなど、意味のなさげな歌詞の曲を連発することで、社会においていかれている感じがありながら、意味性などに捉われず明るく楽しく生きていく、自由で生きやすい人間像を提示していてそこに魅力を感じたが今作は物語との関連性がありすぎた。悪くはないのだが、そこまで魅力を感じなかった。


スミスの義足の話をするのかと思ったら、2ペンスの伏線回収をするシーンは見事であった。あれが伏線であったとは思ってもいなかった。現実に目を向け考えすぎていたマイケルが子ども心を思い出した結末は、「プーと大人になった僕」のクリストファー・ロビンのように見え、ようやくメリーがもたらす明るさが前面に出てよかった。


実はトプシーのパートでも、短時間の間ですぐ解決してしまうものかと違和感を感じていたが、これは私がミュージカル慣れしていなかったからだと思われる。今作は曲が異様に多いので、前作「メリー・ポピンズ」以上にミュージカル慣れしていないときついと思われる。私は前作はとても楽しく見れたが、今作は正直キツかった。

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