初めての漫談

先日「エボルブ」というライブで初めて漫談をした。

大学生の頃からピンネタをしているが、漫談をしたことは一回も無かった。厳密には2回漫談らしきものをしたことがあるが、それは漫談を隠れ蓑にしたコントのようなものだったから、本気の漫談は初めて。
今まで漫談をしなかったのも、やろうとしても【コント「漫談」】だったのは、自分が自分のままで何かを話してお笑いになる訳がないと思っていたからだった。

そもそも芸人どころか作家になろうと思っていた人間なので(作家をやりたい気持ちは今もあるので知り合いのネタとかライブの企画を考えるとかそういう事はやりたい。連絡お待ちしています。今度さとなかほがらかの単独にネタは一本書きます)、舞台に立つ人間としての自分の能力には全然期待をしていない。
それでも、ネタは書きたいので書いて、そのネタを誰もしてくれないから仕方なく自分の身体を使ってネタをしているという状態が今まで続いている。

そんな始まり方でも何年も続けていれば、少しは舞台での自分の身体の使い方が分かってきて、少しずつ自信もついてきた。
コントの演じ方も分かってきて、同時に「これはできるけど、これはできない」という限界も見えてきた。
ただそれは、【音響照明道具無し板付き挨拶終わり】の範囲のコントの話で、今後も続けていくならそれらの要素を組み込んでいかなければいけないと思っている。
それはそれで自分が手を出したことが無いジャンルなので、楽しみではある。

年明けぐらいから「漫談やりたい」という気持ちは少しあった。
そもそも、漫談自体は好きでよく見ていた。
一人きりでマイクの前で何も持たずに喋りだけで笑わせるのは、シンプルだからこそ、その難しさも分かって、だからこそカッコよかった。

その気持ちはぴんくさんがR-1に優勝して一旦全て無くなった。
漫談の最高峰だと思っていた人が、その面白さを損なうことなくきっちりと分からせてトロフィーを手にした姿を見て、やっぱり自分には無理だと思った。漫談をするにはあれぐらいのエネルギーが必要で、中途半端に手を出して「やっぱりだめでしたわ」とヘラヘラ笑うのだけはダメだ。

漫談への気持ちが再度戻ったのは割と最近で、3月31日の「ヴァリアシオン」というピン芸人だけのライブだった。
最初の出番だったのでほとんどのネタを見ていたけど、体感として漫談をしている人が多かった。実際はコントをしている人の方が多いのだけど、自分の頭の中に漫談があったからそう思えたのだろうか。
普段あまりいっしょにならない人の漫談を見ている時に「あ、自分もしよう」となぜか思った。その人の漫談が枠にとらわれず、ジャンルもよく分からないけど面白いからだったから、だと自分では思っている。

そこから「エボルブ」までは三日しか無いので、また次の機会にしようとも思ったが、ここを逃せば一生漫談をしないと思ったので急いで台本を作った。どういうスタイルにするか、という事をずっと考えていたが急に「これでいいかも」と思ったものがどんどんアイデアが出てきたのでそれを実行した。

3分持てばいいと思っていたが、直前の練習で8分あったので意味が分からなかったけど、試してみるかと思って8分近く使わせてもらった(ありがとうございました)。
コントをしている時はなるべくお客さんの顔を見ないようしにしているが、漫談の時は逆にお客さんの顔を一人一人見ていた。
どこを見ればいいか分からなかったからだけど、熱量を伝えるには一人一人と対話をするのが手っ取り早い。大きい会場でもしてみたいと少し思った。

初めての事過ぎてどこを反省すればいいかもよく分からなかったが、コントの時にはあまり思わない「自分の身体をうまく使えている」という感覚があった。そういえばトークライブで好きなものについて話している時と近いものがあった。心の奥までオタクなのでそういうものは染み付いているのだろう。
オタクがただ自分の思った事を話すという漫談、今後もやっていきます。


そしてここからは「自分の身体をうまく使えてない」という話

ここから先は

822字

普通プラン

¥800 / 月
このメンバーシップの詳細

頂いたサポートでドトールに行って文章を書きます