「キミチャレ」の極意を、柴田朋子さんに聞いてみた①サポート編

マイプロジェクトU-15の企画の元になっているのは、愛知県瀬戸市の「キミチャレ」です。

キミチャレの最大のポイントは、「自分でやる、考える」です。徹底的に。うだうだして子どもが何もやらなかったとしても、それも一つの解。サポーターや親がお尻を叩いて「やらなきゃダメでしょ!」とは、絶対言いません。その代わりに、どうしてできなかったと思う?という振り返りをして、作文を書いてもらいます。

出てくる成果物よりもプロセスが大事なんです。

その事を頭ではわかっていても、いざ自分でやるとなると、”成果物を評価される思考のクセ”に引きずられる事がありました。「やらなきゃダメでしょ」と叱る事はないですが、成功させてあげたい、という感情が湧き出ます。(参照)手伝ってあげたくなります。

前回、「成功して欲しいという感情を押し殺して、失敗もあなたの為よ、と見守るのはうそくさい」という他の方からのご意見を書きました。この気持ちも分かる気がするんですよねぇ。あと一歩乗り越えれば、子どもがより高度な試行錯誤が出来る時でも、サポーターは「自分でやりなさい」とただ見守るだけなのか。どこまで手をかけて、どこから手放すのか。キミチャレのサポート方法を詳しく知りたくて、東京に柴田さんが来られるタイミングで、スタッフとの座談会を開かせて頂きました。今回は、そこでの気づきをシェアします!もうね、子育て中の人には、みんなに読んで欲しい(笑)

子どもを信じる。信じたらちゃんと任せる。コレが基本。

「このままだと無理だ」「子どもがこのままだとかわいそう」「子どもはこのままだと何も気づけないで終わっちゃう」子どものチャレンジを見守るサポーターは、湧き出るこの感情との戦いだそうです。上手くいく術を知っているのに、それを黙ってみている意地悪な私に耐えられない!と。だから、この感情がやってきたら「きたな」と自覚する。そして、「私は子どもを信じるって決めたから、ここは見守ろう」と何度も自分で自分に誓う。これがサポーターに求められることです。

冒頭で書いた”うそくさい”という感情も、成功させてあげたい、という感情も自然なこと。その気持ちそのものが否定される訳じゃない。でも、目的が「子どもが自分で考え、自分でやる」である以上、そこは見守らきゃいけない。それは歯がゆい。辛い。不完全燃焼です。そんな気持ちは一人で抱えこむのではなく、サポーター同士でシェアすればよいのです。サポーターは一人じゃないのだから。

さらに、大人が知っている答えより、子どもが見出した答えの方が優れている事が、キミチャレでは多々あったそうです。変に世の中が子どもに優しくて、大人では突破できないドアが開いたりする。大人の凝り固まった頭では思いつかないような事を見つけ出す。だから、この子を手伝ってあげなくちゃ、と上から目線で見ず、信じて待つことは、子ども自身のプロジェクト成功という意味でも大事な事だったりするのです。

全く手を出さない訳じゃない。

「見守る」が基本ですが、絶対にサポーターが手を出してはいけない訳ではありません。あと一歩乗り越えれば、ぐっとプロジェクトが進むのに、というような時は、子どもと話し合いながらヘルプを出します。また、判断に迷ったらサポーター同士で相談をします。「こういう事してあげたいんですけど、いいですかねぇ?」と。絶対こうしなきゃいけない、というルールはないのです。知りたいのが、このさじ加減!色んなケースを下記にまとめてみました。

①あと一歩乗り越えれば、プロジェクトが進むのに!という場面でのヘルプ

どうしても電話をかけられなくて、プロジェクトが進まず、いたずらに時間だけが過ぎてしまっている子がいたとします。そうしたら、「私(サポーター)の隣で電話していいよ。もし、何かあったら代わってあげるから」と声かけし、隣に寄り添うことも。

②大人の説明が必要な部分のヘルプ

子どもの電話先や訪問先から「キミチャレの企画の主旨を説明して欲しい」と言われたら、そこは子どもがやるのではなく、大人が説明します。趣旨説明した結果、訪問先がが「よし、まかせとけ!」と張り切り過ぎてしまうケースも(笑)

③迷って止まっている子にヒントを教えてあげるヘルプ

自分の好きな事を調べ尽くす事をキミチャレのテーマに選んだ子がいて、その調べた事を誰に伝えるか、で迷っていた時のこと。市役所の職員が、「そのテーマだったら、この施設でやっている来館者向け案内ボランティアがいいいかもよ」と教えてあげた事があったそう。市役所の職員の方が、市内の博物館や科学館の情報に詳しいです。
この子が自分で市役所職員に聞きにいったのか、それともサポーターが顔をつなげてあげたのか、その経緯は聞きそびれたのですが、迷って止まっている子どもに、サポーターが「市役所の職員の人に聞いてみたらいいんじゃないかな~?」とヒントを出す事はアリ。初動が子どもである事、最終的な決断が子どもである事、が大事であり、大人が絶対に何も教えてはいけない訳ではありません。

④計画を作り上げていく部分でのヘルプ

自分のやりたい事をやっていいよ!と言われて、自分ひとりで何もかも計画して、どんどん進めていける子ばかりじゃありません。すぐ「わかんなーい」と言いますし、すぐへこたれます。自分の子と同じです(笑)また、「お菓子屋さんになりたい」というような、ふわっとした希望だけがあり、具体的な計画に落とし込めてない子もいます。こういう場合、サポーターと対話をしながら、一緒に計画をつくっていきます。

話を聞いていて、この④で行われる問いかけが絶妙でした。長くなりましたので、続きはまた次回に!

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▶CAMPFIRE|変わりゆく未来をしなやかに生き抜くために、子どもたちに「挑戦」と「自分で決める」機会をつくる。「マイプロジェクトU-15」クラウドファンディング、無事目標金額達成いたしました。ご支援ありがとうございました。
https://camp-fire.jp/projects/view/77232

小学4年生〜中学生の子どもたちが、夏休みを使って、自分のやりたい事を計画、実行するプロジェクト『マイプロU-15』をやってます。いただいたサポートは、プロジェクトの実施に活用させていただきます。