「キミチャレ」の極意を、柴田朋子さんに聞いてみた⑥キャリア教育編

前回の続き。信じて任せる事の難しさを書き、任せる真似事だけさせて、大人が用意した舞台で、子どもがパフォーマンスする「お仕事体験」はキャリア教育ではない、という事を書きました。今回は、柴田さんの考える”キャリア教育”とは何か?キミチャレのどんな所に”キャリア教育”の要素があるのか?を2回に分けて綴ります。今回は、キャリア=仕事ではない、という話。

職業に安直に結びつけないで欲しい

 豊田市で「キミチャレ」と同趣旨の企画が行われた時の話です。最終発表会の際、子どもの発表を見て、大人が講評を述べるのですが、子どもの興味関心を職業に直結させようとする大人の思考回路に柴田砲が放たれたと聞きました(笑)
 宇宙の事を調べた子に、「将来はJAXAに入るの?」と言い、保育士の体験をした子には「保育士になりたいと思った?」と問う。子どもはその流れで「なりたいです!」と答え、大人は「そうだよね〜」とうなずく。その質問のやりとりがおかしい、と。

「将来何になるかは、子どもが自分で決めるし、これからもどんどん変わっていい。今回の経験を活かしても活かさなくても、どちらでもいい。幼児に接して楽しかった子は、保育士でなくても、その自分の中の優しさを別の形で活かしてもいい。大人が職業に安直に結びつけて、子どもの思考を狭めないで欲しい。子どもが25歳になった時に、その職業があるかどうかも分からないって事を、大人は冷静に考えて欲しい

 この話を聞いた時、「マイプロジェクトU-15」のスタッフからも「あ〜それ、絶対やっちゃうわ・・」と声が漏れました(笑)大人は、子どもの進路が決定すると安心しがちです。背景には、”イチローを意識しすぎ問題”があります。イチローに限らず、本田圭佑でも藤井聡太棋士でもいいのですが、早いうちに夢を見つけ、その夢に向かってコツコツ努力した方がいい、という発想です。一部の天才を例に挙げ、それに続け!と子どもを鼓舞します。でも、現実問題、小学校の卒業文集に書いた”将来の夢”が叶った人が、一体どれだけいると言うのでしょうか。まして、今の子どもの多くが、今は存在しない仕事に就くと言われている中で、現存の職業に安直に子どもの夢を結びつけることは、ある意味リスクではないでしょうか。大人が子どもを鼓舞した結果、純粋な子どもがその職業一筋に頑張り続け、いざ社会に出ようとしたら、その職業が消えていた、という事だって十分ありえるのです。大人はどう責任をとれるのでしょうか。

この様を、柴田さんは、”大人の枠組みで子どもの色を塗りすぎ”と例えました。子どもの様子を見て「ハイ、この子はピンク色〜、この子は青色だね〜」と、勝手に色を塗りつけて安心するのです。

「看護師とか医者とか美容師とか、分かりやすい仕事を子どもが希望し出した途端、親が勝手にスイッチ入って喜んで、『じゃあ、この大学目指して勉強だね』と子どものレールを引き出すのは、本当にやめて欲しい。子どもはちゃんと見つけるので。その子のタイミングで

「キミチャレ」は、子どもが自分の仕事を見つけるためのプロジェクトではありません。実は、「キミチャレ」は、瀬戸市キャリア教育推進協議会と商工会議所の共催となっています。すなわち、「キミチャレ」を立ち上げた柴田さんが考えるキャリア教育も、仕事には縛られません。キャリア教育=仕事の教育、と考えている人も少なからずいるのではないでしょうか。そこで、こんな質問をしてみました。

「柴田さんの考えるキャリア教育って何ですか?」

続きは、また次回に。次が最終回です。

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▶CAMPFIRE|変わりゆく未来をしなやかに生き抜くために、子どもたちに「挑戦」と「自分で決める」機会をつくる。「マイプロジェクトU-15」クラウドファンディング、無事目標金額達成いたしました。ご支援ありがとうございました。
https://camp-fire.jp/projects/view/77232

小学4年生〜中学生の子どもたちが、夏休みを使って、自分のやりたい事を計画、実行するプロジェクト『マイプロU-15』をやってます。いただいたサポートは、プロジェクトの実施に活用させていただきます。