マイプロジェクトU-15は、大人の教育でもある

前回の続き
マイプロジェクトU15』は、子どもの「やりたい」を応援し、失敗も含めて、自分で決めて自分で動くことをサポートする活動です。

こう語ると、子どもの為の教育活動のように思えます。いえ、実際そうなんです。そうなんですけど、やってみると、子どもの為と言いながら、変わるのは大人の方だと気づかされます。

親の自己肯定感育成プロジェクト

例えば、子どもに「失敗しても大丈夫だよ」と大らかに見守ってあげるという事は、それは、子どもが他人に迷惑をかけた時にその最終責任を引き受ける事でもあります。もし、迷惑をかけられた相手が大激怒した場合、サポーターは子どもを守ってあげるべきだと思うのです。子どもが謝ることも大事だと思いますが、すべての矢面に立つのは違うと思います。未熟なのを分かって挑戦させたのだから、監督責任は見守った大人にあります。その非難をちゃんと受ける覚悟があるか。「失敗しても大丈夫」の裏には、大人の覚悟が問われます。

逆を言えば、私たち大人は、自分に責任がふりかかるのが嫌で、子どもを”いい子”にしたい側面があるのかもしれません。
本当に道徳的に「人に迷惑がかかるから、そういう事はしちゃいけないよ」と子どもに教え諭すこともありますが、親である自分が”他人に迷惑だと思われたくない”という心理も少なからずありそうです。”ちゃんと子育てしている良い親”だと、親自身が思われたい。

「失敗しても大丈夫だよ」は、実は、子どもにかける言葉でありながら、その後ろにいるお母さん・お父さんに語りかけているのかもしれません。あなたの子が、多少やんちゃだろうが、上手く人に説明できなかろうが、宿題忘れようが、大丈夫よ、と。ちゃんと子どもは大きくなるよ、十分いい子に育っているよ、と。子どもを取り巻く大人同士の”ゆるし愛”。親の自己肯定感育成プロジェクトのようです。

子どもに成長を促すというよりも、親の「信じて待つ」訓練

先日の我が子にマイプロを仕掛けてみた話。娘が「大きなホールで踊りたい」とマイプロジェクトを立て、それをサポートしたのですが、結局、私は、子どもに代わってホールを借りるすべての手続きをやってしまいました。その所以は、「どうせ大人がやらないといけない手続きであること(子どもだけではホールを借りることは不可能)」「チャレンジできる土台までは連れていってあげて、その先で試行錯誤してくれればいいや」と思ったからでした。どうせ試行錯誤するなら、ホールを借りる借りないの入り口の所じゃなくて、舞台の上で何をやるかに注力してほしかった。オモシロイ機会だから、踊る娘も見たいし。そんな感じ。

でも、これって、よくよく考えると手続きの所で子どもが挫折する前提の発想なんですよね。「どうして係の人は、ママに代わって、と言ったんだと思う?」と対話しながら、どういう電話なら相手に伝わるか考えながら、もう一回チャレンジを待ってあげたら、もしかしたら全部できたかもしれないんですよね。

絶好のオモシロイ機会(自分の企画で大きなホールで踊る機会)がなくなっちゃったら勿体ない!という私の発想は、子どもを信じて待てなかったのかな、と今になって思います。

この子は全部持っている

私は、子どもが、みすみすチャンスを逃しているのを見ると、反射的に「もったいないー」と思ってしまいます。せっかく良い体験ができそうだったのに。せっかく良い学びの機会だったのに。でも、そんな親の「もったいない」を全部背負いこんだら、子どもは”やる事だらけ”になってしまいます。

数年前、「この子は全部持っている」というのを、自分の子育て方針にしようと思ったのを思い出しました。世の中には本当にいろんな人がいます。誰かが幸せだと思う事が、そのまんま私の幸せじゃないですし、その逆もしかりです。幸せの基準が違えば、必要なものも違います。
だから、あれもこれもと焦るのではなく、「この子が自分を幸せにするのに必要なものは、生まれつき全部持っている」と思おうと思いました。長い人生では立ち向かわなきゃいけない試練も、必要な力もたくさんあるでしょう。でも、乗り越えようとする意志も、努力できる力も、ちゃんと生まれつき持っている。それが、私の「信じて待つ」呪文になりました。(今回はすっかり忘れていましたけど)

話が少し変わりますが、『キミチャレ』(マイプロジェクトU15の基となった愛知県瀬戸市のプロジェクト)で一番忍耐を強いられるのは、親だそうです。サポーターは相談には乗るけれど、一部始終を見ている訳ではありません。でも、親は違います。親は子どもがダラダラしているのも、失敗しているのも、全部目の当たりにします。それでいて、”口出しはしない”がルールです。さぞかし悶絶するでしょう(笑)そんな時、「この子は全部持っている」って思ってもらえたら、少しは腹の虫が治まるかなぁと想像します。

やや長くなりました。まとめますと、次の3つでしょうか。
①「失敗してもいいよ」は見守る大人の覚悟がいる
②「失敗してもいいよ」は親の自己肯定感がいる
③「マイプロU15」は大人の信じて待つ訓練。(信じて待つ為の呪文は「この子は全部持っている」?)

子どもは、プロジェクトが成長しても失敗しても学ぶのですから(気づきにつなげられるかはサポーターの腕の見せどころな気もしますが)、基本、好きに泳がせておけばいいのだと思います。「がんばってるねぇ」「すごいね」「あなたはどうしたいの?」と、言いながら。むしろ頑張らなきゃいけないのは、親の方かもしれません(笑)

プロジェクト終了後に、親の座談会をしても面白そうだと思いました。いざ、やってみると色々奥深いですね。

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▶CAMPFIRE|変わりゆく未来をしなやかに生き抜くために、子どもたちに「挑戦」と「自分で決める」機会をつくる。「マイプロジェクトU-15」クラウドファンディング、無事目標金額達成いたしました。ご支援ありがとうございました。
https://camp-fire.jp/projects/view/77232

小学4年生〜中学生の子どもたちが、夏休みを使って、自分のやりたい事を計画、実行するプロジェクト『マイプロU-15』をやってます。いただいたサポートは、プロジェクトの実施に活用させていただきます。