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「キミチャレ」の極意を、柴田朋子さんに聞いてみた③サポート編

前回の続き。前回は、子どものやる気を引き出して、チャレンジに向かわせるにはどうしたらいいの?という事を書きました。今回は、具体的に計画を立てるところです。
スタッフの知人の学校の先生から、「自分のやりたい事をすらすら計画立てられるのは、優秀な一部の子どもだけ」と、聞きました。でも、2012年の「キミチャレ」は、200名の応募がきて、選考で50組選ばれ、みんなプロジェクトを実行しています。(参照)一体、どんな仕掛けがあるというのでしょう?

子どもの「やりたい」をプロジェクトに仕立てあげるには?

下記写真は、「マイプロジェクトU-15」のエントリーシートです。「キミチャレ」のエントリーシートを踏襲しています。

柴田さんに「子どもたちって、エントリーシートの欄を全部埋めて、ばっちり計画してくるんですか?」と質問したところ、書いてくる子は書いてくるけれど、タイトル+プロジェクト内容一行しか書いてない子もいるそうです。そりゃそうですよね。
「ケーキ屋さんになりたい」「跳び箱名人になりたい」「消防士になりたい」・・幼稚園の将来の夢が、もう少しだけ具体的になったような、子ども達の「やりたい」。想像がつきます。そこから、どう「マイプロジェクト」に着地させるのか?いくつか具体例をあげて、手法を説明します。

曖昧なゴール(着地点)を明確にする

例えば、「忍者になりたい」というチャレンジを出してきた子がいたとします。この場合、子どもに「あなたが、忍者になれたって思うのは、どうなった時かな?」「どうなったら、忍者になれた!って思う?」と質問し、ゴールを導き出します。忍者のコスプレをすればいいのか、手裏剣をいっぱい作って上手に投げることなのか、何が”忍者”なのかは、子どもに聞いてみないと分からないのです。ありがちなのが、大人の先入観で「ハイハイ、忍者ね!じゃあ、日光江戸村に行って忍者屋敷で忍者体験だ~!」と、子どもの意見を聞かずに、手を引いて連れていっちゃうパターン。結果、子ども自身も楽しいから、みんなハッピー。レジャーならそれで良いもしれませんが、それでは、子どもが考えた事にはなりません。言い出した子どもすらも見えてないゴールを、サポーターの問いによって、子ども自身が描いていく所に意味があります。

アウトプット先をつくる

もう一つの事例として、「昆虫を調べ尽くしたい」というチャレンジ例をあげます。こういう子に、上の例にならって「どうなったら、調べ尽くしたって思う?」と聞くと「本100冊読む!」とか「インターネットでいっぱい調べる」などと、言うかもしれません。しかし、よくよく話を聞いてみると、もともと調べるのが好きで本も普段から沢山読んでいるそう。だから、どんなに調べても、それは普段の延長線で、特にチャレンジにならない可能性があります。そんな時は、「いつも、調べたことは、誰かに話したりしているのー?」「いっぱい調べて分かったこと、誰かに教えてみない?」という問いかけによって、子どもの目線を「調べる」というインプットから、「誰かに伝える」というアウトプットにずらす事が出来ます。実際にあった同様の例では、市の科学館で案内ボランティアをするというアウトプットにつながりました。
「絵をいっぱい描きたい」「ピアノを上手に弾けるようになりたい」など、そのままだとゴールが描きづらいチャレンジについては、アウトプットをつくってあげると着地点が明確になりやすいかもしれません。

実現を阻む壁を聞いてみる

もし、子どもが「ゲームがしたい」と言ってきたら?それは、プロジェクトになるのでしょうか?「ジュースが飲みたい」とか「ケーキが食べたい」とか、いとも簡単に実現できてしまうようなものを子どもが書いてきた場合、大人はどう対応すればよいのでしょうか?
 この場合は、チャレンジとして子どもが書いてくるからには、何か実現を阻む理由がある、と考えます。「ゲームがしたい」と子どもが書いてくるのは、ゲームが出来ない理由があるのです。だから、その壁を突破することが、子どもにとってのチャレンジになります。
「ゲームをどれくらいやったら、『ゲームやったなぁ~』って思う?」とゴールを確認し、それを阻む壁を確認します。例えば、お母さんが1日30分しかダメだ、と言うのであれば、夏休みの宿題を全部終わらせて、お手伝いもいっぱいするプランをたて、1日だけ思う存分ゲームが出来るよう、お母さんに交渉するのです。「ケーキを食べたい」なら、どんなケーキを食べたくて、それを実現するにはお金はいくら必要で、どこに行けば食べられるのかを調べ、お小遣いで足りるのか、足りないならどうするのかを考えるのです。実際には、上記エントリーシートにあるように、テーマのジャンルが設定されていますので、このようなチャレンジを書いてくる子どもはほとんどいないと思います。でも、どんなチャレンジも大人の先入観で良し悪しを決めずに、子どもの話に耳を傾けることで、プロジェクトに着地できるんだなぁと、話を聞いて思ったのでした。

こうやって、サポーターと子どもで対話を繰り返す中で(子ども一人で完結できちゃう子もいます)、子どものマイプロジェクトを作り上げていきます。プロジェクトが出来たら、次は実際の計画を立てる番。ここでもサポーター手法のワンポイントが。続きは、また次回に!


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▶CAMPFIRE|変わりゆく未来をしなやかに生き抜くために、子どもたちに「挑戦」と「自分で決める」機会をつくる。「マイプロジェクトU-15」クラウドファンディング、無事目標金額達成いたしました。ご支援ありがとうございました。
https://camp-fire.jp/projects/view/77232

小学4年生〜中学生の子どもたちが、夏休みを使って、自分のやりたい事を計画、実行するプロジェクト『マイプロU-15』をやってます。いただいたサポートは、プロジェクトの実施に活用させていただきます。