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【取材記事】「食べることが 社会貢献に。」自然にできる社会貢献の仕組みを作り提供する。選ぶ基準は「おいしい」でOK。

「農家支援キッチンカー」eat forは、農家支援を目的としたキッチンカー。ひとりで運転・仕入れ・調理・販売を行い、運営しています。市場の基準にあわない規格外野菜・余剰野菜を中心に仕入れ、フードロス削減に力を入れています。今回は新たに始めた支援プロジェクトの「CheerAD(チアード)プロジェクト」広告についてや、コンセプトへの想いなどを、今関様にお伺いしました。

お話を伺った方

今関麻子(いまぜき あさこ)様
千葉大学食料資源経済学科 在学中に学生居酒屋「あるばか」を経営。卒業後、生協パルシステムにて、営業および品質管理業務を担う。退職後、より多くのライフスタイルチェンジを導くため、
ヘルスケア事業に参画し、体感型の食育プログラムを提供。令和元年東日本台風の被害の状況を知り、翌年より「食べることが社会貢献に」を掲げるキッチンカーを手掛ける。


「eat for」 は、農家さんの支援を目的とした「農家支援キッチンカー」

「農家支援キッチンカー「eat for」

mySDG編集部:キッチンカーを始めるきっかけを教えてください。

今関さん:令和元年に東日本の大型の台風が大きな農産物被害を出してしまい、食べられるけど出荷できないお野菜が沢山あると農家さんの方からお話をいただきました。
それを買い取って、皆さんにヘルシーに食べていただけたらと考えて、キッチンカーでの販売をスタートしました。

mySDG編集部:現在は何件くらいの農家さんとお取引をしているのですか?

今関さん:8〜9件くらいですね。これから広がりを大きくしていきたいと思っています。

mySDG編集部:キッチンカーのeat forでは、フードロスに注力されているようですが、キッチンカーで使うお野菜は、規格外が主なのでしょうか?

今関さん:全てではないですが、規格外中心に仕入れをしています。時期やタイミングで規格外のお野菜が少ない時もあったり、多いときにはお声がかかったりしますので、買い取りをさせていただいています。

規格外野菜

mySDG編集部:お料理を提供するとなると、店舗運営の選択もあったと思うのですが、なぜキッチンカーを選んだのですか?

今関さん:まず、初期投資が少額でよいことと、今後はキッチンカーを増やし、物流の要素も担えたらいいと考えています。道の駅に出荷される農家さんも多いですが、そこでも余剰が出てしまうのであれば、買い取りをして運び、提供できたら効率もよいと考えはじめました。

mySDG編集部:仕入れをするのには車両が必要になるので、キッチンカーであれば物流の役目も可能ということですね。


「食べることが 社会貢献に。」コンセプトに含まれた意味とは?

eat for ロゴ

mySDG編集部:「食べることが 社会貢献に。」と掲げられていますが、どの部分が一番、”食べることで社会貢献になる”部分なのでしょうか。

今関さん:「食べることが社会貢献に。」には”買い物が投票になる”ということと”健康な人を増やしていく”という2つの意味を込めています。

”買い物が投票”ということについては、どうせ人は1日2~3食、食べて生活しますので、そのお食事が、フードロスの削減となる仕組みになっていれば、規格外として廃棄されてしまうようなお野菜でも、農家さんの努力を無駄にすることなく、食べることが農家さん応援になるという、とってもポジティブな循環がつくれます。
そして、2つめの意味としては、お野菜や、なるべく添加物のないオーガニックなお食事を通じて、”健康な人を増やしていく”ことで、医療費の削減をすることができ、社会貢献になると考えています。

この2つの意味から、食べることが社会貢献になるお店づくりをしています。

mySDG編集部:「社会貢献」というと、「ボランティア」や「寄付」など、日常生活とは少し別枠のイメージがあるかもしれません。しかし「ランチ」を通して社会貢献ができる機会があるのは、消費者としてもありがたいですね。とても素晴らしい選択肢をご提供いただいてますね。

今関さん:堅苦しくなく、”食べたいから” ”おいしいから”と選んでいただくだけで、社会貢献につながってるよ、という自然な形で提供したいんです。

mySDG編集部:日常のお買い物の場面で、社会貢献につながるサービスや商品が並んでいると、気に入ったものを選ぶだけで自然に社会貢献ができるわけですよね。まさに理想的な社会ですね。

農家支援丼(特製ジンジャーシロップの生姜焼き丼)


スタートした「CheerAD(チアード)プロジェクト」の広告と、既存の「ご縁プロジェクト」農家さんを支援するふたつの仕組み。

「CheerAD(チアード)プロジェクト」仕組み

mySDG編集部:キッチンカーに「CheerAD(チアード)プロジェクト」という広告を募集しているとのことですね。どういったプロジェクトなんでしょうか。

今関さん:広告はキッチンカーの空いているスペースに企業や団体のロゴを貼らせていただきます。プロジェクトの内容は、広告費から広告シール代を除いた金額から1割を、出稿していただいた企業様や団体様に還元する形で、キッチンカーの食券を発行しています。
残りの9割は農家さんに全額寄付します。今後の案としては、農機具を購入して寄付したり、修繕費に当てたりすることも考えています。

mySDG編集部:現在、どのような企業が広告を出しているのでしょうか?

今関さん:農家さんが応援をしたいと、手を挙げてくださって出稿しています。今回、広告を出して頂いたのが農家さんだったので、還元としてフードロス削減のため、お野菜の購入費に当てようと思っています。また、健康・ヘルスケア関係の活動をされている会社さんや、農業・農家支援の会社の方、教育関係の会社の方が、スポンサーして下さっています。

mySDG編集部:年間3万円〜の広告費なので、金額的に個人でも応援することが可能だと感じました。個人からの応援のお話は受けているのですか?

今関さん:個人の方からのお話もお受けできるかなと考えています。その場合、農家さんのロゴを貼らせてもらう形にしようかと思います。

mySDG編集部:私がもし、個人で応援させていただいたら、還元として規格外野菜を送っていただけるとうれしいですね。年間通してふるさと納税のような感覚で、季節の野菜、余剰野菜、規格外野菜などが届くと面白いと感じました。

今関さん:そうですね。そうしたマッチングも私のお店をきっかけにできたらいいですね。
まだ始めたばかりのプロジェクトなので、個人の方を含め、広告を出して下さる企業様や団体様を募集しています!

「eat for」キッチンカーでつなぐ、農家支援の仕組み

mySDG編集部:「CheerAD(チアード)プロジェクト」は、農家さん支援のプロジェクトの広告なので、企業や団体のロゴを目にするだけで企業イメージはとても上がりますね。ランチ提供をしているのも東京の麹町など人の多いオフィス街などですから、沢山の人に見ていただけますね。

今関さん:先日、TVのニュース番組にも特集を組んで頂いたんです。知名度も少し上がったかなと思います。今日も麹町から帰ってきたところです!

mySDG編集部:ニュース特集に取り上げられたのは素晴らしいですね。今関さんはお一人でキッチンカーを切り盛りされていてお忙しそうですが、とても元気でいらっしゃいますよね! ヘルシーなお食事で健康を体現されているようです。
ところで、最近は余剰米の問題もありますが、eat forでは、米農家さんとのつながりはあるのでしょうか?

今関さん:1食につき5円を提携農家の支援金とする《ご縁プロジェクト》を展開しています。今回は、愛知県の米農家のKTさんに寄付をさせていただくことになりました。KTさんとも、「お米の消費を増やしていきたいよね」とか、「米粉の活用ルートを作りたいよね」と話しています。

取り組みベースではまだ未定ですが、日本人のお米離れがあるので、eat forとしては皆さんに、お米を食べて「おいしい」と改めて気付いていただきたいと思っています。


さまざまなSDGs活動に取り組みをしつつ、前面に押し出しすぎない。お客様に伝えるバランス感がカギ。

「eat for」取り組むSDGs

mySDG編集部ホームページでも分かりやすく取り組んでいるSDGsの項目がありましたね。目標番号1.3.4.6.8.9.11.12.13.14.15と、驚くほどの多さなのですが、SDGsへの取り組みは、創業時から視野に入れていたことだったのでしょうか?

今関さん:私自身の自然な選択基準がSDGsに近い感覚なんです。SDGsに沿って掲げたのはあとから行ったことでした。元々自然派なものを、好んで選んでいましたし、大学生の頃からリユースビンを普及・啓発する活動に携わっていました。SDGsの前身のMDGsも勉強しましたね。
社会人になってからはパルシステムに勤め、普段の暮らしにおいても環境に良いものを選んで、友人にすすめていましたね。

mySDG編集部:「農家支援キッチンカー」の立ち上げで初めてSDGsに特化した事業を始められたんでしょうか?

今関さん:そうですね。私一人で営業しておりますので、私自身の自然な選択基準でSDGsにあてはめて行っている事業になりますね。

農家支援カレー 
オリジナル(ヴィーガン仕様)・ スペシャル(卵・乳あり)の2種類。

mySDG編集部:事業自体が農家さんの支援を目的としていることなので、事業そのものがSDGsの活動になると思いますが、SDGsの活動をする上での困難や課題などはありますでしょうか?

今関さん:キッチンカーは農家さんの支援やフードロス削減を目的に行ってますが、例えば ヴィーガンや食のこだわりなども前面に出しすぎてしまうと、「自分は違うな」と感じてしまわれる方も、いらっしゃるかと思います。
そのあたりのバランス感がとても大事で、どういった形で表現するのか、価格設定はどのくらいにするのかなど、お客様とのコミュニケーションの部分が難しい部分ですね。
常に、思考錯誤の中で営業しています。

mySDG編集部:個々の意識レベルに合わせながら、コンセプトを伝えるバランス感覚が大事ですね。確かに難しい課題ですね。しかし、とても上手な取り組みの仕掛けもありますね。eat forのマイボトル持参の推進の仕方はユニークで、マイボトルを持参するとお茶を注いでくれるとのことですよね。無理なく自然に「使い捨て食器の削減」に取り組める、非常に良いサービスですね。

今関さん:そう思っていただけるとうれしいです。


今後も、農家さんへの関心・つながりを更に大きく広めていきたい。

「CheerADプロジェクト」広告ステッカー

mySDG編集部:SDGs活動で広まって欲しいと思うことはありますか?

今関さん:eat forでは、「CheerADプロジェクト」の活動がより活発になることを願っています。。この仕組みが軌道に乗れば、多くの飲食店やキッチンカーに広まり、農家さんへの関心や人々のつながりも増えていけばいいなと思っています。

mySDG編集部:今後の展望・目標などを教えてください。

今関さん:今、目の前にあることを一生懸命やっていて、こうしたご縁がつながっているので、必ずこうしたい! ということは見えていないところがあります。ただ、これからもより多くの農家支援のきっかけをつくれるよう、冷凍食品を作り、配送するサービスのリリースや店舗営業も視野に入れています。また、同様のコンセプトを持つキッチンカーの仲間をつくることなどもいいですね。どのように発展していくのかはその時のご縁に任せようと思います。
今後は、農家さんとのつながりを大きくしていくこと、世の中のSDGsに関するムーブメントを大きくしていけたらいいと思っています。

mySDG編集部:最後にアピールしたいことはありますか?

今関さん:お店に会いに来てくれたり、買っていただけることが、やっぱり嬉しいですし、実際に足を運んでいただくことは、一番の勇気になります。

そして、チアードに協賛していただける企業さまや個人さまがいらしたら、ぜひご紹介してください。

mySDG編集部:そうですね(笑) 今、出店されている主な場所はどちらになりますか?

今関さん:東京の麹町、下北沢です。田町にも出店していますが、今後、固定になるかもしれません。あとはイベントが多くなってきています。

11月に栃木のマルシェに参加予定です。東京・千葉・神奈川・栃木で出店をしているので、その周辺のマルシェ・イベントなどに参加しています。最新情報はインスタグラムで更新されているのでぜひチェックしてください!

mySDG編集部:本日は貴重なお話をありがとうございました。


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