見出し画像

「やりたい夢が叶うまちみなみそうま」|#よりみち奮闘記

こんにちは。
よりみちの小南です。

前回は南相馬にきたきっかけや何をやっているのかという記事を書かせていただきました。
今回2回目の投稿は、よりみちの”畑隊長”として南相馬での生活について、なぜ畑をやっているのか、MYSH畑のこと、南相馬の暮らしについて、1年を振り返りながら書いていきます。

前回の記事はこちら↓


みなみそうまでの暮らし

みなさんは、地方での暮らしと聞いてみなさんはどんな日常を想像するでしょうか。

地方に来たら、広い一軒家で、庭に畑があって、野菜を育てて、犬を飼ってなど・・イメージする方は少なくないと思います。
私も南相馬に来る前はそんなイメージを持っていました。

ですが、南相馬は人口約5万3000人のまち。
家の近くにはスーパーやコンビニ、ドラッグストアがあり、食べたいものは買いに行けば手に入る環境で不自由なく、想像していた地方の生活とは少し違いました。

そんな南相馬でMYSHが運営している畑のこと、南相馬での私たちの暮らしについてご紹介したいと思います。

MYSH畑について

今私たちは普段、週に1度の畑作業をしています。

原町と鹿島の間にある農家民宿いちばん星の畑のー区画を借りて野菜を育てています。
春はじゃがいも、夏はトマト、きゅうり、なすにピーマン、バジルやスイカも作りました。
秋はさつまいも、冬は大根、白菜、ブロッコリーに小松菜などが育っていて、今年はたくさんのパクチーも作っています。

畑を始めて、1年の最初のシーズンはじゃがいも収穫。

春前に植えたじゃがいもは夏を目前に収穫ができます。毎年じゃがいもは地域の人と収穫会を開き、大人も子供も楽しんでくれるイベントになっています。

自分で植えたものが育ち、収穫し、みんなで調理して食べること。
南相馬に来て、生活をする中で大きな楽しみの一つです。

じゃがいも収穫体験の様子はこちらの記事をご覧ください。

そんな、MYSH畑には農家民宿いちばん星の星さんと平山さんという農家さんからご協力を頂きながらやっています。
星さんは、農家民宿いちばん星のオーナーで、震災後自宅でボランティアの受け入れをされるうちに自宅を一般の人も利用できる民宿にしました。
里山を作りたいという想いから、動物を飼い、畑を持ち、地域の人に親まれる場所として愛されています。

平山師匠はこれまでの農家の経験を生かし、私たちに野菜作りを教えて下さっています。

MYSH畑を始めたのには野菜を作ってみたいという気持ちもあったのですが、南相馬という場所でせっかく畑をやるなら、ただ野菜を作るだけではなく、地域の人も気軽に来れたり、様々な世代の人が楽しめる場所を目指しています

私たちのように、外からやってきた人も地元の人も地域の人と気兼ねなく話が出来たり、みなみそうまを楽しめる場所を作りたいというのが、MYSH畑の目標です。

1年目は師匠から手解きを受けながら、土を耕し、肥料をやり、畝をつくりようやく畑に種をまきます。

クワを使い、土を起こしていく作業があります。
作業が終わった後は汗だくで筋肉痛。
師匠の手つきは軽々やっているように見えるのに、自分たちでやってみると、クワは重く、思う様に動きません。
それでもようやく、出来た畝に種をまくのはとてもワクワクする瞬間です。

畑の平山師匠はいつも「自然に無駄なものはない」と言います。

土には虫がいて当たり前。虫が食べないものは人間も食わない。
野菜の色や大きさが同じ種類でも違うのは天気も毎日違うから。
種をうえ、雨がふり、芽が出て、野菜が育っても、1日でも同じことは起きない。
毎日天気は違うし、今年上手くいったからといって来年も全く同じようにはいかない。
人間は自然には抗えないし、そして、それは自然と全部、繋がってるんだよ。
天候に左右される日も畑は欠かさず、手入れに行くこと。
これはMYSH畑のルールです。


今年の冬に収穫した白菜。大きいものができて笑みがこぼれます。
自分で育てた野菜は我が子の様です。笑

地域の人との繋がり

地域の人とのつながりも少しずつ増えています。

よりみちの地域交流イベントとして、じゃがいもの収穫祭を初め、夏は流しそうめん大会をしました。

プログラムでは野菜を収穫して、採れたての野菜を調理して、みんなでご飯を食べます。
秋は焼き芋の会をしたり、時には地元の朝市に出店して、地域の人にも食べてもらう機会も少しづつ増えてきました。

昨年の夏にはMYSH畑に看板が出来ました。
近所の人や畑の前を行き交う人にもMYSH畑を知って欲しいと思い、地元の方から頂いた木に、当時高校3年生の女の子が、看板のデザインを描いてくれました。

イラストにはいちばん星の動物や星さん、師匠の顔もあります。
今では、畑に来てくれた人たちとこの看板の前で写真をとるのが恒例になっています。


MYSH畑の看板の前

畑を通じたMYSHコミュニティ

畑には、年間200人近い人が訪れてくれています
MYSHのプログラム参加者や地域の交流イベント、また野馬追や行事で南相馬に来た人に案内をしています。

また、よりみちの仕事暮らし体験プログラムでは畑での農業体験を通じ、地域の方々との交流機会をつくっています。
これまでに100人以上の学生や若手社会人の方が畑にきて、野菜を収穫し、料理を作って、食べる。
夏はポテトサラダ、冬は鍋がいつもの定番です。
ポテトサラダは畑のじゃがいもに採ったきゅうりや好きな野菜を入れます。

好きな具材を入れて作るポテトサラダはいつもバラエティに溢れていて、毎回どんな味になるかが楽しみです。


山盛りのポテトサラダと畑の野菜で作った料理

パクチー作りで名産品づくり

南相馬にはこれといった特産品が少ないことから、MYSH畑の野菜で地域の名産品を作ろうというプロジェクトも始まりました

南相馬にはお米やブロッコリー、いちごなどの地元産品も出来つつありますが、全国を見たときに南相馬よりも有名な場所やブランドはたくさんあります。

せっかく南相馬に来たのなら、地域の人の想いがこもった商品をお土産に持って帰ってもらいたい。家に帰っても南相馬を感じられたり、周りの人に南相馬のことをもっと知ってもらいたいと思いました

そこで考えていたのがパクチーです。
パクチーは全国的にも有名な場所がほとんどなく、かつハマる人には中毒性があります。
リピーターが多いことや商品としての単価が高かったり、私たちと同じ2、30代女性が好む傾向のある野菜です。

南相馬には飲食店はあるものの、タイ料理やインド料理、多国籍料理屋さんがありません。
たまにはスパイスの効いたものが食べたいと思う日もあります。
そこで、そういった料理が無いなら、自分たちで作ってみようと、MYSH畑でパクチーを作り始めました。
最初は師匠に話をしてもこれまでに作ったことがない、と言われたこともありましたが、いまはMYSH畑にたくさんのパクチーが広がっています。


失敗の先にようやく出たパクチーの芽

今年で2年目になるパクチー栽培ですが、何度も失敗をしました。
夏は暑く、暑すぎて、中々芽が出ないこともありました。
だけど、失敗しても「もう一度やってみよう」と、師匠をはじめ、周りのメンバーもそんな声をかけてくれます。
昨年の夏も2回失敗し、やっと芽が出た時はとても嬉しい瞬間でした

新たな挑戦

畑2年目のシーズンには初めて、バジルやスイカ、ビーツ、さつまいもなども作りました。
毎年のじゃがいもは今年も豊作。

また、周囲の人たちとのつながりも増え続けています。
夏には畑に植えたバジルが大きく成長し、バジル畑となりました。

その様子をよりみちのインスタグラムでみた、キッチンカーの店主の方がピザのソースにしたいので譲ってもらえないかという話があり、販売をすることにしました。

また、パクチーの種=コリアンダーシードが入ったお酒を作ってもらったり、カレーやスープのトッピングにパクチーを使ってみたいと、声をかけてくれる地域の人たちもいます。


浜通りでお酒づくりをしている「ぷくぷく醸造」さんのお酒。
MYSH畑のコリアンダー シードが入っています。

最初は2人で始めたMYSH畑、今では100人以上の人が畑のことを応援してくれています
これらの後押しをしてくれたのが、首都圏に住むチームMYSHの料理人チームの人たちです。

事業の1つで畑の野菜の商品化に取り組むことになり、料理人のシェフ、栄養士の方、フードコーディネーターの方々たちの力を借りて、フレッシュパクチーを使ったソースやコリアンダーシードを使った商品を開発予定です。

来年はハーブや畑の野菜を使ったピザ作りやスムージー作りなど、夢が広がります。


畑のパクチーで試作した、パクチーソース。
レシピの試作やパッケージのデザインも考えました。

よりみちの活動は移住相談だけではなく、南相馬に来てくれた人、移住した人にどう暮らしを楽しんでもらえるか、これは私たちにできることの1つだと考えています。

外から来る人を待つだけでなく、来た人のやりたいをどう後押しできるか、そんな人のやりたいを実現できる様、チャレンジできる土壌を耕しています。

私にとって南相馬は畑で野菜を作れるだけではなくて、やりたいことを実現できる場所でもあります。

やりたいことを口にしたら、きっと後押しをしてくれる人、応援してくれる人がいる。
そんな南相馬は私にとって唯一無二の場所です。

昨日より、今日、今日よりも明日が、もっとよくなる未来を作って行きたいと思っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?