steam版うみねこのなく頃にプレイ記Ep3

Ep2で戦人がボッコボコにされてのEp3。
私としてはある程度説明がつく感じにできていたので(前回参照)、最終盤の儀式の辺りは割と飛ばし気味に見てました。

Ep3に入った辺りで思ったのは、人物関係や舞台背景は、よく作中で擬えられているチェスでいうところの初期配置だと考えれば、Ep1でも10とかになっても変わらないんだろうなと。Ep1とか2とかってのは7番勝負の1戦目とか2戦目とかということでしょう。将棋だと駒落ちがあるから初期配置が変わることもありますが、チェスはどうやら駒落ちとか無いようですし。


事件に入る前の赤き真実(以降も赤き真実は太字にしています)
・六軒島に存在する全ての扉は、鍵が通り抜ける隙間はない
・六軒島の森の中に、九羽鳥庵という隠し屋敷が実在する
・実際にこの場所で、金蔵とベアトはこのような会話をしていた
・金蔵とベアトの会話は1967年(19年前)の世界
・1967年の六軒島の隠し屋敷に、人間としてのベアトが存在した
・六軒島に19人以上の人間は存在しない


復唱拒否
・この島には18人しかいない

ベアトリーチェの密室定義
内外の出入りが一切隔絶された室内。内外からの一切の侵入、脱出、干渉ができない。隠し扉の否定、外部干渉の余地は無い。声やノックでの意思疎通は可能

事件の前段階で、戦人とベアトリーチェの間でこのような折衝がありました(赤き真実を中心に一部抜粋)。
九羽鳥庵とかの件は作中で楼座の過去として語られているのでまあ大した事では無いでしょう。舞台背景に一つ追加程度。
事件に関わってくるのは、"六軒島には19人以上の人間は存在しない"、ここに尽きます。ですが、これは"島には18人しかいない"を復唱拒否したところにより、私が初回から言っていた「実は少なかったんじゃね?」説を否定していないどころか、更に自信を持つ発言になりました。あれ?割と適当言ってたのにあってる?みたいな感じではありますが。


~第一の事件~
・マスターキーは、各使用人が1本ずつ計5本存在する
・6つの部屋の扉や窓は、オートロックのような、鍵を使用せず施錠できるような仕掛けは存在しない
・金蔵、源次、紗音、嘉音、郷田、熊沢の6人は死亡している
・6つの部屋には誰も隠れていない
・6人は即死だった
・室内には犠牲者しかおらず、それ以外の人物は室内には存在しない
・6人はトラップ(仕掛け人が直接関与せずに殺人を遂行できる仕掛け)で殺されてはいない
・6人は誰も自殺していない

復唱拒否
6人は全員他殺である

死体発見の順番は、紗音→熊沢→郷田→源次→金蔵→嘉音
発見場所は、
紗音:一階客間
熊沢:二階客室
郷田:三階控室
源次:二階貴賓室
金蔵:ボイラー室
嘉音:礼拝堂

前回で復唱拒否部分をメモしていなかった反省より、今回はそれも記述しております。あと、死体発見の場所と順番も重要になってる気がしたので、それも併せて。

まず議題にすべきは、赤き真実である"6人は自殺していない"と復唱拒否の"6人は全員他殺である"の差異でしょうか。"6人は死亡"(即死しているという赤き真実より)しており、"6人は自殺していない"と明言しておきながら、"6人は他殺である"ことを否定しているのは、作中で戦人が言及したように誰かが事故死だったでまあ説明できるとしても、それでは後に困ることになるんですよね。困るのは後回しにして他のお話もしましょう。

死体発見の順番は、連環密室(勝手に言ってるだけです)になっていることより一見問題では無さそうにも思いますが、見つけやすそうな、若しくは突入しやすそうな場所から考えるとこうにしかならないのでは?とも思います。のであれば、ある程度見つけて欲しそうなところに見て欲しい死体を設置している可能性を考えておくべきなのでしょうか。この論理から言うと、一階という突入しやすい場所(わざわざ二階スタートで窓破るなんて発想にはならないと思います)の紗音を最初に発見してほしくて、スタート位置より最後になる嘉音はこの中では一番発見してほしくなかったのではなかろうかと。金蔵から発見していれば源治が最後になっていましたね。で、この時の疑い位置は前回どころか初回からずっと疑ってる紗音と嘉音なんですよね。一階という窓から出入りしやすい位置に紗音、一人だけ館では無い嘉音とか、これまでの流れから疑ってくれと言ってるようなものです。
順番と場所に理由を求めるとすれば、まず紗音の死体として発見される→順番に死体を発見させていき、その間に礼拝堂で嘉音として死体になっておく→嘉音の死体として発見される
あたりで一応説明はできます。少し忙しそうですが不可能では無さそうですね?紗音の死体が発見された一階客間は、最初は密室でしたがみんなが破ってくれたから脱出できたというわけです。これだと死亡確認をした南條が共犯でないと成立しなさそうです。
あと、話の順番とは大きく前後しますが、これで譲治が紗音の死体の所に行った件についても説明できそうです。魔術によって紗音が蘇ったみたいな描写でしたが、そうなった理由ってのは、"紗音の死体が無かったから"なのではないかと。死体が無い→実は生きている→蘇った? みたいな?まあ茶番っぽい魔術や悪魔関連の描写に意味を求めれば、の話ですが。
とここまで書いて色々と大問題があるんですよね。Ep2で「二重人格の一つの人格を消滅させたのを殺したと表現した」というようなことを書きましたが、赤き真実で"紗音と嘉音死亡している"と言われています。「人格の一本化がテーマか?」というようなことも書きましたが、どちらも死んじゃってるんですよね。とすると、紗音、嘉音として死んだふりでもしていたのは誰なんだと。人格がもう一つ?流石に暴論しょうか……?でも、館の人口が18+xみたいな話からすると、多重人格の数だって2+xの話になっても……良くはないですね。紗音と嘉音を別人として数えて18人になっているとすると、もう一つ人格があればそれを一人を数えていないといけないわけですから、19人になってしまい、”六軒島には19人以上の人間は存在しない”という赤き真実に反しているわけです。いや……でも、初回から言っていた「実は金蔵は事件日時点で既に死んでいるのでは?」説で金蔵の分マイナス1すれば、一人増やして一人減り、差し引き0の18人。計算上は成り立たなくはないですが……


~第二の殺人~
・楼座と真里亞は死亡した。他殺である
・死因は南條の見立通り(楼座:延髄部への作の先端部分による刺突、真里亞は素手による絞殺)
・秀吉は事件の前後の時間帯はずっと部屋にいた。

復唱拒否
・絵羽は事件前後の時間帯は全て部屋にいた

まあこれは私からお話するようなことはあまり無さそうですよね。戦人が言及した通り、絵羽が犯人、秀吉はアリバイ工作要員で問題ないでしょう。
これで終わってもいいのですが、一つ謎はあります。それは、"この事件の犯人は絵羽(と秀吉)でいいとして、絵羽は第一の事件とはあまり関わっていそうにない"点です。まあ別に「全ての事件の犯人は一人」だとは誰も言っていないのですが。そうなると、Ep3での連続殺人は、第一の事件の犯人によるものと、第二の事件の犯人によるものの二つの構図がある、という可能性を頭に置いておくべきなのかもしれません。


~第三の殺人~
・霧江は食料はいらないと考えていた
・霧江はゲストハウスを出ないべきだと主張していた。にもかかわらず自ら食料を取りにゲストハウスに行くことを提案する
・心変わりの理由は、誰にも語られておらず、記されてもいない
・霧江は死ぬ最後の瞬間まで、
 ”食料を取りに行かない”=”屋敷に行かない”という行動式を維持していた


復唱拒否
・留弗夫、霧江、秀吉は死亡している
・絵羽は事件の時間帯ずっと部屋にいた
・霧江の持っていた吸殻は、絵羽が休んでいた部屋の灰皿でもみ消された

霧江の遺留品
ハンカチ、化粧紙、自宅の鍵、航空機の半券、ライター、煙草の吸殻、百円玉
霧江の持っている吸い殻は秀吉の煙草と同じもの

霧江の行動に関しては私が言うまでもなく戦人の推理通り、"犯行に関与していると思われる秀吉を追及するため"でしょう。遺留品とか頑張ってメモしていましたが特に必要なさそうです。

それはいいとして、Tipsを見てみると、
・霧江は”腹というのは致死性に欠ける”
・秀吉は”まだ生きていたなんて”
などと記述されています。腹もですが、後の膝とかもっと致死性には欠けると思うのですが。
あと、秀吉の"まだ生きていたなんて"というのはどこ視点でのものなのでしょうか。現場に居合わせた絵羽("絵羽は事件の時間帯ずっと部屋にいた"の復唱拒否より類推。具体的な描写は恐らくありませんが、いたと考える方が自然です)視点と考えるのが話は早いですが、館に潜んでいた第一の事件の犯人視点でも成立しそうではあります。……改めて考えてみると、視点は然程問題ではないのかもしれません。
ただ、起こった状況には何らかのイレギュラーがあったのではないかという推測はできます。まあ、絵羽が共犯の秀吉を撃って「まだ生きていたなんて」なんてのは少し考えづらいので、留弗夫か霧江に銃撃でもされたのを見ていた、とでも考えておくのが無難でしょうか。それどころか、”留弗夫、霧江、秀吉は死亡している”が復唱拒否されたことにより、誰かは生きてるのかと思っていました。後に否定されますが。
七杭の悪魔との戦闘描写(しかも悪魔が負ける)も、ここで何らかのイレギュラーがあったと考えることもできます。これも魔術や悪魔辺りの描写に意味を求めるとすればですが。


~南條の殺害~
・朱志香負傷後、絵羽は常に戦人の監視下にあった
・戦人は犯人でも共犯者でもない

→上記二点より、アリバイ偽装など、不審なことをできるあらゆる可能性は存在しない
・この島には19人以上の人間はいない
・人間以外の生命は一切このゲームに関係がない
・金蔵、蔵臼、夏妃、秀吉、譲治、留弗夫、霧江、楼座、真里亞、源次、紗音、嘉音、郷田、熊沢、南條の以上15人は死亡している
・戦人、絵羽、朱志香の3人は生存している
・犯行時の使用人室には、南條と朱志香しかいなかった
・朱志香は殺人を犯していない
・朱志香は南條殺しに関与していない
・朱志香の目は完全に塞がれている
・絵羽と戦人は南條殺しに関与していない
・南條は直接的な殺害による他殺
・凶器を構え、真正面の至近距離から殺した
・犯人は、南條の目の前に堂々と現れ、互いに顔を見合わせながら殺害した

この事件は赤き真実があまりにドバっと出たのである程度まとめています。ゲーム中の通りに”○○は死亡している”で15行使うの見づらいですし。
赤き真実により、18人全員が犯人ではない(15人が死亡しており、生存している3人の犯行への関与が否定されていることより)というのは、対偶的に新たな人物がいてそれが犯人であるということではないかと思うのですが。その新たな人物の候補というのは……現状私が考える範囲では、第一の事件の犯人である紗音(=嘉音)のもう一つの人格(便宜上”太郎”とでもしておきますね)ぐらいしかおらず、この一点のみでここの大量の赤き真実は抜けることはできます。多くのことを言っているようでいて、内容はそれほど濃くは無いです。
これにも勿論問題はあって……私の説では第一の事件の共犯は南條です。この最終局面で身内切りする理由は全く不明です。最終局面だからってのはあるかもしれません。
少し視点を変えて、ここで一つ考えたいのが、この事件の赤き真実の最後二項です。太郎が犯人と前提します(というか他に候補がいない)が、太郎にとって目の前に現れて警戒度マックスにならない人物を考えた際に、物理的に見ることができない朱志香を除くと、第一の事件の共犯の南條ぐらいしかいないのではないでしょうか?と朱志香にしたって、目が塞がれたのは絵羽との揉み合いの末という不確定要素によるもので、実際に朱志香を見るまでわからなかった可能性もあります。となると、人数を削ることが目的であれば、太郎視点で堂々と現れて殺害を狙える人物は南條だけになっている、ということでしょうか。これが殺害理由……?ちょっと首を傾げたくなりますが、絵羽が似たような感じで最終的に戦人を殺害している状況を見るに、案外そんなもんなのかもしれません。

省略しましたが、蔵臼・夏妃夫妻のは別にいいでしょう。かわいそうですがあまりお話するようなことも無いです。


Ep3に関しては、”犯人が太郎と絵羽による二種類の連続殺人が並行して行われている”と考えれば、それほど矛盾無く説明できるように思います。まあ太郎の存在というのがそもそもかなり苦しい所ではあるのですが。
ベアトとエヴァの二人の魔女が登場したというのも、犯人が二種類いるということの隠喩なのかもしれません。二人の魔女の犯行も、ベアトは太郎、エヴァは絵羽によるものと見ることもできそうですね(南條を除く)。繰り返しになりますが、これは魔女や魔術の描写にどこまでの意味を求めるかにも依ります。今にしてEp2の魔女・魔術の描写を全部茶番、ノイズだと半分読み飛ばしていたことが悔やまれます。改めて読み直す手もありかも?
Ep1、2で構図をある程度構築していれば、Ep3はそれほど難易度は高くなさそうに思います。これまでで一番苦しい説明しといて?と言われれば確かにそうなのですが……