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日本海とパーフリと松竹湯のこと

人事の関係で4月に入ってからずっと激務だったが、12日をもって解放。
達成感、安堵感とともに、私の胸をある想いが駆け抜けた。

「海が見たい」

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上京2年目失恋OLみたいなことを想った自分に動揺しているが、とにかく海が見たいのだ。

海が見たい。叶わないなら、おっぱいが見たい。

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ふざけているわけではない。いうまでもなく、海もおっぱいも母性のメタファーである。

私は母性を求めているのだ。私もOLも、おとなもこどももおねーさんも、欲しているのはMOTHERである。

シンプルに実家へ帰って母親の顔を見ればよさそうなところだが、疲れたからといってお母さんへ会いに行く中年男性はヤバい。

疲れたからといって、おっぱいが見たいと言い出す中年男性はヤバくないのかというと、それはそれなので、とにかく海を見るしかない。

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私が暮らす札幌には海がない。札幌市民にとっての海は、小樽か石狩だ。

車を持たない私がいずれかの地で海を見るためには、公共交通機関を使う必要がある。
JRに乗り込み日本海へ向かう独りの中年男性。どう考えてもバッドエンドの予感しかない。

もちろん、私はただ単に海が見たいだけで、よからぬ考えはこれっぽっちもない。なのに漂う死の匂い。おっさんは哀しい。

「海へ行くつもりじゃなかった」
とかいって舌を出す季節は、とうの昔に過ぎ去ったのだ。

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「ほぼ日本海じゃん!」

松竹湯の大きな湯船に浸かり、キラキラと光る水面(湯面)を見ながら呟いた。
どう考えても日本海ではないが、疲れはイマジネーションを飛躍させる。

私が日本海だと感じれば、そこはもう日本海なのだ。ホッケもカレイも泳いでいないし、不審船が現れることもない。それでもここは日本海である。日本海よりも日本海だ。小樽や石狩から望む日本海なんて、むしろ太平洋だろう。

この湯こそが日本海だ。
笑う者にはジャパニーズ・オーシャン・サイクロンスープレックスをお見舞いする。

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海は遠いが、湯は近い。

「銭湯に来るつもりじゃなかった」
舌を出した。これならおっさんにも許されるだろう。いや、銭湯には来るつもりだったけど。

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three cheers for our side.

我らに万歳三唱を。頑張ったもんね。

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