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札幌銭湯スタンプラリー2023のこと(その20・文の湯)

札幌銭湯スタンプラリー2023、20軒目は文の湯さんへ。

スタンプラリーの締切が迫る中、相変わらず訪問ペースが落ちている。まずい。

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昨日(土曜)はこともあろうに大自然の中でグラスを傾けながら音楽を楽しむという、まるで普通の人間みたいなことをしてしまった。

私のような根暗インターネットおじさんがいてはいけない空間だが、ターンテーブルに鎮座する7インチが「MajiでKoiする5秒前」であることに免じて許してほしい。

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翌朝、当然のように酒と疲れが残っていた。今日こそは銭湯でスタンプを貰わねばと思うが、身体が動かない。

突っ伏したままニュースを見ていると、今日は北海道マラソンが催されるとのこと。
中学時代に「校内マラソン大会で美術部のやつに負けた史上初の陸上部員」という伝説を残した私はマラソンに何の興味もないが「ランナーの皆さんで銭湯が混むかも」とさらに気持ちが萎えてしまった。

ダラダラしているうちに、外は雷雨となった。ノー銭湯でフィニッシュが現実味を帯びてきた。

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雨の上がった18時近く。

「これでよいものか!」

私は急に立ち上がった。
このままだと今日という日は「床に臥したまま、きしたかののYouTubeを見まくった日」として終わる。それはそれで全然よいのだが、私にはスタンプがある。

「乗り換えの必要がない」という積極的な理由で、地下鉄・琴似駅近くの文の湯へ向かうこととした。

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日曜夕方の東西線。

おしゃれブランドのショッパーを抱えたカップル、アニメ映画のパンフレットを握りしめた子どもと母親。
人々の日曜は地下鉄のスピードに乗って終わりへと向かっている。それなのに私は。

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札幌の西側はあまり馴染みがない。しかし琴似駅はそれなりに使ったことがある。そして琴似駅周辺の雰囲気が好きだ。

煙たい居酒屋、おしゃれなスープカレー屋、昭和の匂いを残す八百屋、エステサロンみたいな歯医者、地味な区役所、荘厳な神社。
要はガチャガチャしている。それが、とてもよい。

私がアド街の作家なら会議で「次、琴似でいきましょう!」と提案したい。そんなエリアだ。

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ガチャガチャな通りを抜け、住宅街を縫うように進み、文の湯へ。

「アド街見ました!」
そう告げながらスタンプ用紙を番台へ。

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はじめての文の湯。

浴場に演歌が響いてた。大自然に囲まれての広末もよかったが、風呂屋での八代亜紀もよい。

大好きな水枕(冷たい鉄の棒枕)は薬湯に設られていた。本日の薬湯は「ねぎらいのお風呂」だった。

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ねぎらい。

私の知る限り、薬湯というのは「ミント」「よもぎ」なはずだが「ねぎらい」とは。
概念から成分を抽出できるまでに科学は進歩したのだろうか。

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今日ねぎらわれるべきなのはマラソンランナーであり、子どもの映画に付き合った母親だ。

柄にもなく野外のパーティではしゃぎ、酒と疲れで突っ伏していた中年男性ではない。

でも、ねぎらいのお風呂は、文の湯は、銭湯は、私をねぎらってくれた。

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住宅街を縫うように進み、ガチャガチャな通りを抜け、琴似駅へ。

私の日曜が地下鉄のスピードに乗って終わりへと向かう。さっきよりも、ほんの少し速い。

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当然、家に着いたのは結構な時間だった。
昼寝のせいか、あるいは初めての文の湯で興奮したせいか、睡魔がなかなか襲ってこない。

MajiでKonya眠れない 真夜中の5秒前。

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