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札幌銭湯スタンプラリー2023のこと(その1・寿湯)

さつよく。札幌公衆浴場商業協同組合の略である。

ラブジェネはラブジェネレーションの、両リンは両者リングアウトの略だが、これは書きたかったから書いただけで、今回のお話に全く関係ない。

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さつよくは札幌の銭湯を盛り上げるため色々な取り組みを行っているが、そのひとつに「札幌銭湯スタンプラリー」がある。

説明するまでもないが、市内の銭湯を巡ってスタンプを押してもらうというアレだ。
全店制覇した人は豪華賞品がもらえるうえ、さつよくホームページ上でその栄誉を世界に向けて発信していただける。

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とても素敵なイベントだが、私は手を出したことがなかった。

こだわりとか考えがあったのではなく、単にやる理由がなかったというだけである。
いや「体を綺麗にする」「気持ちよくなる」こと以外に銭湯へ行く目的を持つのって何か違うかも、という考えはほんの少しあったかもしれない。

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しかし、ついに、今年はやってみることにした。理由は2つ。

1つは、イベントの形式が少し変わったことだ。
私の知る限り、これまでスタンプラリーは通年で行われていたが、今年は7月1日から9月30日までの3ヶ月限定イベントとして行われる。

人は皆、期間限定に弱い。そういうことだ。
それに期間が決まってるとなんか祭り感ない?
ロックフェスもヤマザキ春のパン祭りも期間決まってんじゃん?

「熱い3ヶ月にしようぜ!」
「3ヶ月、駆け抜けようぜ!」

青春は有限だ。
スタンプラリーも有限だ。
つまりスタンプラリーは青春なのだ。

青春を微塵も謳歌しなかった私に、ついに春が来た。

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もう1つの理由は、幾らかでも銭湯に儲かってもらうためである。

折からの物価高で、どこの銭湯もおそらく大変な思いをされているはずだ。ボイラーではなく、爪に火を点すような事態となってはシャレにならない。

もちろん私が1回行ったところで雀の涙なのはわかっているが、行かないよりはマシであろう。店主のビール代くらいにはなるはずだ。

ビールをおごってもらえたら、私は嬉しい。

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ラリーの火蓋はもちろん鷹乃湯さんで切ろうと思っていた。
どうして「もちろん」なのかは自分でもわからないが、はじまりはいつも雨か鷹乃湯さんと相場が決まっている。

しかし、だ。

ラリーに参加している銭湯は29店舗。期間は3ヶ月なので、1ヶ月に10店舗、3日に1店舗を訪ねる必要がある。
私は大卒なので、20分もあればこんな計算だって出来てしまう。

そして「意外とムズくね?」と気づいてしまった。

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俺参謀長が「これは休日の使い方が肝だ…」とつぶやいた。

我がポンコツ職場は立地だけ異常によいので、業後に銭湯へ行く場合、その選択肢は割と豊富である。
となると、休日は業後の訪問が難しい銭湯を優先すべきだ。

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7月2日、日曜日。よい天気。これならスペースローンウルフ号(チャリ)は出動可能だ。車を持っていない私がラリーを完走するには、スペース(略)号の存在が欠かせない。

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一旦は鷹乃湯さんへ行こうと思ったが、かの湯は仕事終わりに訪ねることが可能である。なので、ここは違う銭湯だ。

「チャリ圏内」「夜のヤボ用までに間に合う」などの要素を考慮し、俺参謀長がチョイスしたのは寿湯さんだった。

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2回目の訪問となった寿湯さん。

さつよくプレゼンツの月一薬湯デーで、超音波バイブラ浴槽がラベンダー湯になっていた。

ラベンダーの香りもさることながら、頭を乗せる鉄枕がガッツリ冷たくて一生入れるなと思ったけど、他にもやりたいことがある人生なので後ろ髪を引かれながら出た。

頭はキンキン、体はポカポカ。この状態をうまいこと例えようとしたのだが「アイスクリームの天ぷら」しか思いつかなかった私はまだまだ修行が足りない。

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浴後、湯上がり処のテーブルにスタンプラリーの用紙を見つけた。迷わず手に取り番台へ。

「9月末までですからね」

主人はそう告げながら、グッと力を込めてスタンプ。

♪テレレレー(ゼルダで宝箱を開けたときの音)

これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっても小さな一歩である。

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帰りは豊平川沿いのサイクリングロードをスペー(略)号でかっ飛ばした。湯上がりの身体に風が心地よい。素敵な夏になりそうだ。

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