2024年3月12日のこと
忙しい。
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もっとも、忙しさに比例してメンタルが安定するタイプなので(限度はある)、気持ちは充実している。
が、メンタルとフィジカルは別だ。身体はクタクタである。
今日は1秒も残業せずに銭湯へ行こうと決めていた。
さあ、どの湯にしようか。
肉体の疲労具合を考慮すると、家の近所が望ましい。美園湯と望月湯は休みなので、選択肢は松竹湯か美春湯しかない。
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検討に検討を重ね、美春湯に決めた。
美春湯の熱々薬湯は疲れを一撃で吹き飛ばすと、科学的にも証明されている。
終業のベルと同時に職場を飛び出し、東西線へと乗り込んだ。南郷7丁目で下車。
美春湯への道中で「社員募集中!」という弊社のポスターを見かけた。
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本当の社員なのかエキストラのバイトなのかわからないが、制服に身を包んだ若者達がキラキラの笑顔を浮かべている。「あなたを待っています!」といわんばかりだ。
そんなキラキラ社員やキラキラ部署も存在するのだろう。
でも、そのポスターに舌打ちしつつ、背中を丸めてトボトボ歩く濁った目のおっさんも、あなたを待っている(厄介ごとを全部押し付けたいので)。
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今日の薬湯はマスカットだった。
湯が注がれるドバドバという音。バイブラのゴボゴボという音。鮮やかな湯の色。鼻腔をくすぐるマスカットの香り。肌を襲う温度。
私は生きている。目は濁っても、生きている。
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家に帰り、スパイスカレー(キーマ)を仕込んだ。チリペッパーをいつもの倍くらい投入した。辛い。ハイボールが染みる。やっぱり、生きている。
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