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VS 鷹乃湯(あつ湯五番勝負第1戦)

Mr.200%

はじめて鷹乃湯を訪れたときのことは鮮明に覚えている。

あのころの私は銭湯だろうが温泉だろうが「サウナに行く」という感覚だったので、あの日も「鷹乃湯のサウナはどんなもんじゃろう」と思いながらお邪魔した。

一方で「鷹乃湯の『熱め』はヤバい」という話は耳にしていたので、「ためしに入っておくか!」と軽く考えてもいた。
「熱め」とは2つある浴槽(水風呂除く)の1つだ。ちなみにもう一方の浴槽は「ぬるめ」である。

こちとら数多のサウナで熱という熱に身体を晒してきたのだ。どれだけ熱いか知らんが、入れないわけはない。200%入れる。

身体を洗い、何のためらいもなく足先を「熱め」に浸けた。

●俺(4秒 熱湯)鷹乃湯◯

大日本プロレスのような決まり手だが、事実なのでしょうがない。

結論からいうと、いまは「熱め」に肩まで浸かることができる。そしてそれを気持ち良いとも思えている。
とはいえ、身体をきれいにしてすぐにザブンというのは無理だ。「ぬるめ」やサウナで身体をじっくり温めてからでないと難しい。でも間違いなく入ることができる。

五番勝負の初戦。対戦相手をどうするか悩みに悩んだ。プロレスだろうが銭湯だろうが初戦は重要だ。
悩み抜いたブッカー兼選手の私は鷹乃湯を選んだ。確実に勝てる相手を選んだと思われるのは不本意である。その実力を知っているからこその選択だ。

王者の魂


初戦に挑む私を迎えた鷹乃湯は、当たり前だが、いつもと同じだった。
同じだったが、私の心持ちはいつもと違う。今日は「サウナに入ろう」じゃないんだ。「『熱め』に挑む」なんだ。いつもと同じ風景なはずだが、いつもと違う場所に思えた。
ラジャ・ライオンへと挑む馬場にも、いつもと同じ赤と青のリングが、いつもと違う風景に映っていたはずだ。

「ぬるめ」とサウナをこなし、いざ「熱め」へ。
段差を利用してまずは膝下まで。熱い。やっぱり熱い。女子高生の膝下を意識したことはたくさんあるが、自分の膝下を意識したのは初めてだ。
負けるわけにはいかない。「段」を降りた。下半身が完全に浸かった。日頃、下半身しか意識していないが、日頃とは違う形で下半身を意識させられた。

意を決してしゃがみこんだ。熱い。熱すぎる。
鷹乃湯の「熱め」はいわゆるバイブラ仕様だ(日による)
ブクブクと「熱め」が攻め立てる。「これ、沸騰してんじゃね?」と錯覚させられる。「人間は見た目が9割」らしいが「湯は見た目が9割」もまた真だ。
理科の実験で沸騰石ってあったな。あれって一体なんだったんだろう。

選ばれる者の恍惚と不安。2つ我にあり。

どうでもいいことを考えつつ、なんとか1ラウンドをしのぎ水風呂へ。鷹乃湯の水風呂は優しい。文字通りのクールダウンである。

水風呂で身体を冷まし、2ラウンドへ。
「あれ?全然じゃん?」
人体は不思議だ。水風呂を経てからの「熱め」は屁でもなかった。
しかし徐々に身体のセンサーが息を吹き返した。やっぱり熱い。そして気持ち良い。バイブラの猛攻にメロメロとなった。

勝ったのか負けたのか。そんなことはどうでもよい。
「無人島だと思ったら仲間がいた」
そんなことを誰かが言っていた。比喩的に、確信的に、仲間がいたと私も思った。

#札幌 #銭湯

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