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「ティール組織 - 新しい働き方のスタイル」読書感想文

読んだ本

[イラスト解説]ティール組織――新しい働き方のスタイル フレデリック・ラルー  

読んだ動機

最近熱いワード「ティール組織」ってなんだろうとググっても理解できなかったので、わかりやすそうな本「イラスト解説」を選んで読んでみました。

ティール(進化型)組織とは

企業組織の形態を色で分類し、新しい構造の組織をティール色(青と緑の中間のような感じ)と定義し、ティール組織と呼んでいます。(それ以前の組織形態もレッドやオレンジなど色で説明されています。)
様々な分野と国・地域における約50の組織を選び出し、3年にわたる研究結果を元にしてまとめられたものです。

ティール組織のメタファー(隠喩)は「生き生きした有機体」「生命システム」

と表現されていますが、イメージつきませんでした。

ブレイクスルー

ティール組織の3つのブレークスルーとして

1. セルフマネージメント(自己管理)
2. ホールネス(全体性)
3. 常に進化する目的
これらは相互に強化し合っています。

と書かれています。
これの意味はわかりますが、これで会社組織が成り立つのでしょうか?

本書でイメージしやすい例えとして、「森の生態系」の例が紹介されています。様々な動植物から昆虫、バクテリアまで、森は複雑なシステムを構成していますが、その中に森を統括しているリーダがいる訳ではなく、それぞれの種が相互作用で共生しています。

なるほど、これはわかりやすい。
とは言え、本当にこれで会社組織が成り立つのでしょうか?
読めば読むほどやっぱりよくわかりません。

自己管理(セルフマネージメント)

大企業の従業員が自己管理(セルフマネージメント)で仕事を進めるために企業に複数のミニファクトリーを形成している例がありました。
それぞれのミニファクトリーで人々は自分の仕事に誇りをもち、生産プロセスは単純化されている。意思決定はトップダウンでもなく投票型でもなく、専門家の「助言プロセス」を経て、自分たちの意思で決定します。

これについて、現在の私たちのシステム開発の、設計レビューやソースコードレビューに似ている部分があるかなと思いました。
私たちのシステム開発では、多くの場合、決められた設計テンプレートがある訳ではなくその時々でチームで最適な設計を行い、有識者にレビューをしてもらい、最終的にどの技術を採用するかはチームで決定します。
また、ソースコードについてはGitで管理し、コードのオーナーはレビュアーにレビューしてもらったのち、セルフマージする方式を取っています。
レビューアーの指摘が反映されるまでマージされないということはありません。

組織において自己管理に任せるというと無秩序なイメージを受けてしまいますが、確かな助言プロセスを経て決定される点で一定の品質を保つことができる。

なんとなく雰囲気がわかってきた気もします。

ナチュラルなヒエラルキー(自然な階層性)

ティール組織では支配的はヒエラルキーはなく、ナチュラルでヘルシーなヒエラルキーが生まれてくると書かれています。
ある人は、場合によっては助言する側になったり、助言を求める側になったり、自分の能力や分野によって立場が変わる。

ティール組織はヒエラルキーフリー(階層構造がない)のイメージでしたが、これについても誤解だったということです。
IT業界では技術進化のスピードが早く、技術の種類も多岐にわたっています。年齢や経歴にとらわれず、その時々で知識や経験を多く持つ人を中心にナチュラルで健全なヒエラルキーを発生させることができる文化は私たちにマッチしていると感じました。

ホールネス(全体性)

私たちが自分自身をさらけ出し、自分たちが被っている仮面を脱ぎ去ることができれは「全体性」という膨大なエネルギーが解き放たれます。

・・さっぱり意味がわかりません。

前出の自己管理とナチュラルなヒエラルキーにおいては、自分と周りの人との信頼関係がとても重要であることがわかります。この信頼関係を築くために、職場で仮面を被っていてはうまくいかない、ということでしょうか。

職場で自分をさらけ出してもらうには、組織レベルで心理的安全性を確保し、認識を共有することがとても重要で、例に挙げている企業では文書化することが重要視されていました。

心理的安全性の確保というのはエンジニア業界では重要なキーワードで、わからないことや失敗を避難しない文化の元で良いチームが形成されることを多くのエンジニアは知っていると思います。(たぶん・・)
そう考えると「ホールネス」もソフトウェア開発の会社ではフィットする考え方かもしれません。

常に進化する目的

20年先を見据えて明日の計画を立てるのです!

これは「アジャイル」ソフトウェア開発で定着している考え方で、3年先も予想しにくいほど業界の流れが早いのが現実だからこそ、立てる計画は直近のみで、進化していく状況の中で目標も常に進化させていく。そしてイメージするのはもっと先の未来ということかと思います。
変化は受け入れるが、全く目標がないわけではなく、計画がイメージしている未来にあっているか、それは組織本来の目的にあっているか、その認識確認は常に重要で怠ってはいけないことも書かれています。

全く同意です。

まとめ

ティール組織はフラットなヒエラルキーで、意思決定が分散しているのでこんな楽な会社経営はないだろう!と思っていましたが、それはシンプルで高潔なルールと人々の信頼関係の元に成り立っていると感じました。そしてそれを維持していくためには明確な意識共有が重要であることがわかりました。
エンジニアリング文化にフィットしやすい考え方も多く、ソフトウエア開発会社であればティール組織を意識せずとも、いずれこのような形になっていくのかなと思います。

一回読んだだけではよくわからないことが多かったので、他の本も読んで比較してからアウトプットしようかと思ったのですが、もう結構満足しました。

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