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フィリピーノ語?タガログ語?

交換留学先の大学でフィリピーノ語クラスを1学期間だけ受けていましたが、かなり奥が深かった、、、。
あくまでも私の授業理解ですが、フィリピーノ語いってみましょう!

1つの国で約189語の『方言』

フィリピン語と聞いて「タガログ語じゃないん?」と思ったあなたはもしやフィリピン通?!実は「タガログ語」はフィリピンの『方言』なんです。
7,000以上の島を持つフィリピンでは、それぞれの島・地域で異なった『方言』が話されます。その数は認識されているものだけでも120〜189語ほど。
違う島に行ったら言葉が変わるのはもちろん、車で数時間移動しただけでも変わります。

そもそもわかるようでわからない「言語」と「方言」の違いとは?

同じ日本語でも関西弁や博多弁があるし、英語でもアメリカ英語・イギリス英語・オーストラリア英語もある。「言語」と「方言」何が違うのか?
いろいろな捉え方があると思いますが、「違う”言葉”を話す人同士がお互いの言っていることを理解できる」場合、『方言』と言えるでしょう。
例えば、いくつかの単語の意味やアクセントが違っても文法が同じであったり、基本的な単語が同じであったりする場合、お互いコミュニケーションを取れることがほとんど。上記の例で例えると、多少発音や単語の意味は違いますが、イギリス人とアメリカ人、オーストラリア人がそれぞれの英語でコミュニケーションを取れることは言うまでもありません。これらの英語は『方言』(accent)ですね。

フィリピンの『方言』

ではフィリピンの言葉はどうでしょう?
例えば、マニラ付近で話される「Tagalog」(タガログ語)とセブ島などで話される「Cebuano」(セブアノ語)。基本的にこれらは『方言』と言われています。
しかし!実は、タガログ語話者とセブワノ語話者がお互いの言葉でコミュニケーションをとることはすごく難しいです。というか、できないそうです。(現地の友達曰く)なぜなら全く違う「言語」だから。単語も違えば、文法も違います。

フィリピンの言語分布図
真ん中より少し上にある黄色っぽい地域がマニラ周辺

フィリピンの公用語の歴史

現在のフィリピンの公用語は「Filipino」「English」です。日本では日本語が国語として学校で教えられるように、「Filipino」はフィリピンの学校で教えられています。
しかし、「Filipino」に至るまでに過去2度公用語が変更されています。
まず、一番初めに決まった公用語は「Tagalog」(タガログ語)
「Tagalog」が公用語になった主な理由としては、首都であるマニラの方言だから。
ところが、他の「方言」を話す人たちは納得がいきません。例えば、「Bisaya」(ビサヤ語)は主にミンダナオ島やビサヤ諸島で話されますが、ビサヤ語話者人口はタガログ語話者よりも多く、フィリピンで一番です。ビサヤ語話者としては、自分達の方が人口が多いのだからビサヤ語を公用語にすべきと考えるのが妥当でしょう。
こういった反発に対応して、今度は「Pilipino」(ピリピーノ語)が公用語になります。「Pilipino」ってなにかというと、いわゆる名称を変えたタガログ語。文法や単語も含めほぼタガログ語です。ただ、タガログ語はマニラ内だけでなく、マニラ外でも話されている地域があり、マニラ以外のタガログ語のバリエーションを認めたものが「Pilipino」になります。とはいえ、ただタガログ語から名前変えただけやん!と反発があるのはもう予測できますね。
そして1987年、現在の「Filipino」(フィリピーノ語)が公用語となりました。「Filipino」は何かというと、タガログ語と他の「方言」のミックスです。単語や文法構造がタガログ語からだけでなく、他の「方言」によっても成り立っています。

「Filipino」あんまり好きじゃない?

「Filipino」になったとはいえ、ベースはタガログ語。タガログ語以外の話者からすれば、未だに不満が残るのが現実です。
聞いた話ですが、セブ島などに観光に行くとき、フィリピーノ語を話すよりも英語を話すほうが好まれるらしい。他にも、留学中「フィリピーノ語話す?」とミンダナオ島出身の友達に聞くと、「理解はできるけど、そんな得意ではないから、大学(in マニラ)入ってすぐは、友達が話すフィリピーノ語に慣れるのに大変だった」と話していて、公用語が未だに抱えている問題が垣間見えました。やっぱり奥が深い。

今回はここまで。
ありがとうございました!

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