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認知症看護との出会い

認知症の患者を看ることは、その家族を救うことになるんや。

認知症病棟に勤務して1年。一番強く感じたことだった。

20代の私はずっと迷走していた。                    大学までは自分の体力・気力・人間力に根拠のない自信を持ち、絶対営業職!と意気揚々と新卒で入社した人材系の大手企業で見事にその自信は打ち砕かれた。10か月ほどで心身共にすっかり疲弊してしまい退職。そこからは自分が何を目指したいのか、どうすれば自分の納得のいく生き方ができるかわからず…フリーターをやったり、ちょっと危ない企業で勤めてみたりしていた。                              結婚して2年経った頃だった。夫から「どうせやりたいこともないんやったら手に職でもつけたら。現実的なラインで言うたら、看護師とか」と言われた。医療職に馴染みがなかった私。しかもガサツでおおざっぱな性格であり、細かい作業や勉強がとてつもなく苦手な私は「できるわけないやろ」とあっさり却下…してみたものの夫の繰り返される説得と、それまでなにもやり遂げことの出来なかった私にはひょっとしたら良いチャンスなのかも…?とだんだんと心変わりし、出産のことも考えると年齢的に後がない、と腹をくくって看護学校を受験した。                     就職も希望していた病院に入職できたが最初に配属された一般病棟でまたも心身ともに疲弊し、管理部に無理言って異動させてもらった。それが今、在籍している【認知症病棟】。

今では「転職(さらに異動も)してよかった」と心から思えている。それは今まで自分が知らなった世界を知ることができたからである。また、持ってなかった思考・価値観も手に入れることができた。私の場合、会社員から医療職に転向したこともあり、それまでは「お客様のため」「チームの業績のため」「買ってもらうにはどう魅力を表現すればいいか」という観点で仕事をしていたが、転職してからは「患者さんと患者さんの家族のため」「同じ勤務帯の人がどうやったら少しでも早く終業できるか」「相手を理解するためにまず自分の心身状態が健康でいるか」という観点を持つようになった。

認知症看護に出会えたのは私にとって大きかった。認知症看護は深い。まだ研究がそこまでされていないということもあるし、一言に認知症と言ってもその様子は人によって全く異なる。看護師の接し方や薬の内容でどんどん変わる。良い風に変化することもあれば、もちろん逆もある。答えがないし、やればやるほど成果が見えたり見えなかったり。また、これほど対人間の仕事はほかにないと感じるのだ。認知症は進行するほどその人の本音や本性がむき出しになってくる。毎日お互いの内面をぶつけまくりだ。          そして認知症患者を看ることは、患者の家族を救うことになる。社会貢献度ややりがいの感じ方ったら半端ない。                 内容が深く、飽きない。またやりがいや必要とされていると強く感じる仕事に出会えて本当に良かったと思っている。               転職に関しては抵抗感のない私なので、また渡り歩くことになるかもしれないが認知症患者の家族を支える仕事をこの先もずっとやっていきたいと思っている。

あの時、根気強く説得してくれた夫に感謝。              勇気をもって知らない世界に飛び込んだ自分に拍手。                


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