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【12/07-10】幸せとは何か【電気ショック記憶喪失アドベントカレンダー2023】

数日間休みをもらっていた。
この副題に嫌気が差していたんである。

まず第一に、記憶は飛ばない。飛んだとしても返ってくるので大丈夫だ。
なので、この副題は終わり。次号からはただの飾り。

閑話休題。
皆さんは「精神障害が重く何も理解できないAさん」「社会福祉を受けるほどではないものの精神疾患を抱えながら生きているBさん」のどちらがより「幸せ」だと感じるか?

ここで「う〜ん」とか悩んでしまったそこの方。世間体はどうでもいい。本心、どちらが幸せに見えますか?

わからないですか?

じゃあ、聞き方を変えましょう。

どちらに「なりたい」ですか?

ここで、「Aさん」と答えてしまったあなたは、気が弱い。可哀相だ。途中から「幸せとはなにか」ではなく「ただの脅し」に問いが変化していることに気付けなかった。また、「Bさん」の苦しさをよく知っている、不幸者だ。

こんな問題は実にくだらない。「Aさん」のほうが幸せに決まっているからだ!
もっとも、「精神障害が重ければ自身の不幸さもわからない」という前提が間違っているのだが。精神障害の重さは常にグラデーションであり、たとえば「PANSSのスコアでこの基準値を超えると自我がなくなる」といったように白黒つけられるものではない。さらに、いくら障害が重くなろうが自我は消えたりしない。これは重度の知的障害を抱える人がしばしば苦しみの感情を訴えることから明らか。
前提が間違っているのに、ああだこうだ言ったところで
「話にならない」
のだが、この問いを議論していたのはなんと

精神科医

を標榜するインフルエンサー(YouTuber)だ。チャンネル登録者数は52万人ほど。YouTubeのメンバーシップを「オンライン自助会」と称して中身はどうやらただのSlackのサーバーのようである。

「難しいね」「幸せというのはすごく複雑な脳の反応であって」「何が幸せかは精神医学的な見地からアプローチすると」「思想・哲学によると」
と、いろいろな言葉で「わからない」という結論に向けて「わからない理由」を説明しているが、結局中身のある発言は一切なかった(まず「Aさん」なんて存在しないことに気付けなかった時点で精神科医としては十分不合格)。こんな人が精神医学に誠実な善の顔をして多くの人の信頼を集めているのだから驚きだ。オンライン自助会で金を搾取されるだけで済んでよかったな、時代が30年早ければ富士山麓でセミナーだっただろう。

カリスマをdisると信者にボコられるのでこのへんで。

それで、結局幸せな精神病患者っているんだろうか。思うに、「社会福祉にギリギリ引っかかるレベルだが総じて知性は高い分裂症」は幸せなんじゃないだろうか。
なぜって?
わからない。幸せとは複雑な脳の反応であって……。

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