ネズミ

日々なんとなく過ごしていると、あの日何を感じていたのか忘れてしまう。そんな何気ない日常…

ネズミ

日々なんとなく過ごしていると、あの日何を感じていたのか忘れてしまう。そんな何気ない日常を拾い上げたい。 いつか小説を書きたい、自分の本を出したい。良かったら気軽にコメントでアドバイスください。 もし仕事の依頼がある時はTwitterのDMにお願いします。

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「大丈夫」という言葉、僕は好きになれない

 なんの前触れもなく、後輩がうつ病になった。いや、何かしらの兆候はあったのだろうが見落としてしまっていた。なんで気付けなかったのかと考えながら歩いていた。  事故が危ないからと遊具が撤去されて、滑り台とブランコと鉄棒だけが残った公園。「先輩、私もう限界です」「なんか疲れました。仕事辞めたいです」そう言って去っていった後輩たち。取り残された遊具と自分が重なる。  学生時代の勉強とは違って社会には正しい答えなんてない。  公園から自宅までは目と鼻の先の距離だが、家に帰る気にはなれ

    • 未だ僕の人生に、ヒロインはいない…

       「ねぇ、この後どうする?」  彼女はそういうと、「うー、寒っ」とつぶやき僕の腕に自分の腕を絡ませてきた。彼女の熱が伝わってくる。  後方でカシャッと物音がした。振り返るとさっきまで一緒に呑んでいた大学の友人の1人がニヤニヤしながら手を振ってきた。反対の手にはスマホが握られていた。  僕が見知らぬ女と腕を組んでいる姿を撮られたようだ。ポケットから鈍い振動が伝わってくる。スマホを取り出すと何件かメッセージが届いていた。開かなくてもわかる、あいつからだ。  「どうしたの?

      • 祖母は他界し、僕は色眼鏡をかけた。

        「ほう、高齢な方で足腰の骨がこんなに残っている人は久しぶりに見ました。スタスタと歩いていたんじゃないですか」と人の良さそうな火葬場のスタッフが、祖母の遺骨を見て感想を述べた。 場が一瞬凍りついた。そんな気がした。 交通事故がなかったらもう少し長く生きていたかもしれない。その場にいた全員がそう思ったはずだ。横目で母を見ると、ハンカチで顔を覆っていた。 確かに祖母は背骨は少しずつ曲がってはいたが、自転車に乗って買い物ができるほど元気だった。 …それも半年前の話だ。

        • 「かわいい」の裏側に。

          「あの患者さんってかわいいよね」「わかる!ああいう歳の取り方したいよね」 看護師間で交わされるありがちな会話だ。何が基準でかわいい、かわいくないと判断されるのか。 認知症の患者さんに食事介助を行っているときに、ふとそんなことを考えてしまった。 答えはシンプルだった。自分の言うことを聞いてくれるかどうかだ。 ナースコールを頻回に押し、自分の要望ばかりを言ってくる患者さんは間違いなくかわいくないに分類されてしまう。 「あの人こだわり強いよね」「バタバタしてて余裕がない

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        「大丈夫」という言葉、僕は好きになれない

          日々、流されて生きている。

          映画を観るのは好きなのだが、観るまでに時間がかかってしまう。1時間半から2時間という長さに躊躇ってしまい、再生ボタンを押すかどうかついつい悩んでしまう。悪い癖だ。面白くなかったら時間の無駄になるなー、とネガティブなことを考えてしまう。 タイトルや出演する俳優などの情報をみて、これ面白そうだなって直感的に思っても星の数やレビューをみて、観るのを辞めてしまうことだって多々ある。その人にはつまらなく映っても、自分が同じとは限らないのに…。 日々時間に追われ、誰かの意見に流され

          日々、流されて生きている。

          君がいない世界は、ちょっとだけ物足りない。②

          2.忘れられない人っています? 「先輩って彼女いるんですか?」と僕の隣に座った藤木が尋ねてきた。 矢継ぎ早に「あ、ただの雑談ですよ、気があるんじゃないかって勘違いしないでくださいね」と付け加えてきた。 「その余計な一言がなければかわいいのにな」 「かわいいと思ってるんですね!」 「余計な一言がなければっていったよな。勘違いするなよ」 「なんか私の真似してますよね」 高校のときの親友が結婚した。もちろん新郎をお祝いするために参加に丸をつけたが、久しぶりに高校の

          君がいない世界は、ちょっとだけ物足りない。②

          中毒性のある人になりたい。

          気がつけば新年が始まって5日が経っていた。おせちを食べたくらいで、今年も特に正月らしいことはないもしていない。 コロナのおかげで親戚と疎遠になりつつあることが何よりも嬉しく思っている。まだ結婚しないのかと聞かれることもないし、お年玉をせがまれることもない。 そんな僕は今年で30歳になる。20代と30代では何かが違うような気がする。 よく師匠から「気張るなよ、クソ漏らすぞ」と言われる。僕自身仕事に熱量がある人は苦手だから、仕事でも麻雀でもゴルフでも「よし、やってやるぞ!

          中毒性のある人になりたい。

          忘れちゃ、ダメだ。

          社会人になってから時が流れるのが異常に速く感じるようになった。学生の頃と比較すると圧倒的にイベントがないからだろうか。 そんなことをボヤいたら、「うわー、オッサンですね」と後輩からダメ出しを食らってしまった。来年で30歳になるからもう若いとは言えない。 今年もあっという間に終わり、新年を迎えようとしている。そんな時に[ALEXANDROS]の12/26以降の年末年始ソングを聴くようにしている。 学生のときにドロス(当時はシャンペだったけど)を知ってから毎年行ってい

          忘れちゃ、ダメだ。

          今だからこそ

          僕のメモアプリの中に書きかけの小説がずっと眠っていた。小説を書きたいと思って人生で初めて書こうとしたが、ストーリーをどう終わらせるかが思いつかずにそのままになっていた。 あの日彼女に伝えられなかった想いを文章にしたい、小説にしたいと思った。 恋愛に対して臆病になっていたのは初体験が失敗したからだ。もし女の子といい雰囲気になっても「元カレのほうが良かったな…」とつぶやいたあのワンシーンをどうしても思い出してしまう。 女性恐怖症とか言いつつも、人並みに、いや人並み以上

          今だからこそ

          君がいない世界は、ちょっとだけ物足りない。

          1.あの子の気を引きたくて 僕は嘆いた。己のコミュ力のなさに。 今は昔。と思いたいところだが、ついさっきのことだ。 肩をちょんちょんと突かれたので振り向くと、同い年くらいの美人な店員が僕の横にいた。 「もしかしてA大に通ってません?」 店内は昼時で賑わっているため耳元で聞いてくる。 彼女から香水か柔軟剤かは分からないが、フローラルな香りがふんわりと漂ってきた。ランチを食べたばっかりの口臭は大丈夫か不安になった。タブレットを持ち歩いとけば良かったと後悔すらしている。 距

          君がいない世界は、ちょっとだけ物足りない。

          いえぬ想いは、煙となって漂う。

          空腹な状態で酒を呑んだからだろう。いつもより酔いの周りが早い。このままではダメだ。二日酔いで苦しむ姿が容易に想像できる。 「ちょっとトイレに行ってくる」と嘘をついて、その場を離れた。   思い通りに動かない足を引きずりながら、店の外に出る。傍から見たらゾンビを連想するかもしれない。 口から新鮮な空気が侵入してきて、少し楽になったような気がした。 体内のアルコールを少しでも薄めようと自販機を探す。 ビルの階段を降りたところに自販機があった。130円を投入し、ミネラルウ

          いえぬ想いは、煙となって漂う。

          「大丈夫」という言葉、僕は好きになれない。 あらすじ

          後輩がうつ病になった。僕は気にかけていたつもりだったが、結局何も出来なかった。そんな自分の無力さに打ちひしがれていた。 事故が危ないからと遊具が撤去されて、滑り台とブランコと鉄棒だけが残った公園。「先輩、私もう限界です」「なんか疲れました。仕事辞めたいです」そう言って去っていった後輩たち。取り残された遊具と自分が重なる。 そんな時、1人の女性が声をかけてきた。そこから僕らの物語が再び動き出す!

          「大丈夫」という言葉、僕は好きになれない。 あらすじ

          世界を選ぶか、君を選ぶか

          天気の子 先日2度目の『天気の子』を観た。今年から執筆活動を始めたからか、以前は「面白い!」だけで思考が止まっていたが、今回は見え方が大きく変わっていた。大ヒット作品を作るにはどういう要素が詰め込まれているんだろうという視点で観ていた。 物語の構造を知りたくて Twitterで物語が書けないと弱音を吐いてしまったことがあった。そんなとき、フォロワーさんから「好きな作品がどういう作りをしているのか分析したら勉強になるよ」とアドバイスをもらった。 そこで、

          世界を選ぶか、君を選ぶか

          人気者にはなれないけれど...

          カクヨムに続いて、エブリスタも先日始めてみた。これでnote、カクヨム、エブリスタと3つのサイトに投稿していることになる。 (noteに載せたものをカクヨムやエブリスタに載せているだけなんだけど…) これからどのようにしていこうかはまだ決めていないが、これまで通りnoteを中心にしつつカクヨムで長期連載を目指し、エブリスタでコンテストに応募して賞を獲ることを目指そうかなって考えている。 活動の拠点を広げて思ったことは、僕はこういう物語を書いてますと名刺代わりになる代

          人気者にはなれないけれど...

          アンコールはなかった…

          「今までありがとう…。俺も幸せになるからさ、唯華も幸せになってね」と言って、彼は玄関から出ていった。 ドアがガチャンと閉まる音が、妙に響く。机の上には合鍵が、お揃いで買ったキーホルダーと共に置かれてあった。 私は玄関に向かって、手拍子をした。ライブみたいに「アンコールありがとう!もう1曲演奏させてもらいます」ってもう一度ステージに上がってくれないかなって願いを込めて手拍子をした。 だけど彼がもう一度その扉を開けることはなかった。パチパチと弱々しい拍手の音だけが耳に届く。手のひ

          アンコールはなかった…

          本格的に活動するに当たって

          アイコンを新しくしました!ムラナギ(@muranagi_blue)さんに描いて貰いました。 オッドアイのネズミカッコよすぎる! 他にも素晴らしい作品がたくさんあるので是非チェックしてみて!

          本格的に活動するに当たって