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オンラインで合唱練習 (Zoomを使って):歌う人の音声の遅延をなるべく少なくするために

(合唱練習が今の状況ではできない、でもしたいという場合に、オンラインで行うことができる。ここでは無料ソフトZoomを使って行う場合のことを紹介する。)

はじめに

 Zoomで合唱練習をする際、歌う人は皆マイクをオフ(ミュート)にし、ピアノや音源を流す人だけがオンにするという方法がある。それで問題はなく、毎回の練習をそれで終わるというのも手だと思う。歌う人が自分の機器/端末から流れてくるピアノや録音合唱に、自分の声を合わせて歌えばよい。(ここでは、パソコンとスマホの両方を指して「端末」と呼ぶ。)
 ここで考えたいのは、歌う人が自分の端末のマイクをオンにする場合のことである。指導者・指揮者の方が「では今度は、ベースパートだけマイクをオンにしてください」や「各パート一人ずつだけマイクをオンにして歌ってみましょう」などと言って、確認したいとされる場合である。歌う人の方としても、確認のために自分の歌うパートを1度は聞いてもらいたいと思うかもしれない。(私もそれで間違いを指摘してもらえたこともある。)
 そんな時、問題になるのが音声の「遅延」である。聞こえて来る伴奏に合わせて歌っているはずの自分の声が、指導者に、他の人に、そして驚くことに自分の端末から流れてきて自分自身にも、遅れてずれて聞こえるのである。

 残念ながらこの「遅延」は、ゼロにすることは不可能だということである。だから、やはり自分のマイクは一切ミュートのままでいるというのも1つの解決策。だが、ここでは、もう一つの方の解決策案、つまり少しぐらいなら「遅延」はあってもいいじゃないか、でも、その「少し」をなるべくゼロに近づけるために、個々の歌う側の人は何ができるか、を考える。

 結論から言おう。この遅延を少しでも少なくするためにできることは、「端末とネット環境」「端末の音声出入力」の2点についてである。そして、この2点はどちらが良いかということではなく、片方でもできればましで、両方できればさらに良いという2点である。
 また、これはZoomのセッションが始まってから頑張るというようなものではなく、セッションが始まる前の環境・設備の問題である。なので、その環境にない、その設備が揃えられないのであれば、それで気にすることはなく、無視して良い。(潔く諦めて遅延は気にしないというのでも良いではないかと思う。)

端末とネット環境

・端末それ自体は、その処理速度が速いものの方がいい。選べる場合は考えたい。
個人的な経験で、私は新旧2台のパソコンを持っているが、最新・最速のチップを搭載した新しいパソコンを使っている時には「声が伴奏とほぼ同時に聞こえる」と言われたが、もう一つの古い、処理速度の遅い方のパソコンを使っている時には「声が伴奏より少し遅れて聞こえる」との反応だった。端末自体の処理能力もあるようだ。(あるのが1台だけであればそれで決まり! もし家族の誰かが良いものを持っている場合は、練習の時だけ貸して(セットアップもして)もらうとか?)

・その端末のネット環境は、家庭などの場合、光回線の高速インターネット環境が望ましい。(モバイルWi-Fi等よりも。他に、ケーブルテレビ回線もある。)
 端末がパソコンの場合:パソコンを、インターネットルーターと有線LANケーブルで接続することとWi-Fiルーターに無線で接続することが考えられるが、前者の方が安定していて望ましい。(Wi-Fi接続も最近はかなり良いらしいが。)
 後者(Wi-Fi接続)の場合は、パソコンがWi-Fiルーターに近い方が良い。Wi-FiなのでWi-Fiルータとは別の部屋でも受信可能であるが、同じ部屋の方が、つまり間に部屋の壁やドアなどがなくパソコンの位置からルーターが見えるところが良い。また、電子レンジやIHクッキングヒーターなどが作動すると影響を受けてWi-Fi接続が落ちることもあるので注意すること。以下にWi-Fiの周波数帯2種類の特徴を記すので、選択できる場合はパソコンとWi-Fiルーターの位置関係によって選ぶと良い:
 「2.4GHz」:遠くまで届きやすいが、電子レンジなどの電磁波に弱い
 「5GHz」:他の機器の影響を受けず通信速度が良いが、壁など遮蔽物に弱い

 端末がスマホの場合:家庭などの光回線のWi-Fiに接続する場合と、スマホ自体の通信ネットワークを使う場合が考えられるが、大抵の場合、前者の方が速度が速くて良い。(スマホの通信量/通信料も気にしなくてよい。)
 前者の家庭などの光回線のWi-Fiに接続する場合は、上記「パソコンをWi-Fi接続する場合」と同様、端末を使う場所とWi-Fi周波数帯の種類などに注意するとよい。
 後者のスマホ自体のネットワークを使用する場合は、速ければ速いほどよいので、最近の5Gが使えれば、4G等より良い。

端末の音声出入力

 プロの歌手などが歌を録音する時の状況が参考になる(以下はThe First Take(一発録り)の例:歌手はLittle Glee Monsterで歌はDear My Friend)。

理想的な設備: 基本的に、空気中の音声伝播の距離を短くし(また、歌う人の歌声以外の音が入らないようにし)、格段に速い電子信号の有線の接続に置き換えるということで、音声の出入力の遅延を少なくすることができる。
 端末の音声出力: スピーカーは、(端末のマイクに音が届かないように)音声が歌う人の耳に直接届くように、ヘッドフォンやイヤフォンを接続して使った方がよい。
 端末の音声入力: マイクは、(端末のスピーカーの音声や室内外の他の音を拾わないように)歌う人の声がすぐマイクに届くように、距離的に歌う人の口に近い方がよい。できれば端末表面のマイクとは別のマイクやマイクつきイヤフォンを接続して使うとさらによい。
 以下はマイク付きイヤフォンの例。(これは有線のものだが、Bluetoothを使った無線のもの(でスマホ対応のもの)もある。有線のものの方が遅延は少ないらしいが。)(購入する場合はもちろん)自分の端末との互換性を確認すること。

マイク付きイヤフォンの例


他の気づいた点、アイデア:
・自分の端末のマイクをオンにするとき(だけ)は、自分のカメラをオフにすると多少なりとも良い(KK氏談)。端末が、同時にビデオ動画も処理しなくても良くなるため、音声の処理だけでよく、遅延が少なくなる。(お互いの顔を見ていたいというのも山々だが、、。だからマイクをオンにするとき「だけ」。)


おわりに

 以上、歌う人が自分のマイクをオンにして歌う時に、少しでも自分の歌声の遅延を少なくするための設備や道具について書いた。鍵は「光回線」と「有線接続」で、その環境に近づければ近づけるほど遅延が少なくなるということである。
 ただ、ここに書いた物が全部準備できないとかでも、練習ができないわけではないので、気にしないでもらいたい。ここに書いたことは全て無視しても差し支えない。また、繰り返しになるが、もちろん歌う人が自分のマイクをオフ/ミュートにしたままの場合は、イヤフォンさえなくても構わない。
 大事なことは少しでも上手くなるよう楽しく練習できること、一緒に楽しく歌えることなのだから。


参考ページ:
Zoomでオンライン合唱練習 (ZoomでMIDI音源を共有する側の注意点も)
オンライン合唱練習 (Zoomの使い方・設定のし方等についても書いてある)
インターネット環境を整える方法とは?
一人暮らしのインターネット環境を整える際のポイント

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