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メキシコ生活記録⑱ ーセノーテ・イキルに飛び込んだ話

私たちには、雨期が始まってしまう前に行っておきたい場所があった。
それは、セノーテ・イキル。

ここメキシコ、ユカタン半島には無数のセノーテがある。セノーテとは、地下水のたまった天然の泉みたいな場所で、大きなものから小さなものまで様々ある。詳しくはググってほしいのだが、恐竜絶滅の原因とも言われている巨大隕石がユカタン半島に落ちた際にできたものらしい。大きな山や川がないのに、この地でマヤ文明が発展できたのは、このセノーテを水源としてのことらしい。だからセノーテはマヤの人たちに崇められ、大切に使われてきた。そして現代に至っても、貴重な観光資源としてマヤを潤わせ続けている。
私はこっちに来るまでよく知らなったのだが、けっこう有名らしい。ダイビングができるようなセノーテもあり、観光&アクティビティスポットとしてメキシコの内外を問わず人気を博している。
とはいえ、そんな観光セノーテばかりではなく、地元の人しか来ないようなローカルなセノーテもあるし、なんならうちの近所のコストコの駐車場にもセノーテがあったりする。

近所のローカルなセノーテ。ここは泳げるので、潜って遊んだ。


コストコの駐車場にあるセノーテ。ここは立ち入り禁止。

さて、本題。
先週末、そんなセノーテの中でもけっこう有名なセノーテ・イキルに、私たちは行ってきた。
場所は、世界遺産でもあるチェチェン・イツァのすぐ近く。だから、観光客が多い有名なセノーテのひとつ。
駐車場もたっぷりあるし、駐車所の女子トイレの前にはスタッフの女性が立っててくれたりもするサービスぶり。素晴らしい。
だからこそ、入場料はちゃんとかかる。大人ひとり180ペソ。子どもは忘れた。ランチ込みのものなど、色々あるみたいだったけど、おにぎり持参で無双している私たちは基本料金でじゅうぶん。
ちなみに、現金のみでカードは使えないので注意!
最初、大人2人と子ども2人って言ったら「ちょっとそこに立って」と係の人に言われ、遊園地のアトラクション入口になあるような曖昧な身長計測枝みたいなところに立たされる子どもたち。
2人ともオーバー。この身長以下なら入れないみたいなことなんかな?と思っていたら、子供料金ではいれるかどうかの審査だった。
で、大幅オーバーな1号のみ大人料金で!と言われる。曖昧な子ども認定。年齢という客観的事実を利用しない、スタッフの目視&主観での子ども認定。
そういえば、映画館でもそうだったな。子どもの認定基準がどこにも書かれてないんだよ。だから「この子は13歳なんだけど…」って伝えたら「子供料金でいいよ!」って言われたもんな。認定基準をハッキリさててほしい日本人には落ち着かないけど、なんかちょっと楽しい。

話を戻して、セノーテ・イキル。すごく整備させた公園って感じで、道順も書かれていてとても親切。大きいセノーテを見たことがなかったので感動した。

上から見た図。ちなみに、表紙はプロが撮った下からの写真。

基本入場料金には、ライフジャケットと鍵付きロッカーの使用料が込みになっているので、持ち物は最低限(タオル、着替え、財布、携帯など)でいい。
張り切って浮き輪を車内で膨らまして持ってきた2号は、ロッカーの前で早々にその空気を抜いた。メキシカン受付嬢は「浮き輪は持って入れないですよ」とか気に効いたアドバイスはしてくれない。ゴーグルも出番はなかったな。
着替える所がなかったらどうしようと思って、車で水着に着替えて行ったが、脱衣所がトイレ内にあった。ただ、そんなに数がないのでハイシーズンだと順番待ちがエグイかも。

荷物をロッカーに入れ、ライフジャケットを受け取り、いざ出陣!
洞窟のらせん階段みたいな所を下っていく。
けっこう滑るので、ビーサンではなくテバのサンダルを履いてきてよかったと思う。
下まで降りると、まさに表紙のような風景が頭上に広がる。
めっちゃ人がいたが、広いセノーテなので全然気にならなかった。
水は澄んでいるが底は見えず、深い緑の泉の中を黒い魚が人を縫うようにたくさん泳いでいる。
木製の滑るハシゴでセノーテに入る。
セノーテあるあるなんだけど、めっっっちゃ冷たい。
地下水だからなのか、本当に冷たいんだよねw手がジンジンするくらいw
ぎゃーぎゃー言いながら入る。
久しぶりにライフジャケットを着て水に入ったんだけど、いいね。安心感がすごい。
魚とか鳥とか虫とか、犬猫以外の生き物がすべて苦手な1号が、黒い魚に絶叫している。それくらい魚が逃げないんだよね。触れるのでは、と思うほど近くを約20センチの魚が泳いでいく。ライフジャケットの黒いヒモにも1号は絶叫していた。

で、ここの醍醐味っぽいのが、飛び込み!
私の写真の左側に写ってる階段に並んでいる人たちが分かるかな?
あそこからたくさんの人が次々に飛び込んでいる。たぶん高さは、3メートルくらい(もっとかな?)ある。
ちゃんと係の人がいて、アトラクションみたいに「次の方どうぞ」をしてくれている。
「どうする?」と、遊園地の絶叫マシーンに乗れない子どもたちに問いかける。
レオマワールドに行ったとき、ジェットコースターに乗る両親と、地上から手を振る子どもたちという何とも言えない一幕が発生した我が家。
しかし、「飛びたい!」と以外にも即答な2号。
どうやら高所は大丈夫な様子。高所も苦手な1号は「無理…」と言っていたんだけど、せっかく来たし、次回があるかどうかも分からないという状況に「…やっぱり飛んでみる」と何とか決心した。

まずは夫と2号が挑戦。私は下から動画を撮影していた。
彼らはけっこうすんなりジャンプ!
「楽しかった!」と言う笑顔の2号と、足がつりそうになった夫。
次は私と1号の番だ。
再び決心が揺らぎはじめた1号を連れて階段に並ぶ。ぬるぬるの石段を気をつけながら上がっていく。
私たちの番になったとき、係の人がライフジャケットのヒモをきっちり締め直してくれた。
「飛ぶ前に絶対に下は見るな!」と1号には言っておいたが、これはヤバイ。私も下を見れない。めっちゃ高い。体感10メートル。セノーテに浮かぶ人たちがゴミのように見える。
横を見ると青ざめている1号。「やっぱり無理!やめる!」と言い出した。
私にも彼女を説得する余裕がない。これ以上ここにいたら足が動かなくなる予感しかないからだ。でも、飛びたい。
42歳だけど、飛びたい。セノーテに飛び込むという経験値を積みたい。
「分かった!ほな私は飛ぶからね!」と言い残し、私は飛んだ。

「高い」というより「長い」。
着水までが、思ったより長い。長いから、途中で怖さが継ぎ足しされた。
足から入るつもりだったのに、尻着水してしまい、お尻が痛かった。
鼻はつままなくても水は入ってこないという2号のアドバイスを信じたのに、めっちゃ鼻に水が入った。
浮上して振り返ると、1号がまだ立っている。
私は下から両手を広げて「おいで!」と叫んだ。でも、1号は首を横に振っている。
すると、セノーテ内から応援コールが始まった。
「Sí se puede! (You can do it!) 」っていうスペイン語コールだったと思う。
そうなると、もう後には引けない1号。
遂に、飛んだ!
やったね、1号!おめでとう!
拍手の中、「ごわがっだぁ」と言ながらパタパタ泳いできた1号とハイタッチした。
どうやら「もうやめる」と係に人に伝えたのに「Come on!」って言われて、なかなか帰してくれなかったらしい。それでどうしようかとまごまごしていたら、応援コールがはじまってしまったので「もう飛ぶしかない!」となったらしい。
こういう時、早くしろよ的な空気感を出さないメキシカンが好きだなと思う。並んでる人も誰も迷惑な顔をしていない。挙句、コールまでしてくれて。なんだって楽しんでしまうメキシカンのマインドは本当に素敵。こういう余裕をいつも持っていたいなと思った。

その後、2号は1人でも飛び込みに行き、最後はスローモーション撮影したいということで、撮影係の1号を残して3人で飛び込んだりもした。
2回目も足がすくんだわw
1番高い所から飛んだ夫は、ゴールデンなボールズで着水してしまったらしかった。

身体が冷え切ってきたので、退散。
売店で愛犬へのお土産として、一目ぼれしたメキシカンなお散歩リードを購入。
全部で3時間もいなかったけど、じゅうぶん満喫できた。
雨期に入ってしまうと午後からスコールに見舞われることが多いので、それまでに来られてよかった。
他にも有名無名問わずセノーテはたくさんあるので、訪れたらまた体験記録を残しておこう。

備忘録:
セノーテに行くときは、
・化粧水&保湿
・綿棒
を忘れずに持っていくこと!

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