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財務省悪玉論に終止符を

はじめに

財務省の陰謀で増税が行われているとよく言われています。財務省では増税をしたものがヒーローとなり、出世街道を歩むことができると言われています。これらの言説はネットで言われていることが多く、真偽は不明です。しかし、財務省が増税をしたがっているのは事実です。では、彼らはなぜ、そこまで増税にこだわるのでしょうか?今回は財務省が増税にこだわる理由について書いていきたいと思います。

財務省陰謀論は不毛

財務省が悪の権化であるような言われ方をし、財務省が日本の政治を裏で操っているというような話まで出てきています。こういった話は誇張や理解力の乏しい人たちが広めた言説であると捉えるのが正しいのではないかと思います。こういう言い方をすれば、財務省に洗脳されているであったり、財務省を信じているであったりとよくわけのわからないことを言われます。財務省陰謀論を自称ジャーナリストと呼ばれる素性を隠したネット民が吹聴しています。なので、真偽が不明どころか胡散臭いと言わざるを得ません。
財務省陰謀論では財務省が増税しようとしているのは私腹を肥やすためであるという、時代劇の悪代官のイメージがあるからだと思います。イメージや感情をどう抱こうが自由ですが、それを事実として考えるのは非常に浅はかです。確かに財務省が増税を従っているのは事実ですし、増税の結果、景気が落ち込むのも事実です。そういったことから、財務省陰謀論みたいなものが出てきています。
財務省陰謀論は法律や行政機関の役割を理解していない人が言っている荒唐無稽な主張と考えられます。彼らの根拠は法律や三権分立に基づかない単なる感情論です、漫今回は、財務省陰謀論を無視して、法制度などから財務省が増税したがる理由を書いていきます。
財務省が増税をする一番の理由は財政赤字が大きいことと国債を発行することが法律違反だからです。財政赤字が大きいことは有名で、毎年税収以上の予算を編成し、その大半が国債などの借入金です。借入金を国民一人当たりの借金に換算して説明されることがありますが、あれは間違っています。以前に書きましたが、国債の大半は日本銀行が保有しており、後は銀行など、残りの大半を国内の機関や企業が保有しています。借金の半分以上は身内で消化しています。
そして、借金にだけ目が行きますが、実は日本は借金以上に資産を持っている国です。資産と借金を合わせると黒字になるのが今の日本で財政破綻はほぼあり得ません。これについて、元財務官僚の高橋洋一さんがよく説明されており、バランスシート(貸借対照表)を財務省で取り入れたパイオニアです。日本国債の利率が低いのは財政破綻リスクが小さくから、日本は世界的に見て非常に安全な国です。全資産を売却しても、それは一過性のものでまた借金が膨れ上がったら、どうしようと思う心理から売却ができず、今あるところからねん出しようとしているのは理解できます。
政府と日銀には通貨発行権がありますが、政府の一機関である財務省にはその権限はありません。そうなるとできることも限られてきます。財務省としては毎年税収以上の予算が組まれていて、借金が膨れ上がる一方で一定の収入を見込める財源を確保することが急務と考えています。先ほども触れたように国債の発行は法律違反ですので、残された選択肢として増税に走るのというのは仕方がないことだと思います。

国債発行は禁じ手

財務省が増税をしたがるのは、国債の発行が財政法第4条で禁止されているからです。

第四条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
② 前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。
③ 第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。

財政法第4条

財政法第4条では国の歳出(予算)は公債(国債)や借入金(国債以外の借金)以外で賄わなければならないと決められています。財務省は一行政機関で、行政機関は法の執行機関であり、法律に抵触することをするわけにはいきませんし、法律違反するようなことを進言するわけにもいきません。決められた法律の中で権力を行使するのが、行政機関で法を逸脱するようなことがあれば、法治国家ではなくなります。
毎年、国債が発行されているのは国会で国債発行(建設国債を除く)を認める法律を毎年成立させているからで、それが毎年続くものではなく、その年度単位なのです。ちなみに建設国債の発行は法律違反ではありません。財務省は法律の範囲で財源を確保しようとするとおのずと税収に絞られてしまいます。なので、彼らは政府に増税を提言するのです。しかし、政府は国会議員がメインで構成されているので、法律を変えることもできます。財務省からの提言に対して、政府が国債で対応できるようにしているのです。
財務省と政府が対立しているとよく言われますが、それは、財務省からは法律の範囲での提言であるのに対して、政府は国会を通じて法律の範囲を変えることができ、その結果、国債で対応しているからです。政治家の責任で財務省の提言内容を変えることができるのです。財務省からの提言(増税)をそのまま実行しようとしてるのは、財務省の力が強いというより政治家としての責任を取りたくないという姿勢を考えるべきだと思います。選択肢として増税しかないと言っている政治家は職務を放棄したと言っても過言ではありません。
国会議員のような政治家は法律を変えることができる人たちです。彼らが受けた国民からの信託をそういったときに発揮するべきではないかと思います。彼らに増税という選択肢以外の選択肢を与えるのは政治家の仕事で何でもかんでも増税をしていては景気が立ちゆきません。マックス・ウェーバーの言うように政治家は責任を取り、実務は専門家(官僚)に任せるべきで、彼らの選択肢を狭めている法律を変えることが国会議員に求められることではないのでしょうか?そろそろ、財務省を悪玉にするのは止めて、建設的な議論をしませんか?

最後に

今回の内容は財務省の肩を持つような内容と思われるかもしれませんが、法律や三権分立の観点から考えれば、財務省の肩を持つというより当たり前のことを言っているにすぎません。僕自身、増税には反対です。しかし、財務省からすれば、国債の発行は禁じ手ですし、借金が多いのも事実です。財務省に通貨発行権がないにも関わらず、政府のお金に関する権限は持っています。そうなると、他の省庁や機関の権限を干渉しない範囲で、できる限りのことで政府に提言するの当たり前のことです。借金を解決したければ、日銀でお金をするか政府で政府紙幣を発行するかで対応は可能ですし、内閣が国会に国債発行を可能とする法律を可決させることで、彼らの提言内容も変わるはずです。何でもかんでも悪玉のようにするのは簡単ですが、それを解決するために仕組みをどう変えるかを考えるべきだと思います。安易な増税論を食い止めるためにもこういった法律の枠組みを変えるように働きかけるのがいいのではないでしょうか?

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