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甘い話にはご用心

はじめに

今年の4月から成人年齢が20歳から18歳に変更されます。以前もこの内容について書きましたが、今回はその内容を掘り下げていきたいと思います。以前は、未成年者は守られている存在で、怪しい契約であっても、親がストップを掛ければ、契約はできませんが、成人すると親の同意なくできてしまうと書きました。そして、法律に関する教育も必要であるとも書きました。今回は18歳と20歳の差と法律上の成人にどういう意味があるのかをより詳しく書いていきたいと思います。


未成年から成年に

未成年者は契約のような法律行為をする場合は法定代理人(原則、親御さん)の同意が必要です。未成年者の契約には本人と相手方と本人の法定代理人の同意があって、初めて成立します。なので、親に隠れて、こっそり契約するというのは法律上、あり得ない話です。大学の時に一人暮らしをしているとわざわざ実家の親に同意のサインをしてもらうために郵送して、時間がかかった記憶があります。非常に煩わしいと思っていましたが、法律の規定ですし、守られた身分だからです。

この煩わしい作業がこの4月からなくなります。18歳から親御さんの同意なしに自分の意思だけで契約ができます。これで晴れて自由の身だと思うかもしれません。自由の身であることは確かですが、それ以上にリスクが付いて回ります。今の状態だと高校生をターゲットにした詐欺が増えると考えられます。早ければ高校3年生の4月で18歳になる人がいて、その人は契約を自由にすることができますが、その契約が健全なものなのか不健全なものなのか区別が付かない危険があります。何も知らずに不健全な契約をし、騙されてしまうなんてことも考えられます。本当にこれでいいのでしょうか?こういった区別がつかないまま成人として扱われるようになると弊害は様々なところに出てくると思います。年齢の引き下げとそれに伴う策を打つべきだと思います。


自由は責任

自由であることはそれと同じだけの責任を負います。契約を1人でするということは契約の全責任がその1人に降りかかるということです。高校生で家を買うこともできます。親に内緒で、実家を抵当に入れることもできてしまいます。高校生がいきなり何千万の借金をし、ローンの返済ができなければ、実家を失うということもあり得ない話ではありません。確かにメガバンはカードローンの貸出については18歳にはしないとしていますが、担保付きの融資は可能となります。

成人年齢を引き下げることで社会参加を促すと言われていますが、社会参加を促す効果をよりよくするためにも現状の対応ではいけないと思います。それこそ、お金にまつわる話などのよくある怪しい話などを取り上げるべきですし、お金の使い方などについても知る必要があります。こういった話は他人事とされがちですが、明日は我が身で、自分の気持ち1つで契約できてしまうので、その恐ろしさを伝えるべきだと思います。年齢は引き下げますが、何もしないというのは怠慢そのものです。本人たちの意思に委ねるというのはあまりにも杜撰だと思います。大人はある程度の分別が付きますが、10代の子たちからすると難しい話だってあります。そういった難しい話から遠ざけずに積極的に今の大人の側から教えるべきだと思います。それをしないで年齢を引き下げるのは解せないというのが正直なところです。

少し話が変わりますが、成人式で久しぶりに会った友達でその友達は高校を卒業してからすぐ働いていました。そのとき僕は大学生でした。年は同じであっても、考え方とは全く違いましたし、結構現実的な考えを持っている気がしました。僕も働き始めて、そのこときに気付きました。社会を知っているか、知っていないかでそういった誘惑の断ち切り方や世渡りの仕方が違ってくると思います。20歳の大学生は社会のことをあまり知りませんが、18歳の高校生はもっと知りません。働き出すと様々な誘惑があります。その誘惑をどう断ち切るかも大人になるということだと思います。18歳の高校生が成人するということはそういった甘い誘惑や罠に引っかかってしまうリスクがあります。そういったことに対する免疫を成人する前に付けておく必要があります。世の中には様々な人がいます。そういった人たちは何もしない人の気持ちに浸けこんできます。無垢な高校生はかっこうの餌食となってしまいます。そうならないためにも、大人の側が高校生にそういったことを教える必要があります。彼らに成人としての自覚を持ってもらうためにも、そういったことを知ってもらう必要があると思います。



最後に

ここからは民法改正とほとんど関係はないですが、成人年齢が18歳になれば、成人式をどうするのかといった問題が出てきます。個人的には成人式は20歳のままでいいと思います。理由としてはお酒を飲める年齢が20歳であることと、成人式の日はたいていの人は受験前で、それどころではないからです。たった数年であれ、成人式の醍醐味は久しぶりに会って懐かしむところにあると思います。18歳で成人式をすると、高校生であれば、そこまで新鮮な感じもなく、面白みに欠けてしまいます。法律上の成人を人としての成人とするのは構いませんが、実際に成人式に参加する人の立場を考慮して、成人式をしてほしいものです。制限される成人式よりもある程度、解放された成人式のほうが楽しいでしょうし、一生に一度のイベントですからそういったことも大切にしてほしいと思います。人生の節目というものは存在します。そういったところで棒に振るようなことをしてほしくないですし。

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