【詩】 道行


道は開けて真っ直ぐに延びているのに
迷路のように感じる心持ち
道は四方八方に延びているのに
どちらに進んでいいか決められずに
中心点で呆然と立ち尽くす

悩んでうずくまっていると
なにやら微かに声がする
「こっちにおいで」
目を凝らすと遠くに霞んで澪標が見える
本物かどうか断定はできないけれど
きっとそうだろうと直感が言う

そうか其処に行けばいいんだね
歩き出して進んでいると分かれ道ばかり
この先に食べ物はあるだろうか?
宿屋はあるだろうか?
靴も穴が空きそうだな
迷いと不安の連続

人には
助けてもらったり  騙されたり
言葉は優しかったり  怒声であったり
一時の道連れができたり
かと思ったら泥棒だったり
一人一人が
てんでばらばらな色彩
自分の正気を保つのに精一杯で
あまり関心がないけれど
ムカついたり  うれしくなったり
与えたり  与えられたりしている

癒しは無邪気な自然
気まぐれに雨は降るし
木々は黙々と空に伸びる
花は誇らしげに咲いて
動く者達は腹が減ったら捕食する
単純な生存本能は
残酷だが作為がなく美しい
そこに救いを見出しているのかもな


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