【詩】声を上げる


俺が発した言葉を、ただ一人でも受け取ってくれたなら、価値がある。
名前は忘れられても、ただ一言でも記憶に引っ掛かるのなら、価値がある。
発した瞬間からただ一人は自分自身であるのだが、
世界を彷徨って予想もしない処に着地する。因果応報の巡り合わせを待っている。

独り言のような言葉は、本当に独り言のままで終わらせることもできる。
あえてネットの有象無象の海に投げるのは、顔も知らず声も聞こえない、あなたが居るから。

同じ色を持った言葉は引かれ合う引力
鏡写しのような我を見る
持たざる色に惹かれる憧憬
生まれ持つ色は変えられなくても、混ざり合い新たな色を成す。

声を上げなくちゃ誰も気づいてくれない
人の群れの中の透明人間だ
声を上げなくちゃ本当の自分なんて誰もわかってくれない
都合良く解釈され誤解される
本当の自分を誰一人受け入れてくれない
本当の自分を話したのかい?

自身の孤独な虚に投げる言葉。反響は冷たく、何かが今一つ足りない。

声を上げれば
大多数の無関心と
僅かな敵と
希少な仲間
得られるかはわからないが、その可能性を得られる。

届いたなら応えてくれよ
この広大な世界にちゃんと存在していて
独りではないという確かさがほしい


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