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【詩】安楽死

一錠飲んで
いつものよう目を閉じるだけ
そうすれば全てから解放されます
さぁ、心地よい眠りへ
選ぶのはあなたです

顔のない差し出される手は
救いへ誘う天使か
飢えた悪魔か
返事はしないまま、何の変哲もない白い錠剤を受け取る。この手の上に選択が乗った。最初は軽く思えたそれは、凝視めるほど、考えるほど、形容し難い重さを持ち始めた。

生か死か
両天秤はどちらにも傾き得る
夢中の最中に眠りの余地はない
失意の季節には全てを投げ出して眠りたい
どちらも選べることは心地よい重みだ

どうせ、楽に死ねるのなら
どうせ、遅かれ早かれなら
どうせなら、理想へと挑戦する

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