『SEASON’S CALL』HYDE(思い入れのある曲シリーズ)

HYDE×K.A.Zの世界観

リリースまでの流れ

今回はHYDEのソロ楽曲『SEASON’S CALL』を取り上げる。

HYDEはL'Arc〜en〜Cielが『Spirit dreams inside』をリリースして活動休止状態になった後ソロ活動を開始し、静的なサウンドに振り切った超名盤『ROENTGEN』をリリースした後、対照的な動的なサウンドをフィーチャーした『666』をリリースする。

この『666』からその後のHYDEのソロ活動のキーマンとなるK.A.Zがプロデュース兼ギター(HYDEも弾いているのである程度弾き分けていた様子)で参加している。

『666』の楽曲は全てHYDEの手によるものだったが、『666』の後にリリースされたこの『SEASON’S CALL』では初めてK.A.Zが作曲を手掛けている。

元々この時点では解散していたOblivion Dustが好きだったので、そのギタリストだったK.A.ZがHYDEとコラボするのはとても嬉しかった。

楽曲について

そしてこの『SEASON’S CALL』について。
個人的にはこの曲がHYDEのソロとVAMPSを合わせた全曲の中で1番好きな曲だ。

楽曲にはやはりK.A.Zさんの味がよく出ており、解散前のOblivion Dustとは少し毛色が違うが、土屋アンナとK.A.Zさんで組んでいたSpin Aquaの楽曲とは共通する要素が多々あると思う。
特に『Unchained』という曲が曲のコード構成や音像ともにとても似ている。

まず曲のコード構成についていうと、この曲でも転調が使われており、大まかにみるとサビとそれ以外の箇所のキーが変わっている。

そのためサビに入ったタイミングで空気が一変するような感覚があると思う。

サビはコードの移り変わりが少なく、一つのコードで2小節押していくような進行になっている。
最初の3つのコードEb→F→Gmは少し押しつけられるような重々しさがあり、4つ目のコードG#に到達すると少し開けてくるような、不思議な解放感を感じる。

あとはCメロからラスサビに入るまでのブリッジ的な部分。
ここも転調していると言えば転調しており、どんどんコードが上昇していってサビの入りのEbに繋がっていくのが非常に気持ちいい。

ギターについて

そして曲の音像についてだが、これについてはもはやK.A.Zさんのギターの魅力オンパレードといった感じだ。

まずはイントロのベースの和音刻みに被さるクリーンのアルペジオ。
そこからリズムが変わるとともにディレイのかかったフレーズが入り、イントロに入ると印象的なフェイザー(フランジャー?)がかかったオクターブフレーズへ。
Aメロではコードをアームか何かで揺らしているリバーブたっぷりの音の上にディレイフレーズが重なり、上下の空間的な広がりが如実に感じられる。
Bメロではボーカルの切間にキャッチーなカウンターメロ的なフレーズが入る。
サビへの導入で入る16分ブラッシングが心地よく、そこからはイントロと似たアルペジオフレーズが入り、その下で低音弦でメロディを奏でる。
Cメロ的な箇所では急にOblivion Dustでありそうな重心の低いブレイクパートが入り、その後のブリッジからラスサビにかけての解放感に拍車をかけている。
ラスサビではこれまでのサビにはなかった高音メロフレーズも加わり、より劇的な音像となる。
アウトロではアルペジオ気味にメロディを奏でるフレーズが入りラストへと向かう。

最初から最後まで聴きどころが多過ぎる曲だ。

上でも書いたが、K.A.Zさんはギターで広がりのある空気を作るのが抜群に上手いギタリストだと思っていて、その中でもこの『SEASON’S CALL』は魅力が大きく出ている楽曲だと思う。

余談

この後アルバム『FAITH』がリリースされ、HYDEソロとしては一段落。
その後はK.A.ZさんとのユニットVAMPSの活動がスタートすることになる。

そういった意味でも、この『SEASON’S CALL』はターニングポイント的な位置付けになるのではないだろうか。

ちなみに、この曲がリリースされる少し前に中島美嘉
の『GLAMOROUS SKY』が発売されているが、この曲はHYDEが作曲しており、ギターを弾いているのはK.A.Zである。

この『GLAMOROUS SKY』でもK.A.Zの広がりのあるギターサウンドが堪能できるので、こちらも是非聴いてもらいたい。

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