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生きててよかったね

#散文

高校時代、連日親に罵倒されて毎日のようにブログに死ぬ死ぬ書いていた。
昼間は同級生が誰も聴いていないような80年代の邦ロックばかり聴き、夜は親に隠れ声を殺して布団の中で深夜ラジオを聴いていた。

好きだった音楽の中に、JUN SKY WALKER(S) がいた。
ジュンスカは80年代邦ロックに入れるにはかなり新しい方ではあるが、平成3年生まれにとってはBOOWYも尾崎もジュンスカも等しく「80年代にデビューした古いバンド」だった。

ジュンスカの好きなところは、あの明るいパンクロックサウンドの中に、時々割とセンシティブな歌詞が乗っている点だ。
基本的には前向きになれる曲が多いのだが、時々「死」に関する攻撃的だったり自傷的なワードが入ってくる。
それが、死にたがり高校生の心を癒してくれていた。

部活を2個も掛け持ちしていてアルバイトなどする暇が無かったし、小遣いも少なかったので、ライブには行ってみたくても到底行けなかった。
そんなジュンスカが、20周年を機に再結成し、高崎でライブを行うという情報を得た。

会場ではTシャツと限定ミニアルバムを販売するという。
更に、それらを買うとサイン色紙が付いてくるらしい。
高崎が神奈川県大磯町からどのくらい遠いのかはよく分からなかったが、BOOWYの聖地であることだけは知っていた。

ライブのチケットは高くて買えない。
しかし、どうしてもグッズだけでも欲しかった。
私は親の財布から1万円札を1枚抜いて、東海道線に乗り込んだ。

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