彼のどこが好きかと聞かれて
「ここが好き」と、すぐに言えなかった。
*
母は、私に付き合っている人がいることを知ってる。
8個年下なことも。
「私が幸せならそれで良い」と言ってくれながらも、上手くいくと思ってなかったり、あまり良い感情を抱いていないのが会話の節々で伝わってきて、それが今一番なにより辛い。
これも、私のことを心配してくれてるが故だというのもわかる。
だから余計に辛い。
*
そんな母に、「彼のどこが好きなの?」と聞かれた。
その質問に、すぐに答えられなかった。
「優しいところ」もちろん好き。
でもなんか違う。
「私のことを大事に思ってくれてるところ」もちろんそう。
でも違う。
「一緒にいると楽しくて、心からホッとできるところ」
すごく好きだけど、これだけじゃない。
彼への感情を上手く言語化できない。
好きなところはたくさんある。
尊敬するところも、もちろん。
なんで母に言えなかったかって、たぶん、「彼を良く見せたかった」んだと思う。
母に「いいじゃん!」って言ってもらえる彼の好きなところを言わないと、と思って、言葉に詰まってしまった。
でも本当はそんなことが言いたいんじゃない。
母に良いと思ってもらいたくて、彼と付き合ってるんじゃない。
「好きで好きでたまらない」というより、大切で、愛おしい。
私は彼が好きで、彼も私を好きで。
彼は私を大切にしてくれて、私も彼を大切にしたくて。
私の喜ぶことを一生懸命してくれて、彼の喜ぶ顔を見たいといつも思ってて。
私の、嬉しい、楽しい、寂しい、嫌だ、不安、心配、いろんな感情を、彼は受け止めてくれる。
これまでの恋愛で縛り付けられていた「伝えるといなくなる」という思い込みが、彼といると少しずつほどかれていく。
だから、私もどんどん素直に、たくさんの気持ちを彼に伝えられるようになってきた。
こんな彼への気持ちを、どう一言で表せるんだろうか。
無理だ。できない。少なくとも私には。
側からみると、非現実的な恋愛なんだと思う。
その世間の目をとても気にしてしまうときもある。
出会って数年、付き合ってもうすぐ1年。
出会った頃から変わらず、むしろ一緒に過ごす時間が増えるほど彼からの優しさや愛情をたくさん感じられる。
2人でいるときの、なんとも言えないあの安心感に包まれた空気が、どんどん作られていく。
この関係を、これからも大切にしていきたい。
周りの声ではなくて、目の前の彼を、ちゃんと見ていきたい。
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