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懐かしさが上書きされて気づくこと

 SING LIKE TALKINGが好きです。

 全曲がっつり追いかけているという程ではありませんが、好きな音楽を聞かれたら名前がまず浮かぶアーティストです。

 動画で音楽を探すようになって、彼らの曲も見つけられて、「うわあ、懐かしい!」と改めて聴き直しています。

 そう、私にとっては懐かしくもこそばゆい、中二病の頃にラジオで彼らの音楽に出会ったのです。

 音楽の系譜とか技巧とか音質とかについては、私は語る言葉を持ち合わせていません。
 楽曲を聴いて、ただ耳心地がよくて気に入ったというわけでもありません。
 何かカッコいいと感じた、その印象の中心にあったのは、言葉です。つまり、歌詞です。

 作詞を主に手がける藤田千章さんの言葉が、いまだに私の心に強く残っています。
 何かのインタビューで、作詞する際に心掛けていることを尋ねられ、千章さんはこんな風に答えていました(正確な引用ができず申し訳ありません)。

 伝わるか伝わらないかギリギリの言葉を使っている、と。

 この、伝わるか伝わらないかギリギリの表現というのは、ある種の格好良さでもあって、ぺダントリックな中二病の心を思い切りくすぐるものだったのです。
 当時の私は、言葉の格好良さに溺れていたようなものでした。

 時は流れ、それなりに様々な変化を経た今、改めて彼らの音楽に触れると、ただカッコいいと思っていた歌詞のフレーズが、実はものすごい直球で心に飛び込んできます。
 千章マジックとでも呼びたいくらいの、心地よい衝撃です。
「Maybe」「心の扉」「陽だまりの下で」「Will」等々……特にバラード系でハッとしてしまうのは、やはり歳を重ねたせいでもあるのでしょう。

 語るように歌う彼らの音楽に再び会えて、私は幸せです。


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