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闘う人が交わす言葉に聞き入った日(2024年1月20日、東京女子プロレスを観戦して思ったこと)

 東京女子プロレスを観ると幸せな気持ちになる。
 東京女子プロレスは心の栄養。
 というわけで、心が栄養を欲してきたので東京女子プロレスを観に行った。

 この日はタッグトーナメント初日。
 初めて組んで参戦する2人あり、タッグ名つくくらい長く組んでる2人あり、非常に楽しみなカード尽くし。

 第1試合は愛野ユキ&辰巳リカ&渡辺未詩 vs 鈴芽&遠藤有栖&鈴木志乃。
 年明け早々にタッグのベルトを獲ったユキ選手の笑顔が眩しい。今日も推しが尊い、と幸せを早速摂取。
 試合は握手からと思いきや、奇襲からの乱戦スタート。これに怒った辰巳リカ選手が無双モードになり、鈴芽選手たちを薙ぎ倒し、勢いのまま味方の未詩選手、ユキ選手も張り倒し、リング上は死屍累々。志乃選手がリカ選手のチョーク攻撃で捕まったり、鈴芽選手と有栖選手が華麗に連携を見せたり、リカ選手と未詩選手の連携にちょっと戸惑いながらも合わせていくユキ選手が可愛かったり、見応えたっぷりの試合だった。

 第2試合からはタッグトーナメント公式戦。
 鳥喰かや&風城ハル vs 荒井優希&上原わかな戦は、面子が目新しい印象のタッグ。後輩のハル選手に「来るよ!」「よく見て」「いいよ」と声を掛ける鳥喰選手が頼もしい。ハル選手が「鳥さん」と呼びかけるのも微笑ましい。

 続いては角田奈穂&HIMAWARI vs らく&原宿ぽむ戦。女優の顔も持つ2人と、永遠の3歳児とほんわかアイドルの仲良しタッグの対決。ぽむ選手と連携して奇襲を決めるらく選手の可愛いこと……! おやすみエクスプレスをする際に「ぽむ」って呼び込むらく選手も、子犬のように寄ってくるぽむ選手も可愛い。一方、角田選手はHIMAWARI選手に「帰れ」と言い放つなど厳しく当たりながらも、ピンチの時にはカットに入る優しさを見せた。

 山下実優&凍雅 vs 宮本もか&長野じゅりあ戦。山下選手と凍雅選手のタッグは、発表された時から楽しみで仕方なかった2人。
「凍雅行け!」「押さえとけ!」と、スパルタ教育感溢れる山下選手の声掛けが印象深い。
 じゅりあ選手に「来るよ」「動いて」と声を飛ばすもか選手には貫禄も感じた。

 メインイベントとなった中島翔子&ハイパーミサヲ vs 上福ゆき&桐生真弥戦。
「大きいちびっ子たち、こんにちはー!」でお馴染みのミサヲ選手のマイクから始まるかと思いきや、中島選手がミサヲ選手の声帯の不調を悔しげに訴え、上福選手にマイクを任せようと無茶振り……からの奇襲スタート。
 真弥選手が捕まる展開になるも、「真弥!」と上福選手は声を掛け続け、連携も入り、いつのまにか声が出るようになっていたミサヲ選手を追い込むと、中島選手が「ミサヲー!」と叫び奮闘。激闘を制したのはミサヲ選手で、試合後にお馴染みのマイクを無事に披露した。

 今回、心に強く残ったのは、タッグパートナー同士で声を掛け合う姿だった。
 長く組んでるからこその信頼が見えたり、後輩を育てるべく指示したり励ましたりけしかけたり、先輩を後押ししたり。
 勝ちたい、負けたくない気持ちが根底にあって、対角に立つことだってあるけど、今日この時は協力するからこその言葉。

 感情をぶつけ合っても逃げない相手がいる、という構造を私はプロレスに見ている。
 この構造は、プロレスのルールを理解した上でぶつかろう、という約束があるから成り立つ。ぶつかっても、タップアウトしたらそれ以上の攻撃はしないといった、いわば信頼という前提だ。
 そういう信頼をより深めて学ぶのがタッグマッチなのかもしれない。
 対角でぶつかるだけでなく、同じ方向(相手選手)を見て、どう協力するかを考える。そして、同じ方向を見ているからこそわかる、パートナーの思いを鼓舞する声を掛ける。

 その学びの途上を、私は凍雅選手の姿に垣間見た気がした。今回は1回戦敗退となってしまったけれど、これを経て更なる成長を見せてくれそうで、目が離せない。

 さて、次はどんな試合を観られるかな。

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