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ぼくの名前はズッキーニ

吹替版声優が奇跡の人コンビということで気になっていた映画。ストーリーを調べたら児童養護施設の子供の話だと言うことで、これは行くしかないな、と。

親を求める気持ちと子どもたち同士で繋がり合っていく様子っていうのが両方書かれているのはよかったな。
存在感の強いシモンというキャラクターだけど、映画の中ではいいスパイスを出しつつ、実際に彼みたいな子ってたくさんいるよなぁ、って思う。意地悪で乱暴で、でも優しくて、強くて、弱くて…映画の都合上、ちょっと大人っぽすぎるところもあるけれど、彼の基本的な行動原理ってよく理解できるし、一番人間らしいのはシモンだったな。

そして、親の存在とは別のところで「愛」が存在しているというストーリーのラストもよかった。
施設にいる子は理由は様々だけど親に捨てられた子であって、愛されていない子だというくだりが途中であるんだけども、ラストでは、何ががあってもその人のことを忘れないこと、それがつまりその人を愛しているということ、というメッセージが描かれていて、そこが素敵で、救われる気持ちになった。

ただ、事前に見た人のレビューとかをチェックしていたのだけど、泣けるっていう感想が多くて、期待値高めで鑑賞しに行ったぶん、個人的な印象としては、予想を上回ることはあんまりなかったな。
えぐくもない、切なくもない。これが当たり前の子たちが世の中にたくさんいるんだよって思う。多くの人からしたら、重たいとか感じるようなことであっても、それを日常として、当たり前に生活を送ってる子供が実際にいて。そういう世界はお話の中だけじゃなくて、切ないものでもなくて、ごくごく日常としてそこにあるんだって知ってほしいなぁ。自分の価値基準からしたらえぐいようなことでも、それが普通の人だっているじゃんね。えぐいとか、重いとか、そういう言葉って一種のラベリングであり、偏見を生み出すことにも繋がるよなって思うし、そういうラベリングが生きづらくさせてるなとも思う。当たり前にはいろんな種類があるんだって、みんなが思える世界に少しでもなればいーなー。

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