大森靖子 MUTEKI弾き語りツアー

大森靖子さんのMUTEKI弾き語りツアーに行ってきました。当初まったく行く気がなかったんだけれど、11月にあったワンマンでの弾き語りが想像以上に良くて。かつ、SNSに上がる今回のツアーに行った人たちが撮った動画たちが素敵なものばかりで、これは行ったほうがいいやつだ!と思ったので行くことを計画し始めた。
勤務表と照らし合わせるとたまたま名古屋公演の日が休みで、でもチケットがSOLD OUTで、行くのは無理かなーなんて思っていたんだけど、たまたまSNSでチケットを譲りたい人を見つけたので、弾丸で名古屋に行くことになった。現代ってすごい。

今回のツアーは会場も素晴らしくて、名古屋は円形ステージのこじんまりとした会場。距離感がものすごい、近い。余談だけど、ここで清竜人もライブしたっていうのを聞いて恐れおののいた…。神か。

大森さんの弾き語り形式のライブを見ると、人間というものを全力てむき出しにしてぶつけてくるようなそんな感覚に陥る。わたしは人があまり好きではない方だと思っている。人のことをちゃんと信用できないからこそ、こうやって人間らしさを見せてくれる人が好き。感情や自分という人間をむき出しにすることの、かっこよさ、尊さ、素敵さ。大森さんの姿からそういうのを再確認できる。

ピアノの弾き語りはまさに圧巻。拍手するタイミングもなく次々に曲が降り注ぐ。「あなたがこの会場に来る前に生き抜いてくれた1日1日に愛を込めて」という言葉からのキラキラはとても美しかったな。そして体いっぱいで表現していたオリオン座。よかった。

円形ステージだったから、背中しか見えない瞬間もあったけれど、その分こちら側を向いているときはとてつもなく近い感じがして、むしろ目をそらしたくなった。こっち側を向いて歌ってくれたわたしみ。好きすぎる歌。誰も知らないわたしみ、誰にもあげないわたしみ。まさに今の気分にぴったりの歌。思わず泣いた。

MC多めで曲はわりと少なめだったけれど、むしろ曲とMCが一体化しているといった印象で。大森さんの話す言葉も表現の一部といった方が近い感じ。 

特にそれが顕著に現れていたのは最後の二曲。PINKでギターを抱えてうずくまる場面もありながらの感情むき出しの演奏、そしてそこからの泣きながらのMC、からの、音楽を捨てよそして音楽へ、の流れがなんかもう今回の公演の全てだ。
大森さんは早口でたくさん喋っていた。孤独さ。ひとりぼっちさ。抱えている特性。大森さんの話す言葉を聞いていると、大森さんは弱くて強い人だと思わされる。「ひとりぼっちだ」と言いながらも、「だからこそひとりに寄り添える歌を作っていけると思うし、作りたい」と言う彼女の、ここまでに至った過程を考えると、むしろ心配になってしまうし、わたしはここまで強くなれない。何かのインタビューで生きるスピードが早いというのを読んだんだけど、なんか、ああこういうことなのかなってふと思った。
最後の曲が終わって、大森さんは笑顔で手を振るでもなく、さっと舞台袖に消えていった。ちょうど捌けるところが見える位置にいたんだけど、なんとも言えない表情をしていた。それがすごく印象的で。そしてアンコールもなく、終演。

終わったあと、わたしはライブのことではなく、自分について考えていて、なんだかとても泣きたい気持ちになった。なぜだか理由はよくわからないけど、きっと自分をむきだしにしてぶつかってくる大森さんに、わたし自身を投影していたんだろうな。しばらくぼーっとして動けなくなって、つらくて吐き気がした。

最初このツアーが発表されたとき、弾き語りのライブに耐えれる気がしなくて、行く気がしなかった。こういうふうになるとなんとなくわかってて、それが怖かったのかもしれないな。それだけのライブをする大森靖子という人はやっぱりすごい。きっと大森さんもとてつもなく精神を消耗しているんだろう。なんとなくそれがわかる。弾き語りは大森靖子の真骨頂、そう言われている理由が少しだけ理解できた気がする。行けてよかったです。

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