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12万㎡の土地を開発した男の不動産学校 :5時間目「不動産登記の"使い方"」

【著者プロフィール】
✔ 不動産開発に携わって15年
✔ 住宅・商業施設・ホテル・物流施設の開発経験
✔ 関与した計画の総土地面積:約12万㎡、総土地代:約400億円

4時間目は土地に接する道路についてお話しました。
https://note.com/n_arc_jack/n/n924a42892e77
次は「不動産登記の"使い方"」についてお話します。

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1.不動産登記の”使い方”?読み方ではないの?
不動産登記の「読み方」は、法務局のホームページを見れば一目瞭然です。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji02.html
念のために、簡単にまとめますと、

【不動産登記の目的】
土地・建物の所在や面積、所有者の住所・氏名などを一般公開することで、取引の安全と円滑を図ること

【登記記録(登記簿)の内容】
登記簿には「表題部」「甲区」「乙区」の3事項に分かれており、
■表題部(土地)…所在、地目(土地の現況)、土地の面積など
■表題部(建物)…所在、家屋番号、種類、構造、床面積など
■甲区 … 所有者に関する事項(いつ、誰が、どんな原因(売買・相続など)で所有権を取得したか)
■乙区 … 抵当権(例:住宅ローン)など所有権以外の権利に関する事項
ということが記載されています。


2.具体的な ”使い方” とは?
登記簿には、不動産に関する事項が事細かに記載されています。
これを使わない手はないわけです。
「個人不動産投資」「不動産デベロッパー」ともに注目ポイントは『乙区』です。

乙区を読み解くことで得られる情報は次の①~③です。
① 所有権以外の権利(抵当権、借地権、地上権、地役権など)
② 所有権以外の権利が設定された年月日
③ 所有権以外の権利の内容(抵当権であれば借入金額など)

■個人不動産投資家としては…
中古マンションを投資目的で購入するとき、利回りから購入額を検討する
と思いますが、併せて乙区を確認しましょう!!
売り出されている価格より借入額が低い場合、売主が安く買って高く売ろうとしている可能性があります。借入額に少し上乗せするだけで、意外と交渉できてしまう可能性もあります。

■不動産デベロッパーとしては…
不動産デベロッパーが土地の仕入れを検討する際、根抵当権の極度額が設定されていれば「売主は高い価格目線を言っているけど、極度額+α を提示すれば、借入れている銀行からも売却を説得してもらえるかもしれない」と考えられる訳です。

勿論、いずれの場合も、自己資金を多く出しているから借入額が低いだけであったり、入札なので結局高値でなければ購入できないということはありますが、売主と交渉する一つの価格目線にはなると思います。


これにて、5時間目が終了です。
新入社員の研修用に不動産基本情報をまとめてきましたが、今後は少しマニアックなものも含めて記事にまとめていきます。

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