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子供の水難事故、あるいは未来を考え、それと天秤にかけて行動を制限する力

9月上旬に奥多摩にキャンプに行ってきました。ママ友たち合計4家族で。
天気は良かったけど、残念ながら前の日まで降っていた雨の影響で、川は水が多くて水温も低い。パッと見は分からないが、流れも速そうだ。

ところが子供たちは、「川といったら当然水遊びだろう!」と入る気マンマン。ただし実際に足をつけてみるととても冷たかったらしく、支流の水たまりでバチャバチャするだけで女の子たち(主に小学校2年生)は満足していた。

収まりがつかないのが、2年生と中学1年生のバカ男子どもである。

「どうしても向こう岸までいってみたい」と6メートルほどの川向うを憧れの目でずっと見ている。

「チャレンジしたらダメですか?ここなら渡れそうな気がします」と引率というか、バカ男子の川遊び監視係の僕に中学1年生男子が聞いてくる。

「試してもいいけど、たぶん流されて命を失うことになるな。こんなつまらない事で死んでしまうのは割に合わないと思うよ」と説教すると、一度は引き下がる。でも5分もすると壊れたレコードのように同じように「ここなら渡れそうな気がします…」と繰り返す。

それで僕は思った。
子供ってやっぱり、「これをしたら最悪どんなことになるか?」というリスク管理ができていない、あるいはやりたいことだけに夢中になって、そこまで気が回らない生き物なんだなーという事を。

これは実は厄介な問題だ。
というのも、「やりたい」ことを頭ごなしに禁止しても相手は理解できないからだ。子供の立場としては「なぜ自由にやりたいことをやらせてくれないのか?」という恨みだけが残ってしまう。

大人の判断では「今やったら、最悪の結果になるよ。死んだりするよ」という「やったら⇒きっと楽しい⇒でもどうなる?」の連想イメージができているので、それと比較して「バカなことはやめようね」と説得するのだが、「やったら⇒きっと楽しい」で思考が止まっている子供には、いくら「死ぬよ」といっても抑止力にはならない。死ぬことなんかハナから考えていないからだ。

仕方なく「親がダメといったらダメ」「大人の言うことは聞きなさい」とかの論法になるのだが、やっぱり噛み合っていないのでストレスがたまる。子供も大人にも。そして、子供は理不尽な命令されるのが嫌なので、子供は大人の目を盗んで実行することになる。

今は「台風で増水した川を渡ってみたい」という話だけど、これが子供同士でエスカレートするとリンチ殺人とかにもなる。リンチ殺人ではおそらく、「悪口言われてムカついたら殴った⇒殴ったらスッキリした」で考えが止まってしまっているのだと思う。「殴ったらスッキリした⇒相手は死んでしまって社会的責任を負うことになった」まで頭が回らない。スッキリすることと、その対価としての社会的責任を天秤にかけることができないので、暴走してしまう。でも「暴走」はあくまで大人からの観点であり、子供たちはやりたいことを大人の目を盗んでやっているだけなのだ。結果が最悪なだけで。

未来を考え、それと天秤にかけて行動を制限することは僕はいつからかできるようになったのだけど、学校で教えてもらったわけではない。たぶん何回か、何十回かの失敗を経て、痛みとともに学習したのだろう。

「痛みとともに学習を完成させる」前に大事故や、人生を台無しにしてしまうことをいかにして避けるか(遠ざけるか)?あるいは、いかに効率よく自分の子供に未来を考え、天秤にかける「客観視点」を身に付けさせるか?それは大きな課題だ。

ちなみにこの客観視点、備わっていない大人も多い気がする。例えば僕は空手をやっているのだけど、ケンカになりそうでも相手は殴れない。

いやパッと見たらわかるんです。「相手は素人だから簡単に殴れそうだ」ということは。でも未来を考えると、
「相手は素人だから簡単に殴れるな。でも殴ったら、高い確率で後ろに転倒するか、頚椎を痛めるな。障害を負って訴訟とか起こされたら面倒だな。こっちは空手をやってるから訴訟になったら不利だな」とか考えてしまうと、すぐに逃げられなかったりあるいは監視カメラに僕の姿がバッチリ写っている状況だと殴れなくなる。正当防衛でも、相手が重傷を負えば状況は損害賠償責任を逃れるのは難しいことを僕は訴訟例から知っているからだ。

でもそんなことをお構いなしに、見知らぬ相手とケンカをしている中高年がけっこういる。あるいは盗撮とか痴漢とか、「やってバレたら確実に社会的制裁を受けてしまうけど、欲望をコントロールできない」という困った人たちも多くいそうな感じがする。

これってアレかな?
「俺にはもう失うものは何もないんだー!」と咆哮するワイルドな人格がその人の中にいて、理性や客観視点をぶっちぎっちゃうのかな?

どうやったら矯正できるのかな??



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