間違いだらけさ 環状線。 / 20200627

ゆるりゆるりと降り立った先にフェンスが見えて、その奥に、赤や紫や青がかがやく街が見える。街灯も差さないでいて、本当は、悲しくて泣いていただけなのに、雨に濡れてしまって。先行きが不安だよ。酩酊として、ふらふらと彷徨っているうちに、もう何処か遠くへ、誰も知らない場所へ、僕を知らない場所へ、僕も知らない場所へ、降り立って行けたら。薬を忘れてしまった恐怖で蹲り、飲む水もない気がするし、ああ、終わりだな、なんて。苦しくって仕方なかった。息が上手く吸えなかった。呼吸すら上手くできない、街を導く平行線。胸が苦しい。恋なのか、故意なのか、ううん。衝突事故だよ。もう眠ってしまったら、終わりだからね。すべてすべて終わりにしてしまえるからね。安心して目を瞑って。優しい声に唆される。雨で乱反射する無尽蔵なともし火、もう僕らに居場所なんかないから、居場所を作れないくらい不器用な指先だったものだから。生まれ持ったもので、生まれた後も何も得ようとしなかったから。ごめん。御託はもう聞き飽きた。一択を丁寧に、指で摘み取る。もう僕に、朝は来ない。

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