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人工知能普及で医者の給料は下がる?

人工知能の普及で「医者」も「弁護士」も給料が下がる(デイリー新潮 4月10日(日)4時10分配信) 
ニュースソース(ヘッダー画像も) : http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160410-00507156-shincho-sci

「医療現場でも、IBMのAI、ワトソンによる診断の正答率は、人間の医師を上回ったという結果が出ています。患者のデータをワトソンに入れると、どの病気に罹っている確率が何%で、候補となる治療法は何か、などと教えてくれるアプリケーションを、IBMは開発しました。ただ、人間は心情的に、ロボットに診断されたくないから、患者とコミュニケーションをとる医師はいなくならないでしょうが、医師を補助するAIが活用されるようになる。弁護士も同様で、アシスタント業務を行うパラリーガルという職種には、AIが使われるようになるでしょう。医師も弁護士もAIが持つ知識をもとに判断するようになる。今のように膨大な知識を獲得して難しい試験をパスする必要がなくなり、医師も弁護士も価値が下がって、給料は低くなるでしょう」

以上、上記ニュースソースより、神戸大学名誉教授で『人類を超えるAIは日本から生まれる』の著者の松田卓也氏はこう言及しておられます。

医師数、40年に最大4.1万人過剰 厚労省推計 (日本経済新聞 2016/3/31 19:55)  
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS31H44_R30C16A3EE8000/

厚生労働省は2016年3月31日、働く医師の総数が2040年に33.3万人に増え、必要な人数を1.8万~4.1万人上回るとの推計をまとめています。厚労省の推計は外れることも多いのですが、昔から医師は将来過剰になるとは言われ続けていました。

以上のことを合わせると、医師は将来給料が下がることは間違いないと思います。開業医の先生は儲かっているようなイメージをお持ちの方も多いと思いますが、今の実態は一般の零細企業の経営者とそれほど変わりません。昔ほど保険診療の収入は上がっておらず、むしろ診療報酬改定でマイナス改定があったり、若干のプラス改定があっても、中身は点数を取るのが実質難しかったり、薬価の下げ幅が大きく、実質マイナス改定で、自己負担割合も3割負担になって、受診率も昔と比べて大幅に下がりました(昔は老人0割、サラリーマン本人0割の時代がありました)。また、今は納入価と薬価との差額が大体10%くらいで、消費税は患者さんから頂くことはできませんので、納入価に消費税8%を掛けると、実質利益は2%くらいで、期限切れなどの破棄を入れると、とても薬価差益で儲けなど出ません。ジェネリック医薬品はもう少し納入価と薬価との差額が大きいこともありますが、元々の薬価が安いので、薬価と納入価の差額は微々たるものです。慢性的な看護師不足や特に都市部では事務職員の人件費も高くなってきており、高騰する人件費も経営を圧迫してきています。昔と違い、今は電子カルテやデジタルX線システム、医用画像サーバーの院内設置など、昔と違ってIT機器のコストもかなりかかるようになって来ました。医療機器は昔から競争原理が働きませんので高額なものが多く、つまり、保険診療で収益を上げることはかなり難しい時代になってきています。

そういうことで、確かに安定した職業ではありますが、命を預かる職業ですので、高い倫理性を保ちながら、細心の注意を払いつつ、常に自分の技術や知識を最新のものにアップデートしていく必要性があり、その技術や知識をアップデートしていくコストと時間を考えると、一般の方々が思い描いておられるような時間と収入に恵まれているようなイメージでは決してないと思います。

現在、東京の開成中学校・高等学校や、関西の灘中学・高等学校をはじめとする進学校では、殆どの方が医学部に進学を希望しているとのことです。昨今の安定志向を考えれば分からないではありませんが、決して医者の将来がバラ色ということはもうないと思いますね。それよりも、今の日本に必要なのは高いレベルの倫理と科学技術であり、それには教育の充実と、従来の医学部を除いた学科に優秀な学生が進む必要があるのです。医者はそんなに沢山要りません。それよりも医者をサポートする看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師、栄養士、理学療法士、臨床心理士、事務職員などのコ・メディカルの方々をもっと増やし、かつそのレベルを高め、医者がしていた仕事を肩代わりしてもらうことの方が重要です。

「国家の安泰は教育にあり」


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