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生成AI時代に必要なのは「対話する」人の力だって話

みなさん、こんにちは。ソーシャルリスニングblogです。
今回もAIのお話です。
なんか、ソーシャルリスニングよりも生成AIのblogのようになってますね、最近(笑)。
それだけソーシャルリスニングやSNS分析界隈では重要な技術だと考えているということだと思ってます。

生成AIが仕事の色々な場面で利用するのは当たり前になりつつありますが、最近は社内社外問わず、マーケティングリサーチと生成AIがどう関わっていくのか、という議論が生まれはじめているので、その辺の一部を取り上げたいと思います。


1. 生成AIとマーケティングリサーチ:新たな可能性

マーケティングリサーチの世界では、データ分析と洞察の生成が中心的な役割を果たしています。
しかし、近年のAI技術の進歩は、この領域に新たな可能性をもたらしています。特に、生成AIは、リサーチャーがデータから洞察を引き出す方法を根本的に変える可能性を秘めています。

生成AIは、大量のデータからパターンを学習し、その学習を基に新たな内容を生成する能力を持っています。
これは、マーケティングリサーチの業務において、大量のデータから新たな洞察を引き出すための強力なツールとなります。生成AIは、人間が手動で行う分析作業を自動化するだけでなく、人間が見落とす可能性のあるパターンや洞察を見つけ出すことも可能です。

しかし、生成AIを効果的に活用するためには、リサーチャー自身がAIとの対話を通じて、その出力を理解し、それを基に新たな洞察を生み出す能力が求められます。これが「対話するチカラ」です。

2. 対話するチカラ:創発的な思考の展開

対話するチカラとは、議論や討論とは違い、双方の意見交換する中で、創発的な思考の展開がなされる様を指します。
この対話するチカラは、生成AIとの協働において、人間のリサーチャーがAIに対して指示を出すだけでなく、AIからの出力に対して反応し、それを基に新たな洞察を生み出す能力として必要となります。

対話するチカラを具体的に理解するためには、以下の3つの状況を考えると良いでしょう。

  1. AIの出力にインスパイアされて、全く別の考えが浮かんでくる

  2. AIの出力を見ているうちに、その内容をさらに深める視点を思いつく

  3. AIに指示を出しているうちに、自分の考えの別の側面に自分で気付く

これらの状況は、対話の中で創発的な思考が展開されている状態を示しています。対話の中でこれらの状況が生じると、それは「生成AIとの協働が深まっている」「いい対話ができている」と呼べるのではないかと考えられます。

一方で、これらの状況が生じない場合は、リサーチャーがAIの出力に対して反応するだけで、相互作用によって洞察を深めるステップを踏めていない状態と言えます。

対話するチカラを発揮するためには、以下のような言葉を意識的に使うことが効果的です。

  • 「AIの出力を見て思ったんだけど、〇〇〇ってことも言えるのかも」

  • 「つまりAIの出力って、〇〇〇ってことなのかな」

  • 「あー、さっきAIに指示したことは、実は〇〇〇なんじゃないかと思ってきた」

これらの言葉は、AIの出力に対する反応を表現するためのものであり、それを通じて自分自身の思考を深め、新たな洞察を生み出すことができます。

3. 生成AIとの協働:具体的な業務場面

生成AIとの協働は、具体的なマーケティングリサーチの業務場面でどのように機能するのでしょうか。以下に、対話するチカラが発揮される3つの具体的なシナリオを示します。

  1. AIの出力にインスパイアされる: 例えば、消費者のニーズ分析では、生成AIは大量の消費者レビューやフィードバックから欲求のパターンを学習し、それに基づいて新たな洞察を生成することができます。リサーチャーは、この出力に対して「AIの出力を見て思ったんだけど、この感情のパターンは〇〇〇にも関連しているのかも」という新たな視点を得ることができます。

  2. AIの出力を深める視点を思いつく: トレンド予測の場面で、生成AIは過去のデータからトレンドのパターンを学習し、それに基づいて未来のトレンドを予測することができます。リサーチャーは、この予測に対して「つまりAIの出力って、これからのトレンドは〇〇〇に向かうということなのかもね」という深める視点を得ることができます。

  3. AIに指示を出しているうちに自分の考えに気付く: リサーチャーがAIに対して特定のデータ分析を指示しているときに、「あーさっきAIに指示したことは、実は私たちが重視すべき〇〇〇なんじゃないかと思ってきた」という自分の考えの別の側面に気付くこともあります。

これらのシナリオは、生成AIとの対話を通じて、リサーチャーが自分自身の思考を深め、新たな視点を発見することを示しています。これは、マーケティングリサーチの未来を形成する重要なステップとなります。

4. 生成AIとの対話:注意すべきリスク

生成AIとの協働は、新たな視点を得るための強力なツールである一方で、その活用には注意が必要です。
特に、以下の2つのリスクに注意しながら、生成AIとの対話を進めることが重要です。

  1. アンカリングの罠: 生成AIが出力した結果に対して、それが正しいとすぐに受け入れてしまうと、自分自身の思考や分析が停止してしまう可能性があります。例えば、消費者の感情分析で生成AIが特定の感情のパターンを強調して出力した場合、リサーチャーがそれに固執して他の重要な感情のパターンを見逃してしまうことが考えられます。

  2. メタ認知するチカラの欠如: 自分自身の思考を客観的に見る能力が求められます。例えば、トレンド予測の場面で生成AIが未来のトレンドを予測する際、リサーチャーがその予測に盲目的に依存してしまい、自分自身の経験や知識を活用しないことが考えられます。

これらのリスクを理解し、適切に対処することで、生成AIとの協働はより有意義なものとなります。


5. まとめ:生成AIと対話する未来

生成AIとの協働は、マーケティングリサーチの新たな可能性を開く道となります。しかし、そのためには、リサーチャー自身が対話するチカラを持つこと、そしてそのリスクを理解し適切に対処することが重要です。生成AIとの対話を通じて、リサーチャーは自分自身の思考を深め、新たな視点を発見することができます。これは、マーケティングリサーチの未来を形成する重要なステップとなります。

おわりに

今回は生成AIがリサーチャーの「考える作業」にどう関係するのか、と言う点を考えてみました。
生成AIは、こういった領域以外にも「作業の効率化、自動化」だったり、エージェントによる実査の拡張なんかも広がる可能性があるので、その辺はまた別の記事で取り上げたいと思います。

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