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ショートショート_発動

チョコレートというのは、甘く切ない食べ物である。味覚としては甘く。耳心地としては切ない。ことに、暗澹あんたんとした青春時代を過ごした私のような孤独な悪ガキには切ない言葉であり、食べ物である。おやつ入れの奥から、賞味期限切れのDARSを見つけ、開け、フードロスハンターとして、一口食べてみる。

うむ、まだ、いける。

そんな日曜日に、またもや、荒技をやってしまった。


さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。

そして、今回のお題は、「チョコレート」から始まる、小説、詩歌、エッセイということで。

そして、たらはかにさんからのお題は…。

【デジタルバレンタイン】のお題で、【SFチックな】ショートショートということだ。


お2人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。
それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。毎週、励みになる。

また、今回は、しずくさんの、シロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を述べてみる。

私のようなものが言うのも烏滸がましいが。いい作品だ。

チョコレート。それは、否応無しに青春の匂いがするのだ。私には、それらしい思い出も無いのに。なぜだろうか。

しずくさんの作品を読んだとき、そんな、ホロリと甘い、淡い希望と夢の塊を、口に放り込んだような気がした。

時は流れ。季節は巡る。なんだか、良い春が、やってきそうな気がした。

今宵も、素直な心持ちで、月に祈ろう。



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。

せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんのテーマ、2ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、3重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。


うむ。


これで何週間だろうか。まあ、続けられるだけ、続けるさ。



心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。

なんだか、悪ガキだな。


まあな。

そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。

家族からのお題は、バックアップで書いたの?

うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。どうしようか。


私は、この荒技シリーズを、ハードボイルド風に書き上げたいと思っている。だが、図らずも、コミカルな内容になってしまっている時もあり。今回は、また、その調子になってしまっているようで、実は、反省している。少しばかり。

さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「発動」約410字を、どうぞ。

☆         ☆         ☆

チョコレートが、涼の手にはあった。その時確かに。





教授は悪の枢軸が、自分の技術を欲しさに泉を狙っていることを嫌というほどわかっていた。だが自分ではどうすることもできなかった。

一方、日本の秘密警察は泉の保護を図りそれを教授に知らしめようとしていた。

だが、お互いに情報を共有する術は無いように見えた。





涼は最高のエージェントになった。偶然のスカウト。ごく短時間の訓練。研究部のツールを駆使しつつミッションを完璧に遂行する。



今日は、東京には珍しい雷雪らいせつだった。こんな日にも工作員は帰宅途上の泉に忍び寄る。涼は雷鳴に紛れて照明弾を炸裂させ、瞬時に確保し、捜査本部に撤収させる。

泉は何も知らず、安全に日常を過ごすことができている。





教授は瞑想の末、ひとつの結論にたどり着いた。そして時を待っていたのだ。

ある日ある時、唐突に監禁部屋から姿を消した。





涼は、声を聞いた。脳内に直接に。


「手を広げろ」


バレンタインデーに、それは現れた。てのひらに、突然に。


☆         ☆         ☆




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